のけもの讃歌 叶裕

「のけもの讃歌」叶裕

消え入りそうに背を屈め
呟くばかりでなにもせぬ
群れることなき除け者たちよ
今こそ大声を上げよ
手を振り馬鹿のふりをせよ
きみらはとても美しいのだから

智無くしてはつまらない
蛮無くしては越えられない
きみよ歪んだ口の端をもたげ
敢然と短詩型の国境を越えよ

権威も
名声も
確証も
それ皆全て鉄枷である
唾棄し
破壊せよ

眩いピンスポットの埒外にこそ
本物の闇があるのだと
本物の音があるのだと
俗物たちにおもいしらせてやれ

群れることなき除け者たちよ
かなぐり捨てよ叫び出せ
大手を振るい走り出せ
そして二度と戻ってくるな

美しきものたちよ
二度とここに戻ってくるな

叶裕

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