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這い上がった雑草軍団




今シーズンから初めてHKDで
U15カテゴリーを受け持たせていただきました。


率いたのは【U15 2ndチーム】


先日の地区カブス全道大会では
準優勝という結果で、
外サッカー公式戦に一区切りをつけました。


彼らがどのような道のりを歩んできたのか、
書いていこうと思います。





◾️始動


4月に集まったメンバーを目の前にした時、
ここ数年は小学生のカテゴリーを見ていた僕は
久しぶりに見る中学生のプレースピードや
プレー強度に関心した記憶があります。

U12年代の頃に見ていた選手も
体の成長とともにプレーが変わっていました。

とはいえ、彼らは2ndチーム。
劣等感を抱いていたり
さすがに中学生にもなればプライドが
傷ついていたり、落ち込んでいた選手も。

現に1人の3年生からはTOPに
入れなかったことで
サッカーを辞めたいという話もありました。

スタッフ陣で
「まずは自分が中心として
試合に出ることが成長に繋がる」と説得し、
なんとか続けることを決めてくれました。

彼は後に2nd teamのキャプテンとなります。


他にもメンタル的に
ネガティブな言動が多い選手、
人任せや一歩踏み出す行動力がない選手が
多い印象を受けました。





◾️強烈な目標設定


そんな選手達を一つにするには、
目標設定が必要でした。

僕は受け持つカテゴリーは必ず最初に
明確な目標を打ち出しますが、
U15 2nd teamにとっては
より現実的かつ強烈な目標設定が必要でした。

なぜなら彼らは2nd teamだからです。

うまくいかなければ
簡単に道を外れてしまう可能性もあるし、
精神的に難しい時期だからこそ
「頑張れば手が届き、燃えるモノ」が
そばにある状態が必要でした。


そこで打ち出した目標は2つ。

①リーグ優勝・昇格
②TOPチームに勝てるようになる


今年の2ndチームは
札幌地区カブス1部リーグに所属し、
優勝&リーグ昇格を1つ目の目標にしました。

そしてTOPチームに勝てるようになることが、
彼らを最も成長させるためのエネルギーでした。


実際に6月頃、TOPチームと紅白戦をした時は
「どれだけ早く失点しないか」のレベルで
やられていましたが、
夏を越えてからは互角に戦えることができたり、
少なからず彼らの中で
手応えを掴めるようになっていたと思います。




◾️目標達成


シーズンが始まり、
リーグ戦がスタートしました。

シーズンを通してシステムは
3-4-3、4-4-2、4-3-3の3種類を採用しながら
サッカーの幅とプレーの幅を広げていきました。



そして掴んだ最高の結果。

【リーグ無敗優勝・昇格】


得点は41、失点はわずか2と
圧倒的に目標を達成することができました。



さらに札幌地区カブス
チャンピオントーナメントにも出場。
全道大会出場権も獲得することができました。







◾️激闘の全道大会



この時期まで本気で外サッカーができる
北海道の中学生は限られていました。

幸せを噛み締めて戦うことを胸に刻み
全道大会は挑みました。




1回戦を危なげなく勝利し、
2日目の準々決勝では大逆転勝利。
準決勝でも後半残りわずかで同点に追いつき
PK戦の末、逆転勝利。



こんなにミラクルが起きるのかと思うくらい、
素晴らしい試合が続き、試合を重ねるごとに
強くなっていく姿を感じました。

そしてクラブとしても
初の北海道大会決勝へ進出。

決勝戦は天候、相手、舞台、サポーター、
全てが整った素晴らしい一戦となりました。



正直、力関係的にはかなり格上の相手でしたが、
ここまで這い上がってきた彼らは決勝戦でも
驚くようなプレーを見せてくれました。

接戦の末に負けてしまいましたが、
成長した姿を保護者やお世話になった方々へ
見せることができた試合だったと思います。

そして応援してくれたクラブの選手達に、
感動と勇気を与えたことは間違いありません。

誇りを持ってほしいと思います。





◾️いいヤツであれば強くなれる



結局ここまでチームが快進撃を続けたのも、
選手達が「いいヤツら」だったからです。


特に3年生は
日頃の練習からいい雰囲気を作ってくれるし、
ふざける時は笑いを取ることも容易。
2年生とも同い年のように接してくれる、
本当にいいヤツらだったと思います。

そして変わろうと努力し続けた
2年生の活躍も目を見張るものがありました。
振り返ると全道の決勝戦では
7人の2年生がスタメンに名を連ねていました。

性格的に無責任な選手が多い2年生ですが、
シーズンを通してはもちろん
全道大会では
シーズン最高のプレーを見せてくれました。




結局強くなるチームは、
いいヤツらであることが必須条件です。

そして2ndの選手達には
「反骨精神」が常にあったと思います。

「TOPに上がりたい」
「試合に出たい」
「試合で活躍したい」

そういった「成り上がりたい想い」
いつも心にありました。

【いいヤツら×反骨精神=強くなるチーム】


これは今シーズンを通して学びました。

ということで僕自身も選手同様、
成長させてもらうことができました。

ありがとうございます。



◾️どこにいても人は変われる



今回の大躍進で成長した2ndの選手達は、
今どんな気持ちでしょうか。

試合に出れる環境に身を置いて、
自分が中心となってプレーすること。
手の届く目標を一つずつ手に入れていくこと。

これらがどれだけ大切なことか、
身を持って感じたと思います。

周りを見れば羨ましいことだらけの
サッカー界ですが、
本当に自分が伸びる場所に身を置いて、
そこに本気の時間を賭けることができれば、
自分が望む場所まで辿り着くことは可能です。


今回の大きな経験は
これからの人生に必ず活きてくるでしょう。






全道大会2日目の激闘を制した帰り際。



春にTOPに上がれず
サッカーを辞めたいと言っていたキャプテンに
「2ndにいて良かったか?」と聞きました。



彼は満面の笑みで「ハイ」と答えていました。


ありがたいことに
ここで終わりではなく、
まだまだ中学サッカーは続きます。

今後も誰がどんな風に化けるのか、楽しみです。

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