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年末年始、こんな本を読んだ:『訂正する力』

年末年始、こんな本を読んだ:『訂正する力』

『訂正する力』東浩紀(朝日新書)年末年始くらいは哲学でも読むかと勇みつつ、でもこの時期 朝から晩まで酔っているのでむずかしい話は無理無理〜 な私にぴったりの新書。政治からサブカルまでさまざまな話題が語りおろされ、トーク番組を聞いているみたいだ

この本のテーマ「訂正」は、今までの東さんのコンセプト(「誤配」とか「観光客」とか)に比べると、ストレートで分かりやすい。東さんは、停滞する日本を変革するの

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歌舞伎町のRyuichi Sakamoto

歌舞伎町のRyuichi Sakamoto

天気は悪いけどコロナも(政治的には)終わったことだし外に出るかってんで、久しぶりに新宿は歌舞伎町に向かう。アルタ前の交差点で信号待ちして左側を見ると、おぉこれが噂の猫ビジョンか。確かに飛び出してるわ

旧コマ劇場前はガラガラと再開発されて、最近オープンした歌舞伎町タワーがドカーンと立ってます。

エスカレーター上がって2階は、歌舞伎町らしく猥雑にデザインされた飲食フロア。上弦の伍の壺から出てきたよ

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平成31年4月30日に『箱の中の天皇』を読む

平成31年4月30日に『箱の中の天皇』を読む

まもなく退位する今上天皇の眼前で、マリ(作者の投影)とマッカーサー元帥が激しいディベートを繰り広げる。象徴とは何か? 天皇とは何か? いろんな意味でキケンな領域に踏み込むプロットだけど、小説ならではの夢幻な表現とロジカルな討論劇の組み合わせで、政治的・思想的なキワどさを免れている。

「小説とはいえ、現役の天皇陛下を登場させて何を言わせるのか?」 という疑問にも、“お気持ち”談話の引用とミニマルな

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江戸は燃えているか?:冲方丁 『麒麟児』

江戸は燃えているか?:冲方丁 『麒麟児』

やっぱ正月読むなら時代物だよなあと本屋を物色していたら、平積みされていた黒い表紙の新刊が目に止まる。正確に言えばその帯の「勝海舟×西郷隆盛」「江戸無血開城」という文字列に、グッときた。小説に幕末ものは数あれど、江戸無血開城にフォーカスした本はいままで知らない。作者は映画化された「天地明察」などで著名らしいが、ぼくは読んだことなかった。とにかくこの絞り込んだテーマ設定だけで、手に取る価値はある。

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読本ログ『amazon』

読本ログ『amazon』

成毛眞さんが、アマゾンの経営をやさしく解説した本。僕が一番興味深かったのは、アマゾンと楽天を比較した箇所(p.89)。

「楽天市場」はインターネット上に構築された、まさに名前のとおり「市場」である(略)出店企業からの手数料を中心に稼いでおり、お客さんは企業だ。

一方、アマゾンの中心はあくまでも、自社で仕入れた商品の販売だ(略)アマゾンのお客さんは、そのままアマゾンで物を買う消費者である

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沖縄民謡まつり 2018

沖縄民謡まつり 2018

朝から真夏の熱気で視界が揺れる7/14(土)。宮地楽器主催のアマチュア沖縄民謡まつりに、民謡バンド「神田B」として参戦しました。府中の森芸術劇場は東府中駅から徒歩10分のロケーションで、ヒガシ東京の住民的には、地元→新宿→笹塚→調布→東府中と乗り継ぐ1.5時間の小旅行です。遠いっつーの! んで集合は朝9:30。早いっつーの! ブツブツ言いながらも年に一度のライブ、次第に緊張感が高まってきます。

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サブカル好きなら日本経済新聞夕刊文化面を読め!

サブカル好きなら日本経済新聞夕刊文化面を読め!

