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もっと仕組みに優しい仕組みを

Webアクセシビリティ Advent Calendar 2018の14日目の記事です。「過去5年のアドベントカレンダー記事のまとめと感想とこれから」というテーマの予定だったけど、記事を読んでいて気分が変わったのでまとめはせずにポエムだけ書く。何か有益なノウハウやナレッジでもあればとも悩んだけど、それは来年にガンガン勉強会で共有していく所存。

過去の記事を読んで

アドベントカレンダーで、アクセシビリティの当時のことを知って「アクセシビリティは最近のぱっと出の概念ではない」と改めて気付かされた。最近自分が取り組み始めたからそう感じているだけで、当時からやってる人はやっていて、自分がただ知らなかっただけだったというのを痛感させられた。(まあ、それを感じたくて過去を読み漁ったんだけども。)

5年前の記事の中で「ここ10年の取り組み」とか「最近盛り上がってる」いうような話があるとすごく感慨深いし、これまでいろんな人がいろんな思いをもって啓蒙や共有をしてきたことがよくわかる。そしてなぜ今まで気づかずに蔑ろにしてきたんだろうという悔しさもこみ上げてくる。

仕組みに優しい仕組み

「アクセシビリティとは」を改めて考えたとき、「仕組みに優しい仕組み」という言葉が浮かんだ。

この「仕組み」という言葉は、先日のフロントエンドカンファレンス福岡Googleのえーじさんが登壇した「仕組みを作る仕組みを、作る仕組みを作る」というセッションから影響を受けた。彼の云うそれは、Webサイト/アプリという仕組みをつくるHTML/CSS/JavaScript/Web APIの仕組みを、オープンな仕組みで作っていけるプラットフォームやエコシステムなどの仕組みを作るという話(本人にちゃんと確認はとっていない独自解釈です)。

Webをとりまくいろいろなものを「仕組み」というレイヤーで分ける考え方が素敵で、Webアクセシビリティの場合でもいろいろな「仕組み」が関わっていると例えられる。Webにある情報が「ページ」という仕組みから「ブラウザ」という仕組みを介して、場合によっては「支援技術」を経由し、人間の「目」や「耳」や「手」という仕組みがそれを受け取り、「脳」という仕組みでそれが認識される(もちろん挙げたものだけではない)。

その途中のどれかの仕組みに何かがあっても、なるべく取りこぼしなく情報を伝達させること。次の仕組みが困らないように、優しく情報を伝える仕組みがアクセシブルの意味のひとつと言えるんじゃないだろうか。

アドベントカレンダーを読んで、先人たちが取り組んでいる多くがアクセシブルを作る仕組みに注力していることにも気づく。WCAGの翻訳でもっとわかりやすい訳注をつけようだったり、QAサイトを作ろうだったり、SlackやTwitterのコミュニケーションを活発に行なったり、そこにも優しい仕組みが動いているように感じる。

仕組みはオープンで、自分も参加できること

えーじさんのセッションとその後の懇親会で、一番印象に残っているのは「それらの仕組みはオープンで、だれもが参加できる」という話だ。つまり仕組みは自分でも作れるし、仕組みづくりにいつでも参加できる。改めて意識すると本当にすごいことだと思う。

Webアクセシビリティも同じで、仕様はオープンだし、ブラウザのほとんどはオープンソースだし、NVDAのようなオープンソースのスクリーンリーダーもあるし、翻訳もコミュニケーションもほとんどがオープンだ。そしてそれらにはいつでも参加できる。

そこに優しさはあるのかい

この「仕組みに優しい仕組み」はフロントエンドの技術やエコシステムにも当てはまっている気がする。DOMを扱いやすいようにReactのJSXやVueなどが進化してきたし、サーバーとのデータのやりとりをもっとわかりすくするためにGraphQLがでてきたし、あらゆるAPIが「仕組みに優しい仕組み」に進化しているように感じている。

つまり、自分がこれから作るもの、ありとあらゆる仕組みに「そこに優しさはあるのかい」と自問自答しながら取り組んでいきたい。Webページのアクセシビリティに関しても、ライブラリのAPI設計にしても、オープンな活動も、なんでもだ。

だから2019年の活動テーマは「もっと仕組みに優しい仕組みを」とする。

明日のアドベントカレンダーはhymさんです。

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