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9つの数字から考える

エッジコンピューティングに関してそもそものマーケットサイズとか、ビジネス的にみてどうなの?今後どうなるの?という点に関して、9つの数字から考えてみる。
"Edge computing by the numbers: 9 compelling stats" by Stephanie Overbyを参照)


$3.5 billion (約3768億円): 2019年時点でのエッジコンピューティングの市場規模
(参考: Grand View Research

$43.4 billion(約4.7兆円): 2027年のエッジコンピューティングの市場規模予測(CAGR 34.7%)5Gによる産業構造の再編が大きな要因の1つと考えられている。
(参考: Grand View Research

30%: 企業に対する調査結果によると、向こう3年間は約30%のIT予算をエッジ・クラウドコンピューティングに使うという結果が出た。
(参考: “Strategies for Success at the Edge, 2019,” a report by Analysys Mason

2.9兆: 2022年までにネットワークにつながるデバイスの数。そのうちの半分以上(1.8兆)はIoTデバイスと言われているもの。
(参考: Telecommunications Industry Association

57%: エッジアーキテクチャが絵空事ではなく本当に起こり得るか?という問いに対して、57%のモビリティ業界の決定権者たちは、2020年のロードマップにすでにエッジコンピューティングが組み込まれていると回答。
(参考: 2019 Forrester Analytics Global Business Technographics Mobility Survey

75%: 2025年までに企業が作り出すデータのうち、75%はクラウドやDCではなく、エッジにて処理される。
(参考: Gartner

50%: Edge-Cloud の IaaS, PaaS のマーケットは2020年に50%増加すると考えられ、それによりCloud とEdgeが協調し、クラウドのサービスの一部をエッジでも展開することが可能になる。
(参考: Forrester "Predictions 2020: Edge Computing Makes The Leap")

1ms: 5Gとエッジが連携すると、遅延を1msレベルまで抑えることができるといわれていたが、実際には現状およそ <30msレベルとなっている(参考: Verizonのシカゴ/ミネアポリスにおける5Gの試験)
IBMはエッジを活用すれば、10〜20msまで遅延を軽減することが可能であると指摘しているが、専門家は実際の状況で1msレベルのレイテンシが可能になるまでには、しばらくかかると予想している。

$14.5 billion (約1.4兆円): マイクロデータセンター(大型のエッジ)。今までのエッジのエコシステムの中では新しい部類だが、今マーケットとしては伸びており、2018年に3000億円だったものが、2025年にはおよそ1.5兆円規模のマーケットになると予測している。
(参考: 2019 Global Market Insights report


これらを自分の経験をふまえて補足すると、ざっくり以下の3点に集約できる。


1) マーケット規模としてはまだまだ過渡期で今後指数関数的にのびるが、自分の現場肌感としては、マーケット規模と社会実装に大きな乖離があると感じる。言い方を変えれば、まだまだ山ほど手つかずのチャンスが転がっている。

2) 今までのWiredや短距離なWirelessをベースにしたエッジコンピューティングの事例に加え、5Gが加わることで新たな使われ方が模索できるようになる(面でカバー&低遅延)。ただ5Gで実際に具体的な話(5Gベースの産業ソリューション)になるのは、早くとも2022年以降ぐらいになるだろうな、と感じている。やはりカバレージとコストがこなれ、MECの上で動かすアプリの3つが整うのに時間がかかりそうな気配。

3) 産業においてクラウド一辺倒のAIでは片手落ちで、中途半端なソリューションにしかならない。クラウドAIをエッジと連携させることで、柔軟に現場へ展開したいニーズが増大している。(これは実際に我々の案件でも増えているニーズの1つなので、肌感とあっている)


もちろんこれらは国や地域また業界によっても差があるが、全体像として俯瞰した場合、実際の現場のニーズや動きとマッチしていると思う。


長らくエッジに纏わる仕事をしていると、もうエッジは出がらしのような感覚に陥ることがままあるのだが、改めてこのように俯瞰するとまだまだ青田だなと感じることができ新鮮さを取り戻せる。

エッジはあまり表には出なくて正直地味だが、まだまだ面白く且つ実用的な分野の1つ。
今後も様々なエッジのソリューションが生まれ、世の中の問題を解決していくのを見るのが楽しみで仕方がない。


“The product that wins is the one that bridges customers to the future, not the one that requires a giant leap.”
–Aaron Levie, co-founder of Box


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