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SRAM Etap AXSと引き算の美学

Etap始めました。

 ロードバイクに乗り始めて10年以上、この度コンポーネントを畜生のような”値上げ”と”品薄”のシマノ社製品を切り捨て、”豊富な在庫””コストパフォーマンス”という概念の存在しないSRAM社 Etap AXSによる機材共通化と電動化に至った。初めてSRAMのEtap AXSの商品群に触れてから約1年。そこに至った経緯とSRAMのAXSシリーズの設計思想についてゲボゲボ吐き語りたいと思う。

SRAMとの出会い

 以前は生粋のシマノユーザーだった。ロードバイクのコンポーネントといえばシマノ社かカンパニョーロ社でSRAM社といえば、ヒルクライマーや軽量マニアが使うゲテモノキワモノメーカというイメージが強かった。
 ロードレースを走っていた学生時代はシマノ600から始まり、6800アルテグラ、失敗作の7900デュラエース、新時代が来たと感じた9100デュラエースとシマノのここ20年くらいの系譜を確実に辿っていた。
 ここまでがリムブレーキの時代であり、電動コンポーネントでなくとも重量的デメリットが少なかった。
 ところがである。阿呆な学生時代は終わり、社会というレールに乗ったところで今度はディスクロードというものが出てきた。
 ここで時代に乗り遅れまいと、新しいロードバイクを組んだ。もちろんコンポーネントはシマノである、11s最終系のR7000に既に持っていた9100デュラエースクランクを組み合わせ2年ほどポタポタとサイクリングに勤しんでいた。レースを走るわけでもなくのんびり走るには全く不満もなく、使い勝手や性能もシマノらしく堅実であった。
 ところが、社会のレールに乗ったと思ったらすぐに脱線した(周りの人間は納得した)。105より堅実でない僕は以前勤めていた会社を退職しサイクルショップに勤めた。そこで出会ったのがSRAM Etap AXSだった。
 とりあえず、今までの鈍重普通な自転車は飽きてきたので(そもそも同じ自転車に3年も乗ったことが無かった)新しいバイクが欲しくなった。コンポーネントも今まで使ってないものも試そうということで、軽量で電動無線変速のSRAM RED Etap AXSという諭吉さんが2クラス分ぐらい飛びそうな価格のコンポーネントを選んだ。
 フロント48×35 リア11-30 というシマノユーザーから???が飛びそうなギア構成にシフターには左右各1つしかないボタン。僕からすればコンポーネントの黒船感があったが、使っていくうち、調べるうち、MTBコンポーネントも巻き込んだ汎用性、あらゆるフレームに純正パーツで対応する懐の深さ、緻密さ複雑さの押し売りシマノとは反対のような引き算の美学で設計された製品群は、dotオイルのように僕の心を確実に侵潤していった。

極寒の八幡高原より〜愛と霜焼けを添えて〜

 その性能とシンプルさを発揮したのは2021年シーズン初雪の八幡高原である。aleというメーカーのジャージの限界性能を試すためにわざわざ悪天候の中”西日本最寒の地”という異名を持つ八幡高原に訪れていた。
 ジャージは素晴らしい性能を発揮したことはまたの機会に吐こうと思うが、この時とんでもないミスを犯していた。
 なんとグローブは秋物でシューズカバーも忘れてしまったのである。氷点下の気温と、完全wetな道路環境。20kmも走ると完全に手の感覚はなくなってしまった。
 特に山がちな地形のため、変速操作は頻繁に行う。ところが指先の感覚は完全に無いうえ路面は北国特有の未舗装路の方がマシと思えるほどの荒れ具合だ。ところがEtapのシフトレバーはそんな情けない僕の指先でさえも懐深く受け止めてくれた。
 電動コンポーネントやSRAMを使ったことがない人はイメージしにくいかもしれないが、Etapの操作は2つのレーバーで3つの操作を行うのである。
 左レバーをタップすればリアが軽くなり、右レバーをタップすればリアが重くなる。フロント変速はどうするかと左右のレバーを同時にタップするのである。
 ボタンが減ることによって一つのボタン面積が大きくなるため、確実な操作が可能になる。また右か左のどちらか直感的に選べるので誤操作も減る。同じ電動変速でもシマノのDi2は一つのボタンが耳糞鼻糞のように小さく二つに分かれているため、ゴツい冬物グローブや荒れた路面では誤操作が起きることがある。
 この時は道も荒れている上に、霜焼けで死体蹴り状態だったので極限状態での使用感を図らずしも経験することができた。そして、Etapを選んで本当に良かったと、スラムの美学に感銘しスラムの設計思想に陶酔した。

初雪の八幡高原。勿論氷点下。

AXSシリーズの幅広い互換性

 SRAMの12S Etapのシリーズにはロード系MTB系問わずAXSの総称が付帯されています。そしてAXSの名の付くものは物理的な問題は別として全て組み合わせることが可能となっている。
 例えば、RED Etap AXSのシフトレバーにEAGLE AXSのリアディレイラーを組み合わせ、ロードなのにmtbの超ワイドスプロケットという芸当も可能だ。(ちなみにスラムのスプロケットはMTBがXDフリーボディ、ロード系が XDRフリーボディとなっているが、XDRフリーボディにスペーサーを入れることでXDボディとして使用可能である。)
 また無線変速のため各ディレイラーの躯体にバッテリーが搭載されるが、このバッテリーの互換性は11s Etap時代から変わっておらず、また前後で同一のためバッテリー切れの際は入れ替えることで、どちらか一方は動かせるようトラブルにも強いようになっている。(カンパニョーロの前後で違うバッテリーはどうかと思う)
 また少し出てきた前世代の11sEtapの部品は出てないが12S Etap AXSのシフトレバーは実はアップデートで11Sのリアディレイラーに対応できるようになっていたり、リムブレーキ仕様を未だにラインナップしていたりと痒い所に手の届くソフトウェアになっている。
 地味ではあるが油圧ブレーキの引量などもロード系AXSシリーズは2023年時点で全て同一のため、全てにおいて互換性がある。これがシマノだと世代やグレードで改良がなされているため公式で△や×の組み合わせがある。△ってどういうことやねん。
 28.99mmの軸を採用したDUBクランクについてもあらゆるフレームに対応するため多くのBBを発売している。BB86とJISとITAしか出さないシマノとは大違いである。なおBB90など物理的にDUBが厳しいフレーム用に従来のGXPクランクもラインナップにある。
 当初、スラムが変な規格作った〜くらいにしか思われてなかったが高剛性なダイレクトマウントのクランクによるシングルスピード化や、後付け可能なスパイダーアーム型パワーメーターなど様々なニーズに対応したDUB規格は少なくともスラムユーザーには好評を持って脳死状態で受け止められている。
 

今回はここまで。

とにかく公開することを優先するので中途半端だが今回はここまで。
また気が向いたら何か続きか、別のこと書こうかな。


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