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「ブランド価値」は、テック企業に独占されつつある

「ブランド価値」は、テック企業に独占されつつある。

みんな肌で感じてはいるそのことが、Interbrandの報告書『Best Global Brand』2017年版にデータでまとまっていた。 以下、ざっくり眺めてみる。

そもそもブランドの重要性は増し続けている

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ブランド価値の高い企業群は、一般的な企業群と比較して企業価値がより向上してる。それも17年かけてその差は倍近くに開いている。

プロダクトが溢れる現代において、選ぶことすらコストであり、また期待を下回る体験への耐性も消え失せつつある生活者からすれば、選択におけるブランドへの寄与度が上がるのは自然なこと。

そして、機能に加えて、買う体験が嬉しいか、持っていることが誇らしいか、使っていて気持ちいいか、「映える」かが重要な時代。ブランドはそれらすべてに影響を及ぼす。重要性はきっとこれからも上がり続ける。

トップ3はアップル、グーグル、マイクロソフト

じゃあ、誰が強いブランドを築いているのか。まずは、『Best Global Brand』のランキングトップ10を見てみる。

1. アップル
2. グーグル
3. マイクロソフト
4. コカ・コーラ
5. アマゾン
6. サムソン
7. トヨタ
8. フェイスブック
9. メルセデス・ベンツ
10. IBM

この10個のブランドが、Best Global Brandトップ100社のブランド価値の42%を占めている。

・とにかくテック企業が強い

トップ10に、テック企業のビッグ5の頭文字を取ったFAMGA(Facebook, Apple, Microsoft, Google, Amazon)が全員顔をそろえている。

トップ10だけじゃない。

セクター別に見てもテクノロジー・セクターがナンバーワンで、100社のブランド価値の36.1%という数字を叩き出している。第2のセクターである自動車でも14.3%、第3の金融サービスが6.5%なので、圧倒的だ。

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(Source: Interbrand. 図は筆者作成)

・しかもテック企業は伸びまくっている

まあ予想通りというか、伸び率トップ3もテック企業だ。

1. フェイスブック +48%
2. アマゾン +29%
3. アドビ +19%
4. アディダス +17%
5. スターバックス +16%

セクターごとの伸び率では、リテールが1位、スポーツ用品が2位とテクノロジー・セクターは3位となっている。

ただし。

1位のリテール・セクターの価値の67.2%をアマゾン、13.7%をeBayが占めていることを忘れちゃいけない。どちらも、ど真ん中のテック企業。(ちなみに残りの19.1%はイケア)

・絶対値でもっともブランド価値が伸びたのもテック企業

ここまで来ると言うまでもないけど、せっかくなので絶対値も見ておく。ブランド価値の増額分でも、トップ5はFAMGA。どこまで行くんだ、君ら。

1. フェイスブック
2. アマゾン
3. グーグル
4. マイクロソフト
5. アップル

・新規ランクイン企業もテック企業

新規ランクイン企業は2社で、企業価値のランキングでは

1. ネットフリックス
2. セールスフォース・ドットコム

と、そうだよねえという感じ。ちょっと意外なのは、SalesforceのようなB2B企業すらもランクインするというところ。

「ブランド価値」は、テック系企業に独占されつつある。

日本企業はどうなの?

日本企業は6社がランクインしてる。

7. トヨタ
20. ホンダ
39. 日産

とやっぱり自動車メーカーが3強。 続く3社も、イメージ通り電機メーカー。

52. キヤノン
61. ソニー
75. パナソニック

100社のブランド価値が平均で4.7%伸びているなかで、残った日本企業は-3.4%と減少している。

(ちなみに、Moosylvaniaという広告代理店によるミレニアル世代向けブランド調査では、ソニーが4位、任天堂が17位と善戦。プレイステーションやWiiなどの影響が強そう)

サムソンとソニー

日本の電機メーカーの中で唯一ブランド価値が2%向上したソニーと、サムソンを経年比較したのが以下の図。(こういう比較も、サイト上で自由にできる。遊んでみるといろんな発見がある)

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(Source: Interbrand)

水色がサムソン、緑色がソニー。2005年に逆転されて以降、その差はどんどん開いている。スティーブ・ジョブズが憧れたソニーは、地を這っている。

ちなみに、ソニーはエレクトロニクス(電気機器)セクターとされているが、サムソンはテクノロジー・セクターに入ってる。ソニーもサムソンも稼ぎ頭は半導体。一方で、サムソンはスマホの世界シェア圧倒的1位を誇るGalaxyを抱えている。だからこそのテック企業枠。

サムソンのブランド価値がグッと上昇しだしたのは、2010年。Galaxyがリリースされたタイミング。毎日すごい時間をGalaxyのロゴを見ながら過ごし、Galaxy上での体験が人生の大きな割合を占め、それなくしては生きていけないくらいの位置にいるプロダクト。そりゃあ強いよね。

テック企業とブランド価値

iPhoneを触らない日はない。人によっては起きている間はずーっと触っているかもしれない。Googleで検索しない日もない。Google Mapがないと目的地にたどり着けない人だって山ほどいるはずだ。仕事でWindowsのPCとOffice関連のプロダクトを使わない人も少数派だろう。

圧倒的な体験と、圧倒的な浸透度。別に最高のCMを流さなくても、大量の広告を打たなくても、プロダクトが日々(あるいは分刻みで)ブランディングを続けてくれる。だからこそ、繰り返しにはなるけれども、「ブランド価値」は、テック企業に独占されつつある。

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