連載小説「つみびと」、山田詠美のテキストと横尾忠則のグラフィックが毎日掲載されてるんだぜ? 家族と暴力のストーリーが、いつか崩壊の予感を漂わせながら、静かに進んでいる。

連載コラム「プログレの軌跡」、キーボーディスト難波弘之さんがプログレの栄枯盛衰を解説する1回目はプログレの誕生編として、1967年のサージェントペバーズなどを紹介してる。へー、BS&Tって「エリックサティの主題による変奏曲」なん

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正月の過ごし方

正月の過ごし方

こんな寒い日は家に居て、炬燵はないから床暖つけて、ちびちび飲みながら優雅な文体に浸っているのが、正月らしい過ごし方であるよねぇ。

「こいさん、頼むわ。───」
#読書

岡村靖幸☆復活! 25年に及ぶ七転び八起きのすえ「幸福」にたどり着いた岡村ちゃんから学ぶ、ミッドライフ・クライシスの克服法

岡村靖幸☆復活! 25年に及ぶ七転び八起きのすえ「幸福」にたどり着いた岡村ちゃんから学ぶ、ミッドライフ・クライシスの克服法

タメ年のミュージシャンって、なんか気になるよね? 尾崎豊がとっとと逝って以来、わしにとって岡村ちゃんは数少ない「気になるタメ年アーティスト」だった。

岡村靖幸の商業的な全盛期といえばアルバム「靖幸」「家庭教師」をリリースした1989〜1990年頃で、年齢的には25歳でピークを迎えたと言える。FUNKサウンドに“ベランダ立って 胸を張れ”といった独特な歌詞をのせて歌い踊る姿はまさに和製プリンス。い

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どんとの魂

どんとの魂

どんとが逝ってから15年らしい。当時はロック好きだったけど、ローザ・ルクセンブルグもBO GUMBOSもあんまし聴いてなかったな。清志郎が好きだったんで、似たもの反発してたのかもしれない。ZELDAも好きだったんで、嫉妬してたのかもしれないw そういえば尾崎は説教臭くて嫌いだったし、フリッパーズはナヨナヨしてて好きじゃなかった。あとからみんな好きになるんだけど、案外同時代性なんて信用できないもんだ

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透明な焔:ナタリーってこうなってたのか

透明な焔:ナタリーってこうなってたのか

ナタリーってほとんど見たことないんですが、それ以前に同時代の音楽をまともに聴かなくなってずいぶんたつ。でも本屋で装丁が目について、なんか気になったので、買ってみた。で読み始めてみると、

記事を作るにあたって「書き手の思いはどうでもいい」というのが、ナタリーの一貫したスタンスだ

ほほぅ

自分の心の中や頭の中のことは書くな。目で観たことと耳で聴いたことだけを文章にしろ

そ、そうですか

我々は

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読書メモ『世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つビジネス書』林 雄司

読書メモ『世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つビジネス書』林 雄司

予想通りGW用に買った本なんてほとんど読まなかったわけですが、最終日に一番取っ付きやすそうなデイリーポータルZ 林雄司さんの「ビジネス書」を読む。77個の林メソッドはそれぞれ面白いですが、中でもメソッド44「興奮を大事にする」というのが、もっとも本質を表しているのかなあと思いました。たとえタイアップ記事であっても、オリエンのまま構成案を書いたりしないんだろうな。好きなこと/自分が興奮できる切り口を

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noteのマガジン機能は、パッケージ型メディアの逆襲になるか?

noteのマガジン機能は、パッケージ型メディアの逆襲になるか?

本日角川アスキー総合研究所で開催されたイベント「個人向けメディアプラットフォーム「note」から見るメディアの未来」に参加してきました。ピースオブケイク加藤さんに加えて橘川幸夫さん・アスキー遠藤さんと気になる方が3人も揃ったら、飲み会1回分のチケットも惜しくないわけです。

第一部は加藤さんによる基調講演。加藤さんは2000年にアスキーに入社して「アスキー.PC」編集に携わったとのことで、今日は当

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Vegetable

Vegetable

Vegetableといえば、岡村靖幸が1989年にリリースしたアルバム『靖幸』の1曲目を飾るアコースティック・ファンク・ナンバーである(なんと25年前!)。岡村ちゃんと言えば和製プリンスなわけですが、この曲に関しては当時のジョージ・マイケル "Faith" の影響も感じられるアレンジになっています。しかしそんなこたどうでもいいくらいぶっ飛んだ歌詞が印象的で、なんたって出だしが“愛犬ルーと 散歩すり

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