見出し画像

ペルソナの作り方 〜テンプレートなんて無いよ〜

ペルソナについて調べていたら、Ben Ralphさんの記事を見つけ、とっても参考になる気がしたので、自分の備忘録のためにも日本語翻訳してみることにしました。結構意訳してる部分も多いですが、ご了承ください。

以下、訳です。

原題:Creating Personas

ペルソナ作成では、盲目的にテンプレートに従わないことが重要です。ただテンプレートを使ってしまうと、ペルソナ作成において重要なポイントを逃してしまう可能性があります。ユーザー調査の目的によって、作成すべき項目も変わってきます。テンプレートに阻害されてはいけません。

重要なのでもう一度言います。単にテンプレートに従わないでください!

しかし、そんなことを言われても、実際にペルソナを作る際に困ってしまうことでしょう。

ペルソナ作成は時間の無駄じゃないですか?


ペルソナは、チームでユーザーへの共感の共通認識を作る上で非常に重要です。素晴らしいサービスは、開発チームがユーザーのことを考え抜くことで生まれます。あらゆる会議、意思決定、デザイン、コード1行でさえも、ユーザーのことを第一に考える必要があります。

しかし、常に意識するのは難しい。私たちのオフィスにユーザーは居ないからです。

だからこそ、ペルソナをプリントアウトして壁に張っておくことが、ユーザー常に意識するために必要不可欠なのです。

ユーザーを意識するつもりが無くても、ペルソナが壁に張ってあることで、ユーザーを意識せざるを得ません。ペルソナ作成は時間の無駄ではないのです。

何から始めると良いんですか?

オフィスから出て、ユーザーと話しましょう。

ユーザー調査については コチラ

私( @yuta3594 )の記事もご参照ください!

 ペルソナにはどんな情報を入れるべきですか?

正解はありません。テンプレートに従うことを否とした通り、まず「あなたたちのチームが、ユーザーについて知りたいことは何か」という問いに答えられるようにしてください。毎日繰り返し目にして常に意識したいユーザー情報はどんなものですか?

私(原記事の筆者であるBen Ralph氏)は、このワークシートをもとにペルソナを作っています。

ペルソナワークシートは、こちらからPDFをダウンロードできます。

印刷して、付箋でたくさん情報をプロットしていってください。必須項目は無いので、使わない項目があってもいいし、追加しても構いません。

ユーザー調査で聞いたことをすべて記録し、分析してください。あなたが抱いていた固定概念は捨てることが重要です。そうすることで、よりリアルなペルソナができます。

それでは、ペルソナワークシートの各セクションを見ていきましょう。

セクション1:第一印象(First Impressions)

プロフィール写真(Profile Photo)

・どのペルソナにおいても、最も重要な部分です。

・決して、パソコンに保存されている適当な画像を使わないでください。あなたが望まないにしても、その画像があなたのチームが抱くペルソナの印象を左右します。そのため、リアリティを感じない適当な写真を使うべきではないのです。

・プロフィール画像を通して伝えたい事は何ですか?人の性格・特徴は様々な側面を持っているため、あなたのアプリを使う際に関連する、その人の 人となりがよく表れる情報を選ぶべきです。

・誰かがペルソナの写真しか見なくても、どんな人であるかが伝わるような写真を選んでください。

名前(Name)

・こちらも難しいですが、重要なセクションです。

・名前は、「知美」「直樹」「茜」などのように名前らしい名前をつけてください。「学生」「スポーツトレーナー見習い」「シングルマザー」等ではいけません。名前は、ペルソナに含めたあらゆる情報を一言で伝達するシグナルになります。

・「知美がその機能を使うことは無いね」「直樹はそのユーザーフローを理解できないんじゃないかな」というように、ペルソナの名前を会話中に使うのはよくあることです。

・有名人の名前は使わないでください。あまりに余計な情報を含みすぎてしまいます。

役割(Role)

・他のペルソナと何が違うのか、どんなユニークな特徴があるのか、アイデンティを与えるのが役割です。職業が多いですが、必ずしも職業でなくても大丈夫です。より短く表現できると良いです。

・例えば、小学校のためのアプリを作っているなら、教師のペルソナは「人前で話すことに慣れていない新米教師」、「厳格な態度のベテラン教師」、「元気で人気者な体育会系教師」などがあり得ます。生徒ペルソナは「やんちゃな生徒」「勉強はできるが、大人しく目立たない生徒」などがあり得ます。

引用(Quotes)

読者がペルソナの感情や個性に関する洞察を得られるようなセリフを1つか2つ選んでください。

コツ:

・インタビュー中の発言をそのまま使ってください。

・プロダクトに関連している発言を選んでください。

・できるだけ短い発言を選んでください。

デモグラフィック(Demographics)

・プロダクトに関連性のあるものだけをリストします。

・「彼らの仕事が何であるかを知ることは重要ですか?」「彼らの学歴について知ること重要ですか?」「彼らが何歳であるかを知ることは重要ですか?」もしそうなら記載し、そうでない場合は不要です。

・たとえば、住宅ローンを借りるためのアプリを作成している場合は、仕事、収入、勤務地、配偶者の有無などがアプリ内で重要な要素になる可能性があるため、知っておくことが適切な場合があります。

・その一方で、子供たちが料理することを学ぶのを助けるためにアプリを作っているならば、年齢、読書レベル、台所での経験、アレルギー有無などを知ることがプロダクトに関連します。

セクション2:モチベーションと行動(Motivation&Behavior)

ユーザーの目標(Goals)

あなたのプロダクトに関連した、ユーザーが達成したいことはなんでしょうか。あまりにも限定された目標を書くのは適していません。もう少し深く掘り下げてみましょう。例えばこんな感じ。

・入学希望者は大学の学位を求めているのではなく、給料の高い仕事が欲しいのです

・オフィスワーカーはコーヒーが飲みたいわけではなく、集中して早く仕事を終わらせて家族と夕食をとりたいのです

・宅配ピザの注文者はピザが食べたいわけではなく、夕飯の支度を避けたいです

もし、ただ「ピザを食べたい」というゴールしか見えていなかったら、ビジネス機会を逃してしまいます。そこから一歩深掘ったゴールを知ることで、ピザ以外のものを売ることができるようになります。

ジャーニー(Journey)

・上記で挙げた目標を達成するために、ユーザーはどんなことをしますか?

