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この街は僕のもの

この街は僕のもの

くるりの「街」の一節。
明日、15年ぐらい住んだ街を引っ越す。
最後の夜。起きたらお別れ。
感慨深いようで別にそうでもないような。
でもやっぱり寂しい。切ない。
人生2回目の引っ越し。
大学生の後半からこの街に来てそのまま15年住んでいる。
大学が近くにあるからというシンプルな理由で住み始めたけど、卒業後も住み続ける人そういない。しかも10年以上。
同級生も後輩もみんないなくなった街に何となく住み続ける。1人だけまだこの街を卒業できていないようだ。
モラトリアムの延長なのか。

15年通い詰めた中華のお店とラーメン屋は
引越す前に行ったけど、
特にお気に入りの店も場所もそんなにない。

この家はというと、それなりに思い出がある。1人で過ごした時間が圧倒的に長かったし、帰って寝るだけの日の方が多かったけど。
大学生の時はみんなで集まったりして楽しかったとか、震災の時に何となく心細くて近くの後輩と一緒に過ごしたこととか、急に思い出した。
働きだしてからは思い詰めて眠れない日もあったな。

3年前から妻と同棲してからは、帰るのが楽しみになった。待ってくれる人がいたから。2人で住むような家じゃないのに(狭いしボロい)、長らく我慢させて申し訳なかったなあ。

5年ぐらい前から、近くの路地裏で毎日のように見かけた猫。野良と思ってたら、半外飼いの飼い猫だった。名前を知ってからは、会うたびに呼びかけて可愛がった。ツンデレ。
妻にしかなついてなかった。
2人でこの猫について話さない日は1日もなかったかも。寂しいな。会えなくなるのが。

そんなことをよく通った銭湯の天井を見上げながら考えていた。

まあ、振り返るといろいろあるし、終わらないからやめる。

また、たまに来たいから、ジムだけまだ解約してない。口実を残している。

隣街に引越すだけだから、いつでも来れる。
でも、この街の住人としてこの家に住むのも今日が最後。

とにかく、嬉しかった日も、悲しかった日も、悩んで死にたいとか思った日も、この街のこの家に帰ってきて、今日まで生きてこれた。

新しい家の方が広いし綺麗だけど、この家がやっぱり好き。おれの全てを見届けてくれたわけだし。愛着がある。
次に住む人も気に入ってくれるといいな。

明日も早いから寝ようと思ったけど、夜更かしして書いた。
この街とこの家にありがとうを言いたかったから。

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