ほんとうのものに触れたくて。

最近、エッセイが好きだ。

昔は、大人がエッセイを読むのを見て、小説より面白いものなのか疑念を持っていたけれど、今noteではエッセイばかり読んでいる。
面白いというか、浄化される気がするんだなぁ。私の代わりに私のどろどろを浄化してくれる。

なんというか、いろいろと包装されていない、ほんとうのものが、そこにあるように思う。
悩みや、真剣に考えたこと、心動かされたこと、日常から紡ぎ出される特別、そういうひと粒の純露みたいな文を読み含んでいると、普段厳重に警備されているこころの奥底にあるほんとうのものに、通りすがりの見知らぬ私でも触れられるような気がしてくる。ほくほくする。

建前ばかりで、つながらない、薄っぺらい仮想的な世の中。抑圧され、気を遣い、包みすぎて求肥みたいになったオブラートが喉にひっついて窒息してしまいそうなことばの世界に、普段そうとう嫌気がさしているのだ。自分も現実世界では呑まれてそうしてしまいがちだから、余計に。

思い切って自分と世界の間にある膜は全部取っ払いたいと思う自分と、断固拒否して膜をかたい殻にして閉じこもりたい自分と。どっちも、正しく私であって、そんなせめぎあいのときに読むほんとうのものを含んだエッセイは、いとも簡単に私のコアを突き刺してくる。
そうして、では私もほんとうものをここに差し出さねば、と、思うのだ。

嘘のない、ほんとうのことば。ほんとうのきもち。ほんとうのこころ。

そういうものに囲まれたい。
そういうものを書いていたい。

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