「経営者目線を持て」と言われるけど、イチ従業員がそれ持つ必要ある?
今回は、ビジネス書相談室vol2をお送りします。
前回同様、ご相談への回答を共有いたします。
①相談者のお名前を仮称に
②誤字は修正
③記事を読みやすくタイトリング
この3点以外は、無加工でやりとりを貼らせていただいています。
ちなみに、vol1はこちらご覧ください。
今回のご相談内容
今回は、hataさん(仮称)からのご相談です。
まずはご相談内容を見ていきましょう。
では、いつもどおり、勝手な憶測を膨らませまくりながら、ご相談に答えてまいります。
イチ従業員がわざわざ「経営的な視点」を持つ必要あるんだっけ?
hataさん、ご相談いただき、ありがとうございます。
以下、長文となり恐縮ですが、質問にご回答します。
「いいから本だけ知りたい」という場合は、一番最後らへんだけをお読みくださいませ。
まず念のため考えてみたいのが「"経営的な視点"を持つ必要が本当にあるのか?」です。
なんとなく「持つことが正しい」と思われがちな経営者目線ですが、持つのって大変そうじゃないですか。
なので、次の3つの視点で、改めて「経営的な視点を持つ必要があるのか?」を考えてみたいなと。
給与的な視点
企業の安定の視点
自分の成長の視点
給与的な視点で考えると
1つ目に、給与的な視点について。
成功報酬型の給与であれば、経営的な視点をもって事業をどんどん拡大して、そのぶん給与をドカンと増やすことができます。しかし、そういう企業は稀です。
仮にhataさんがお勤めの企業が成功報酬型でない場合は、経営的な視点を持とうと持つまいと、そこまで給与に跳ね返ってくるメリットは大きくありません。
利益額を2倍にしても給与が2倍になるわけではないですし、赤字を出しても給与がマイナスになるわけでもないからです。
したがって、給与の視点に立つと、「経営的な視点を持つこと」のコスパは悪いと言わざるを得ません。
企業の安定の視点で考えると
2つ目に、企業の安定の視点について。
よく「経営的な視点を持ちなさい」を「もっと危機感を持ちなさい」という文脈で使用されることがあります。
ただ、個人的には「危機感を持ちなさい」というメッセージは、あまりイケていないなと。
そもそも経営者ではなく従業員になることを選んでいる人は、会社の指示に付き従う代わりに「危機感から遠く離れた状態=安定」を手にしているはずです。
にも関わらず、もし経営者が「もっと経営的な視点を持ちなさい=もっと危機感を持ちなさい」と言っている場合は、
「いやいや、社長の危機感を従業員に押し付けないでくださいよ」と思ってしまいます。
自分の成長の視点で考えると
3つ目に、自分の成長という視点について。
もし「将来的に会社経営をしたい。そのために経験を積んで成長したい」とお考えの場合は、間違いなく"経営的な視点"を持ったほうがいいです。
ありったけの権限を委譲してもらって、社長に毎日のようにボコボコにされながら、胃をヒリヒリさせながら仕事に挑んでみる。
そうすると、給与的な魅力がない代わりに、「経営者に近い経験を、ノーリスクで得る」ことができます。これほど美味しい体験はありません。
「経営的な視点」を手に入れるには?
以上の話を踏まえたうえで、hataさんが「経営的な視点って最高すぎる!絶対に持ちたい」とお感じになった場合は、続きを読んでいただければと。
次に考えたいのが、hataさんも記載してくださっている「経営的な視点とは何か?」です。
「経営的な視点」「経営者目線」、これらは捉えどころのないキーワード筆頭といえるでしょう。
リーダーシップとかマネジメントみたいに、人の数だけ定義がある、もはや一般的な定義が不可能な言葉です。
となると、「経営的な視点とは何か?」を自分なりに定義する必要があります。
ではどうすれば、自分なりに「経営的な視点」を定義できるかというと、効き目が強い順に次の4つです。
①自分で経営する
②経営者にボコボコにされながら仕事する
③意思決定を疑似体験する(≒MBAを学ぶ)
④経営者の本を読む
hataさんの場合、②ができる絶好の環境にいらっしゃいます。
ちなみに私であれば、②と③を同時にやる自信はないので、②と④の合わせ技を推奨します。
「②で出てきた課題を、1つずつ④で解消していく」というサイクルを回せば回すだけ、圧倒的に成長できるはずです。
「経営的な視点」を得るのにオススメな本
ということで長くなりましたが、②を補完できるような本を1冊ご紹介いたします。
「いち事業部規模の経営を追体験できる」という意味でオススメなのが、三枝匡氏の『決定版 戦略プロフェッショナル』です。
三枝匡氏の著書であれば、いずれの本でも、経営を追体験しながら「経営的な視点が何たるか」を学べるはずです・・・が、新しめでわかりやすくリメイクされているので『決定版 戦略プロフェッショナル』を選んでみました。
以上、9割くらい私の勝手な憶測で書いてしまい、失礼いたしました。
少しでもhataさんの足しになれば、幸甚でございます。
相談者hataさんからの感想
後日、とてもとてもご丁寧に、こんなご返答をいただきました。
hataさんはめでたく、経営的な視点を手に入れるべく「ぼこぼこ旅」に出て行かれました。ご武運をお祈りします。
では、今日はここまでにします。
「相談したいかも」という方は、以下のXまでご連絡ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?