・このセクションの目的は、ユーザーの現在の行動をより詳細に理解することです。そうすることで、ユーザーの課題を解決する価値を提供でき、競合に打ち勝つことができます。

・「ユーザーがイライラしたり、混乱したりする点」「ユーザーが満足感、嬉しさ、楽しさを感じる点」「省略できたり、簡単に自動化できる工程」に注意しながら作ってみましょう

モチベーションvs能力(Motivation vs Ability)

・モチベーションvs能力は、デザイナーがユーザーがしたいことをやらせるための重要な観点です。ユーザーにとって実行が簡単で必要な能力が少ないものであれば、それを実現するための動機付けも少なくて済みます。

・たとえば、食事をしていて、ケーキを食べたくなった場合、冷蔵庫の中にあれば小さなモチベーションでも簡単に食べることができます。もし車で20分かけて買いに行かないとだめであれば、誰かの誕生日であるくらい大きなモチベーションがないと中々動かないでしょう

・ユーザーが障害にぶつかると、リスク(または努力)は報酬に見合う価値があるのかを無意識に計算します。

・デザイナーとしては、ユーザーの購入を妨げるものと、それを動機付けるものを知っておく必要があります。そうすれば、モチベーションが能力を上回り、ユーザーが購入するようなプロダクト設計が可能になります。

サイズが合うか心配?→返品無料にしよう
配送料が高そう?→配送料込の値段にしよう
ログインパスワードを忘れそう?→Facebookログインに対応しよう
後でまた検討する?→売り切れになりそうな商品を目立たせよう

・このセクションでは、次のことを行います。

ユーザーを動機付けるものは?
ユーザーを阻害するものは?
彼らが購入するきっかけとなるものは?

↑例:映画に行く

ユーザーを動機付けるものは?→友達に会う、映画を楽しむ
ユーザーを阻害するものは?→高すぎる、映画がつまらない
彼らが購入するきっかけとなるものは?→新しい映画公開

↑例:大学受験をする

ユーザーを動機付けるものは?→良い仕事につける、友達と同じ大学に行ける
ユーザーを阻害するものは?→評判が悪い、キャンパスが遠い
彼らが購入するきっかけとなるものは?→高校卒業

セクション3:インフルエンサー(Influencers)

・普段の生活で、誰がユーザーに影響を与えてますか?

・親が子供のために食べ物を買うとき、信頼できる友人が推薦したものに影響されます。

・18歳の学生が大学の学部を選択するとき、両親や周りの友人が考えていることに影響を受けます。

・休暇の旅行先を決める時は、あなたのパートナーによって影響されるでしょう。

・上記の例だけでもわかるように、ユーザーその人だけを理解しても不十分です。外部からの影響も含めてユーザーを理解するようにしましょう。

セクション4:環境(Environment)

・あなたのアプリはどんな環境で使われていますか?

・バスの中でスマートフォンを使って?職場でノートパソコンを使って?ベッドに寝転びながらタブレットで?カフェで無料Wi-fiを使ってる?

・アプリの使用方法と使用場所は非常に重要で、ただモバイル版をリリースするだけでは不十分です。

・このセクションでは、ユーザーがプロダクトを触るシチュエーションを3つ書き出します。

・例:銀行アプリ

シーン1:ATMでパスワードを再設定するとき、周りに人がいると焦る
シーン2:自宅のソファにて、テレビを見ながら、今月の家計を確認する
シーン3:携帯を使って、急いでデビッドカードにお金を移そうとする。なぜならお店で並んでいる時にデビッドカードにお金が足りないことに気づいたから


・例:料理アプリ

シーン1:キッチンにて、iPadアプリで卵の分量を調べたいが、手が汚い…
シーン2:ネットスーパーでの買い物中、今日の夕飯のための食材が全部揃っているか確認したい
シーン3:午後5時15分、ノートパソコンで仕事をしながら、夕食の献立を何にしようか決めたい


セクション5:ペルソナファミリー(Persona Family)

・作成した複数ペルソナの関係性を理解することは重要です。作成したペルソナには重複する所もあるため、それぞれの関係性を理解するのはチームにとって良いことです。

■関連ペルソナ(Related Personas)

現在作成中のペルソナに関係性のあるペルソナがいれば、ここに書き留めておきましょう。

たとえば、「母」のペルソナを作成したばかりで、「子供」のペルソナも作成した場合、同じ家族であれば、その関係性を明示しておきます。

■ペルソナマトリックス(Persona Matrix)

すべてのペルソナがどのような関係性にあるのかを1つのマトリックス図にて表現してみましょう。見た目より難しい作業ですが、これをやることでより理解が深まるでしょう。


ここまで来たら、いよいよペルソナの完成です。
どんな見た目がいいですか?上記のワークシートは、ただのワークシートなので、実際のペルソナは魅力的につくりましょう。

以上が記事の翻訳です。原著者のBenさんにお仕事を頼みたい場合はこちらのLinkedInからお願いしますとのことです。

UXデザインに関して情報発信していますので、私のTwitterもぜひフォローください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?