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「経営者目線を持て」と言われるけど、イチ従業員がそれ持つ必要ある?

今回は、ビジネス書相談室vol2をお送りします。

前回同様、ご相談への回答を共有いたします。
①相談者のお名前を仮称に
②誤字は修正
③記事を読みやすくタイトリング
この3点以外は、無加工でやりとりを貼らせていただいています。

ちなみに、vol1はこちらご覧ください。

今回のご相談内容

今回は、hataさん(仮称)からのご相談です。
まずはご相談内容を見ていきましょう。

こんにちは。いつもTwitter、noteを拝見し、知識・マインドのアップデートを精度を高められていると感じております!

この度、もとやまさんに悩みにあった本をご紹介いただけるまたとない機会なので、ぜひリコメンドいただけると嬉しいです。
(そもそも悩みがずれてる可能性もありますが…)

▼悩み
11月にリーダーからマネージャー(部長職級)に昇進したが、管理者視点が抜けず、経営的な視点が持てない

▼状況や悩み詳細
・マネージャーになる際により経営的な視点でも推進していって欲しいと言われる
・目の前の課題解決に向けた施策検討・実施、リソース調整、育成などに留まり、その対応でリソースが埋まる(マネージャーになって見るメンバーが増えただけになってしまっている)
・そもそも経営的な視点とは?持つためには何をするべき?ボトルネックは?など、目指すべき姿と自分の課題の解像度をあげたい

自分で模索はしてるもののやや煮詰まっており、ぜひもとやまさんのおすすめの本やご意見を聞いてみたいです!
よろしくお願いします。

▼参考
下記URLの2章目に自分が感じているギャップがまとめられていたので一応共有いたします
https://schoo.jp/biz/column/1579

DMの原文をそのまま

では、いつもどおり、勝手な憶測を膨らませまくりながら、ご相談に答えてまいります。

イチ従業員がわざわざ「経営的な視点」を持つ必要あるんだっけ?

hataさん、ご相談いただき、ありがとうございます。
以下、長文となり恐縮ですが、質問にご回答します。
「いいから本だけ知りたい」という場合は、一番最後らへんだけをお読みくださいませ。

まず念のため考えてみたいのが「"経営的な視点"を持つ必要が本当にあるのか?」です。
なんとなく「持つことが正しい」と思われがちな経営者目線ですが、持つのって大変そうじゃないですか。
なので、次の3つの視点で、改めて「経営的な視点を持つ必要があるのか?」を考えてみたいなと。

  1. 給与的な視点

  2. 企業の安定の視点

  3. 自分の成長の視点

給与的な視点で考えると

1つ目に、給与的な視点について。

成功報酬型の給与であれば、経営的な視点をもって事業をどんどん拡大して、そのぶん給与をドカンと増やすことができます。しかし、そういう企業は稀です。

仮にhataさんがお勤めの企業が成功報酬型でない場合は、経営的な視点を持とうと持つまいと、そこまで給与に跳ね返ってくるメリットは大きくありません。
利益額を2倍にしても給与が2倍になるわけではないですし、赤字を出しても給与がマイナスになるわけでもないからです。

したがって、給与の視点に立つと、「経営的な視点を持つこと」のコスパは悪いと言わざるを得ません。

企業の安定の視点で考えると

2つ目に、企業の安定の視点について。

よく「経営的な視点を持ちなさい」を「もっと危機感を持ちなさい」という文脈で使用されることがあります。
ただ、個人的には「危機感を持ちなさい」というメッセージは、あまりイケていないなと。

そもそも経営者ではなく従業員になることを選んでいる人は、会社の指示に付き従う代わりに「危機感から遠く離れた状態=安定」を手にしているはずです。
にも関わらず、もし経営者が「もっと経営的な視点を持ちなさい=もっと危機感を持ちなさい」と言っている場合は、
いやいや、社長の危機感を従業員に押し付けないでくださいよ」と思ってしまいます。

自分の成長の視点で考えると

3つ目に、自分の成長という視点について。

もし「将来的に会社経営をしたい。そのために経験を積んで成長したい」とお考えの場合は、間違いなく"経営的な視点"を持ったほうがいいです。
ありったけの権限を委譲してもらって、社長に毎日のようにボコボコにされながら、胃をヒリヒリさせながら仕事に挑んでみる。
そうすると、給与的な魅力がない代わりに、「経営者に近い経験を、ノーリスクで得る」ことができます。これほど美味しい体験はありません

「経営的な視点」を手に入れるには?

以上の話を踏まえたうえで、hataさんが「経営的な視点って最高すぎる!絶対に持ちたい」とお感じになった場合は、続きを読んでいただければと。
次に考えたいのが、hataさんも記載してくださっている「経営的な視点とは何か?」です。

「経営的な視点」「経営者目線」、これらは捉えどころのないキーワード筆頭といえるでしょう。
リーダーシップとかマネジメントみたいに、人の数だけ定義がある、もはや一般的な定義が不可能な言葉です。
となると、「経営的な視点とは何か?」を自分なりに定義する必要があります。

ではどうすれば、自分なりに「経営的な視点」を定義できるかというと、効き目が強い順に次の4つです。

①自分で経営する
②経営者にボコボコにされながら仕事する
③意思決定を疑似体験する(≒MBAを学ぶ)
④経営者の本を読む

hataさんの場合、②ができる絶好の環境にいらっしゃいます。
ちなみに私であれば、②と③を同時にやる自信はないので、②と④の合わせ技を推奨します。
「②で出てきた課題を、1つずつ④で解消していく」というサイクルを回せば回すだけ、圧倒的に成長できるはずです。

「経営的な視点」を得るのにオススメな本

ということで長くなりましたが、②を補完できるような本を1冊ご紹介いたします。

「いち事業部規模の経営を追体験できる」という意味でオススメなのが、三枝匡氏の『決定版 戦略プロフェッショナル』です。
三枝匡氏の著書であれば、いずれの本でも、経営を追体験しながら「経営的な視点が何たるか」を学べるはずです・・・が、新しめでわかりやすくリメイクされているので『決定版 戦略プロフェッショナル』を選んでみました。

以上、9割くらい私の勝手な憶測で書いてしまい、失礼いたしました。
少しでもhataさんの足しになれば、幸甚でございます。

相談者hataさんからの感想

後日、とてもとてもご丁寧に、こんなご返答をいただきました。

もとやまさん
お忙しいところありがとうございます!
この情報量からこれだけのスピード・クオリティでアドバイスをいただけて感動しております。
考え方から学び方まで、どれもおすすめの本以上にいただきたかったものです。

成果はしっかりと評価される会社、かつ経営層の方々を踏まえてもこれ以上ない環境だと思うので、勇気を持ってボコボコにされています(笑)
(年収をぐっと上げるためにも必要な視点だとも思いました)

まずはいただいた本を読みつつ、実務の中で自分なりの経営的な視点を探ってみます。

あらためて様々アドバイスいただき、本当にありがとうございます。
もしよろしければその後の経過などご報告させてください。

DMの原文をそのまま

hataさんはめでたく、経営的な視点を手に入れるべく「ぼこぼこ旅」に出て行かれました。ご武運をお祈りします。

では、今日はここまでにします。
「相談したいかも」という方は、以下のXまでご連絡ください。

https://twitter.com/ysk_motoyama

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