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売ることを空気にするようなメルカリの施策

普段からよくメルカリを使うのですが、改めてメルカリの良さについて考えた時に気づかなかっただけでいろいろ施策があるんだなと感じたのでnoteで共有したいなと思います。

基本的には過去のメルカリについての記事を抜粋しつつ、個人的に良いなと思う点や感じたことも折り混ぜて話しています。


メルカリのサービス価値

メルカリはいわゆるCtoCのビジネスモデルによって成り立っています。
買い手と売り手のそれぞれのサービス価値はいろいろありそうですが概ね下のような感じだと思います。

・買い手
欲求:欲しい商品を買いたいが
課題:お金に余裕があるわけではないため
サービス価値:欲しい商品を許せる基準の質で安く買えるネットフリマ
・売り手
欲求:売れそうな要らない物はあるが
課題:売りに行くのが手間で、捨てるのは勿体無いため
サービス価値:気軽に要らない物を出品できて稼げるネットフリマ

買う商品によって考え方は違うのかもしれませんが、私は普段本をネットで購入する時、まずメルカリを見ます。すると、一読しただけのものがよく出品されていたりして、ほぼ新品のものなのに新品よりも安い値段で購入できるところが凄く良いなと思って使っています。

また売り手の価値としては、これまで代替している解決策がリアルのフリーマーケットや中古ショップ、古着屋だったりしますが、どうしても売りに行くまでが手間だということがネックです。
あと、単品や数点だけ売りに行くことに抵抗とめんどくささがあるので自分の売りたいタイミングも自由なのも利点かなと。


ヤフオク(オークション)とメルカリ(フリマ)の比較

両者は正直市場もニーズも違うかもしれませんが、それぞれの良さについていろいろと調べてみました。

もともと、ヤフオクという巨大フリーマーケットが先に存在しており、当時はPC主流の取引が当たり前となっていました。ただ、2011年頃から徐々にスマホの進出によってネットのアクセスのしやすさが高まってきた中で、2013年にメルカリは最初からスマホをメインにリリースを行っています。

リアルのフリーマーケットはオークションと違い、値段が決まっています。取引まで1週間と待つことがないためそのような手軽さも相まって当時ネットアクセスのしやすくなったスマホとの相性がよかったことが成長要因の1つかなと思います。

また、フリマで物販している人は女性比率が高いのですが、当初のメインターゲットは20代の女性でした。匿名配送や直接の取引をしなくても済むといった女性への配慮も良かったのかなと思います。

DL数では圧倒的にメルカリが上回っています。最近では、海外への進出も力を入れていて今ではなんと累計1億以上のDLを叩き出しています。

一方で総流通総額を見ると、ヤフオクの方が2倍以上の数値となっていました。その理由としては、ヤフオクでは、車やバイクなど高額な商品も多く取引されているのが要因かなと思います。

また値段が決まっているメルカリと違い、高額商品はオークションに出品する方が想像よりも売却値段が上回る可能性が高いのも結果に繋がっているのではないでしょうか。


特に気になった施策

リリースされてからこれまで数々の施策が行われていると思いますが、調べる中で勉強になった施策や普段から良いと感じていた施策を紹介したいと思います。


売れてしまった商品もあえて検索結果に表示させる

検索結果には、出品されている商品の中にすでに売れてしまっている商品も混在しています。ただ、邪魔だからとこれを全て排除した場合、全KPIが下がる結果となったそうです。

理由は、CtoCである限り売り手目線も忘れてはいけないということ。私も売るときに

・その商品がどれぐらいの値段なら売れるのか
・そもそも売れているのか
・商品説明をどのように記載すると買い手にとって良いか

を確認したくなるのでそんな時は売れた商品を参考にしています。特に値付け金が事前にある程度把握できるのは大きいですね。
(昔は中古ショップに売りに行くときに、予想以上に買取価格が低くて無駄足になった苦い思い出もあるので本当にありがたい。)

これは非常にメルカリならではで面白いなと思いました。
現在では、売れた商品を非表示にさせるボタンが左上にあったり、そもそもトップ画面のように検索関係なく様々なジャンルの商品が混在するところには売れた商品は表示されないようにもなっています。


検索アルゴリズムの『関連度x新着度』のバランス

ここの面白い点は、検索結果で表示する商品のラインナップを『関連度を少し犠牲にしてでも新着度も重視』した場合に比べて『関連度をすごく重視』した場合の方がCTRが1/10も低くなるという結果の検証です。

