読本ログ『amazon』
成毛眞さんが、アマゾンの経営をやさしく解説した本。僕が一番興味深かったのは、アマゾンと楽天を比較した箇所(p.89)。
「楽天市場」はインターネット上に構築された、まさに名前のとおり「市場」である(略)出店企業からの手数料を中心に稼いでおり、お客さんは企業だ。
一方、アマゾンの中心はあくまでも、自社で仕入れた商品の販売だ(略)アマゾンのお客さんは、そのままアマゾンで物を買う消費者である。
一見まったく同じようなEC商売に見えるけど、後者は物流網の整備や巨大倉庫による在庫管理が必要で、インフラ構築に時間とコストがかかる。しかしシステムが整えば大量仕入れのスケールメリットが効いて、「早く、安く、品揃え多く」商品を提供できる。そして巨大な副産物 AWS が、会社のほぼ全利益を叩き出したりしてくれる。
そうした“ロジスティクスで勝つ現代のローマ帝国” 的な側面も面白いけど、顧客を最終消費者に絞り込めるのが、アマゾンの強みだと思う。迷ったらエンドユーザーのメリットを道標に、打ち手を決められるから。
手数料方式の場合、直接的な収入源が出店企業になるため、最終消費者よりも出店企業のメリットを優先するビジネス論理が働きがちではなかろうか。メール配信とかね。広告ビジネスもユーザーとスポンサーが別なので、似たようなジレンマがありますね。
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