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「刻を忘れさせる島」の2011年初夏の話

宝島に暮らして、大自然に時間を感じるようになった事。「刻を忘れさせる島」というキャッチフレーズは、人間社会の時間を忘れさせるということだろう。季節の植物や旧暦での行事。自然の中での時間を思い出させる島に感じることも多い。娯楽が少ない宝島で、僕はイカ釣りに行くようになった。魚釣りには潮の満ち引きを見て行く。月の満ち欠けで、狙う獲物も変わる。先人の知恵に学ぶことが楽しくてたまらなかった。

季節の仕事と楽しみ

スモモの収穫前には、畑の手入れをする。毎年、「早くしないと、虫に噛まれる。」と、畑の持ち主の婆様に尻を叩かれる。実際に収穫が遅れると、「かわいそうになぁ。」と、僕の目をジッと見てこられるから、どんなに忙しくても、最優先で行っていた。あの目で見られるのが恐ろして…笑

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初夏、タブの実がなり始める。好きな人はソワソワされる。タブの実の収穫は秋ではない。そもそも僕には、タブの木になる実を食べるという発想はなかった。お湯タブ(湯につけて食べる)、水タブ(水につけて冷やして食べる)食べ方も人それぞれ。

「昔は競争して採りに行っていたよ。歳をとって木に登れなくなって、木を切りたとしてとった爺さんもいた。」

そんな話を聞いていて、僕も食べた事がある。実の色や形状から、ベリー系の味がするのかと思いきや、全くそんなことはない。どちらかと言うとアボガドに近い味がする。最初は、予想外の驚きの味に吐き出し、騙されたかと思った。しかし、不思議なもので、食べ付けるとハマってくる。僕は中毒性のある成分が入っているのでは?と疑っている。美味しいタブを「うまタブ」といい、美味しくないタブを「うしタブ」と呼ぶ

過ごしやすい五月

宝島の5月は比較的過ごしやすい天候で、魚釣り遠足なども企画された。高齢者の健康づくりのための事業がいくつもあった。予算の関係なのだろうけど、今日の活動は、どの事業の活動なのか?参加する方たちは変わらない顔ぶれでも、目的や予算の使い方が違っていた。何とも言えない、効率の悪さを感じていた。事業の枠が違うことで、小さな派閥のようなものを生む。「小さい地域だから、みんなでやれば…。」そんな単純でもない。

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岩義さんに「見せたいものがある」と連れられて行った場所へは不思議な形の岩があった。足場の悪い道を結構な距離歩き、クタクタだった。周りの人にも心配されて、岩義さんの奥さんに、二人で大目玉を食らった。

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誕生日には、特別に張り切る

また、6月には出張員の哲也さんの娘さんのお誕生日が僕と一緒で、皆でお祝いをしようということになった。この頃、宝島には未就学児が少なく、幼稚園や保育園はなかった。以前は「イマキラ学級」という保護者で活動が行われていたが、移住した頃は娘さん一人だったと思う。哲也さんも、親戚の方も喜ばれた。

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プライベートでは…

実は、この頃には妻が勤めていた幼稚園を退職し、宝島で一緒に暮らし始めていた。昨年度末に新しい命を授かっていて、検診や結婚式の準備で行ったり来たりしながらだった。離島に暮らすと当たり前だったことに時間がかかる。何せ、本土までの移動時間は船で13時間…

ちなみに、黒岩さんや花田さんは、僕のスーツ姿に引き続き、袴姿も、「七五三だ」と笑った。言われた方は、忘れない。確かに、着せられている感が、すごいけど(^_^;)

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シマさんの誕生日には、「うさぎのダンス」

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