例えば、『シャネル 香水』と調べたとして、検索結果に対してぴったりのものを表示させる方が一見良いのかと思いきや、スコアの低いものが上にアップデートされないため、何度更新しても同じ商品が並んでいる状態であることが原因になっているということでした。

メルカリは下の方まで流し読みで眺めているユーザーが多いため、ある程度の関連性を担保して画面の更新率を上げる方が合っているということです。

以上を結果をもとに検索結果の優先順位は下記のようになっています。

1. 新着性
2. 再現率
3. 適合率

まず【新着性】と【再現率】の2つで目新しさとユーザーの要求に答えるドキュメントを絞り、さらにこの2つの価値がより高いものが上にくるように並び替えるという構成になっています。

上記の2つに関してはこちらに詳しく書かれていますので、興味ある方はこちらを読んでもらえればと思います。


バーコードによる出品簡略化

出品時の手間という上でのハードは大きくこの2つだと思います。

・投稿
・配送

しかし、ここを出来るだけ手軽に行えるように様々な施策をリリースしています。その中でも、僕が良いなと思ったものがここで紹介するものなのですが、まずはこちらをご覧ください。

IR資料より画像を抜粋

カテゴリー別GMV構成比なのですが、着目してほしいのは2つ目の『エンタメ・ホビー』というジャンルです。このジャンルに含まれるものとして、『おもちゃ、本、CD、DVD』などが属します。

この1年でもさらに比率が上がってきているわけですが、その理由の1つがバーコード出品による投稿の簡略化だと考えられます。

この機能により【商品の状態】以外全ての情報が自動で入力されます。そして、他の商品と違い、細かな商品説明とかも必要とならないので大体の商品説明がテンプレで問題ないという点も大きいです。
また、テンプレにタグ付けも付与されていて、わざわざここを消すユーザーもいないので検索生も常に担保できるのかなと思います。

他には、配送においても『郵便局にて無償で使える梱包資材を用意した梱包の簡略化』や『24時間365日対面でのやりとり無しで発送可能な宅配便ロッカーによる発送の簡略化』などもリリースされていて、より売ることを空気にするための施策が行われています。


洗練させすぎないUI

例えば、洗練されたUIにしてしまうと、出品には高い品質が求められると勝手に感じてしまう恐れがあるのかなと思います。また、写真も加工しないといけないのかなと思ったり、気軽な出品を重視する上で矛盾が生じます

楽天も同じようなことが言えて、出品者ファーストで考えられているのかなと思います。

私も現在福祉領域に関わっていて、ユーザーを意識したデザインが必要だと感じています。比較的年齢層の高いユーザーをメインターゲットとしている場合、アイコンのみで伝わりそうな情報もあえて文字情報も合わせたりとユーザーのITリテラシーを考慮したデザインが必要になってきます。

あくまでデザインは手段なので、問題解決する上でどんなデザインにするかは状況によって考え方は違うということですね。

より詳しく書かれている方がいるのでさらに知りたい方はこちらの記事が参考になると思います。


メルペイとの連携

みなさんご存知だと思いますが、これまで売上金の使い方が他の商品を買ったり、口座振込ができるものの手数料がかかったりと選択肢が少なかったのですがメルペイのリリースにより加盟店での利用が可能となりました。

また、クーポンでよりお得に購入ができるなど本当に使い勝手がよくなったなという印象です。

現在135万か所(2019年6月時点)の加盟店で利用可能と徐々に拡大もしています。より一層メルカリとの相乗効果が高まりそうだなと感じました。


自分がメルカリを使う理由について考えてみた

自分がよくメルカリを使う理由を考えた時に本を売り買いすることが多いのですが、先ほども触れた『新品とほぼ同質の商品が安く買える』ということと、『買って失敗しても、そのまま据え置きの値段で売れるから損した気にならない』が大きいかなと思います。

そして、これは出品が手軽だからこそできる循環だなと凄く感じました。

そう思うと、メルカリ=売るを中心としたアプリという印象です。売るを中心とした設計で誰かにとって価値のあるものが増えると、自ずと買い手も増える。

また売ることでポイントが貯まり、次は買い手としてアプリに訪れたりクーポンの利用と好循環を生み出しているなと感じました。

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いくつか記事を読む中で気になったところを抽出しましたが、あくまでこれは一部だと思います。また、私は本ばかり買っているので他のジャンルを買えばまた違う視点にも気づけそうだなと思いました。

今後もどんどん施策が行われていくと思うのでより手軽なフリマになるのを楽しみにしています。


その他の参考文献


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