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街の本屋に行こう。「出会うはずのなかったもの」に出会うために。

年が明けて、よりよく生きるために、いくつか「始めること」と「止めること」を決めました。

そのうちの一つが、「本を電子書籍で買うのをなるべく止める。きちんと本屋で紙の本を買うようにする」というものです。

理由はいくつかあります。

一つには、年末からランニングや筋トレを再開して自分の身体と向き合うにつれて、これまで頭で考えてばかりいた様々な物事について、頭でっかちにロジックばかりになりすぎていたなと反省したことです。身体のことを知れば知るほど、動き一つ、呼吸一つとっても身体と頭が連動していることがわかってきました。であれば、きちんと「身体で感じたり考えたりする」分量を増やしたいなと。「紙の本の手触りを触れば身体で考えたり感じることができる」というのはいかにも安直ですが(笑)、それでも、身体が命令してくるのです。

もう一つの理由は、もっと実際的なメリット・デメリットに基づくものです。電子書籍は確かに便利で、いつでもどこでも本が手に入るし、いくらでもマーカーや付箋がつけられます。が、どうも、それがゆえに、自分の記憶に定着していないなと。マーカーや付箋をひく、しっかり該当部分にひく、ひきまくる。そして安心してその内容を忘れていく。簡単に見返せるのでまた見返す。その度に思い出す。そして忘れる(笑)。

一方で、紙の本は線を引くのはちょっと気が引けるのでページの端を折っているので、それ自体もちょっと面倒ですし、何より気になる箇所を見返すのも大変です。どこが本当に重要な文章か、ページを見返さないとわからない。でも、であるがゆえに、そのページを俯瞰して見返すと文脈が再度理解できるので、結果的に「該当部分の文章だけを読む」よりも、頭に入ることを実感しました。ただのアナログ礼賛ではなく、その方が効率が良い、と判断するに至りました。

そして、せっかく紙の本を買うなら、街にある本屋に行こう、と決めました。

電子書籍や本の通販サイトは、確かに自分の購入履歴から、「自分に合う本」をおすすめしてくれます。最初はその精度に驚いていたのですが、だんだん「退屈」に感じてきました。リコメンドというのは基本的に過去の自分の延長線上にあります。どれだけ精度が上がっても、あるいは精度が上がれば上がるほど、それは効率が良く、また見方によってはつまらなくなります。むしろ、本屋のスタッフが古今東西の本から考える「自分に向けられたものではなく」「この本屋に来てくれる人たち」に向けたユルいリコメンドの方が、「自分が考えもしなかったような出会い」をもたらしてくれる可能性が高いと感じたからです。

また、当然本屋も物理的な場所なので、街の空気やそこを訪れる人の感性や感覚と呼応しあってラインナップが決まってきます。それがとてもおもしろいと感じました。

幸い、自分が住んでいる渋谷区には東京、いや日本を代表するユニークな本屋である SHIBUYA PUBLISHING AND BOOKSELLERS と、代官山蔦屋書店 があります。

先日続けて両方に行ったら、偶然にもその2つの本屋で自分が関わっている書籍が平積みされていました。

一つはSPBSの棚で積んでもらっていた、所属している会社で自分が始めたキャンペーンについて紹介してもらっている博報堂さんの「イノベーションデザイン 博報堂流 未来の事業のつくり方」。

もうひとつは、代官山蔦屋書店の棚で積んでもらっていた、自分もコワーキングスペースの活用法について対談させてもらっている「フリーランス&“複”業で働く! 完全ガイド」

もちろん単純に書籍の中でご紹介いただいた時点でめちゃくちゃ嬉しいのですが、こうやってその書籍が平積みされているのを見るのはまた違う嬉しさがあります。その周りに置かれている書籍がどんな理由でどんなふうにセレクトされているのか、想像してみるのもすごく楽しいです。

この週末もまた、「出会ったことのないもの」や「出会うはずのなかったもの」に出会うために本屋に行こうと思います。

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