大学は教育機関か研究機関か

大学は教育機関なのか、研究機関なのか。
自分の大学観として、どちらが強いか。
大学の先生は、教員なのか、研究者なのか。
どっちのつもりで接しているのか。

このことは、仕事上の考え方、つまりは大学のあらゆる制度設計にかなりの影響を及ぼすと思う。

先生たちは、研究者と自認している方が多いだろう。大学院で研究をし、その後も研究を続けるために大学に職を得ていて、後進を育てたり、研究の成果を還元する手段の一つとして授業を行っているというのが、おおかたの考え方だと推察する。
大学には研究職として就職するのであって、教職として就職している感覚は、あまりないのではないかと思う。

かたや、一般には、先生は教員だというのが一番目の意味だろうし、大学は専門学校と同化しつつある。
大学の仕事は学生に学位を与えることがすべてだと思われているように感じるし、学生は消費者感覚が行き過ぎて過大なサービスを要求することもある。

このすれ違いは、かなり大きい。

バックヤードの話をすると、大学の執行部や教務的な部門では、大学はとうぜんに教育機関である。文科省も、自治体も、教育機関ととらえている。
どういう教育をするのかという指針があり、カリキュラムがあり、学位を保証するための単位と、単位を保証するための授業があり、授業を受け持てる教員を採用する。
こういう研究をするという指針があり、研究室があり、そのための研究者を採用するわけでは、ないのだ。
だから任期付きや非常勤講師という話になる。大学としては時間割を埋められればよいからだ。

大学を研究機関だと思っているのは、実は研究者だけなのかもしれない。

私も一応は研究の世界をすこし覗いたことがあるので、これはとても悲しいことだと感じている。

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