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【AISTS #7】 5週目 会計のケーススタディ (2019/10/21-27)

あっという間に1ヶ月が経ちました。この振り返りは自分にとって結構意味がある気がしているので、続けていきます。

今回は、会計のケーススタディについて、少し具体的に書いてみました。
今週末は遊びの予定を詰め込んで長くなってしまったので、週後半の法律の話は来週まとめて書こうと思います。

会計のケーススタディ

先週に引き続き財務会計の講義で、今週はケーススタディをいくつかやりました。中でも面白かったのは、MLBのチームで起きたクラブと選手との間での論争に関する事例でした。

ざっくり言うと、

赤字だから年俸を上げられないと言うクラブに対して、会計処理によって赤字に見せているのではないかと主張する選手

という構図です。

主な論点は以下の5点。

1. 10年間にわたって分割で後払いする年俸
2. 契約期間中に離脱した選手の年俸
3. クラブ買収時に選手の価値として計上された無形資産
4. 選手獲得時の契約金
5. 関係会社が運営するスタジアムの利用料

細かい話になりますが、順番にポイントを書いていきます。
各論点についての状況とクラブ/選手のそれぞれの主張を踏まえて、(講師が正しいと考える)結論を記載します。絶対に正しい答えがあるわけではない点、ご留意ください。

1. 10年間にわたって分割で後払いする年俸
【状況】選手の税金負担の軽減と長期的な金銭的安定のため、特に高給選手の年俸の一部を分割で後払い(イチロー選手もこれでしたね)
【クラブ】分割払いとはいえ、この年のプレーに対する報酬なので、全額費用計上
【選手】実際に支払うタイミングで費用計上すべき

→【結論】会計上はクラブの処理で問題なし
後払いの金額が利息を含む場合は、支払い時期に応じて利率で現在価値に割り引いた金額を費用計上し、利息部分は支払い時に計上(利息は別途設定の場合も多い)

2. 契約期間中に離脱した選手の年俸
【状況】怪我等で契約期間中に引退または契約解除となった選手の残期間の年俸はクラブに支払い義務あり(契約内容次第ですが)
【クラブ】離脱が確定した時点で、全額費用計上
【選手】今期に支払われる金額のみ費用計上し、残高は負債として計上すべき

→【結論】選手の主張を支持、ただし、残期間や金額に応じて一括で特別損失として計上することも否定しない

3. クラブ買収時に選手の価値として計上された無形資産
【状況】クラブ買収時に所属している選手の資産価値として、買収金額の50%を「Initial roster」として資産計上(MLBの商習慣だそうです)
【クラブ】償却も商習慣に従って、6年間で減価償却
【選手】能力が上がる選手もいるので、減価償却は実態にそぐわない

→【結論】一般的に歳を重ねると怪我のリスクが高まることもあり、商習慣として定着している減価償却に一理あり、クラブの処理を支持

4. 選手獲得時の契約金
【状況】獲得時には選手に契約金(Signing bonus)を支払い
【クラブ】契約時に一括で費用計上
【選手】資産計上し、契約期間にわたって減価償却すべき

→【結論】選手の主張を支持

5. 関係会社が運営するスタジアムの利用料
【状況】クラブオーナーが別会社として所有するスタジアム運営会社に利用料を支払い
【クラブ】利用料は適正
【選手】クラブからスタジアム運営会社に利益を移転するために、不当に利用料を高く設定しているのではないか

→【結論】ケースに記載されている情報だけでは判断しかねるが、実務上はクラブの処理で問題とならないことが多い(スタジアムごとにスペックが異なるので、利用料が不当に高いと立証することは難しい)

以上です。
双方向で議論する時間は限られていましたが、個人的には興味深い内容でした。

課外活動(遊び)

木曜日は韓国人クラスメートによるKorean Party。徐々にハードルが上がっていきます。次はメキシコ、その次が日本の予定です。

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金曜日は午前中で講義が終わったので、電車でパリへ。4時間半、7,000円くらい。
キングコング西野さんの「光る絵本展 in エッフェル塔」のレセプションに参加しました。
ここ数年、西野さんからは結構刺激を受けています。

土曜日は軽くパリ市内を観光して、郊外のセルジー Cergy へ。FIFAフットサルワールドカップのヨーロッパ予選を観にいったのですが、その前に街を散策していると、綺麗に整備された一画がありました。こういう発見は嬉しいですね。

フットサルの会場はアイスホッケーのアリーナでした。コートの大きさはフットサルが一回り小さいので、ベンチも含めてリンクの中にすっぽり入っています。
ハンドボールもそうですが、他のアリーナスポーツが盛んな国では、フットサルが成長するポテンシャルは大きいですね。スイスもその可能性はあるはず。
ちなみにアメリカには、アイスホッケーリンクの全面を使った、壁ありの(ボールが外に出ない)インドアサッカーがあります。

一方で、会場案内や空間づくりなど、運営は決して力が入っていると言えるものではありませんでした。日本に限らず、これがサッカー協会傘下のフットサルの現実なのだと思います。
会場では「フットサルをする10の理由」のリーフレットが配布されていましたが、基本的には "サッカー選手" になるために役に立つ、という視点で書かれています。競技フットサルがどうあるべきか、考えさせられる内容でした。

ありがたいことにTwitter経由でお誘いいただいたフランス在住の方とパリで食事して、夜行バスでローザンヌに戻ってきました。
そして日曜日はローザンヌマラソン。とはいえ、フルマラソンではなく10kmです。クラスのみんなと走って、ビール飲んで、最高ですね。

強行軍でしたが、充実した週末でした。

来週の予定

引き続きの法律の講義に加えて、火曜日にはキャリア形成の話があります。
このプログラムにおいてかなり重要なテーマです。自分のやりたいこと、できることを改めて見つめ直そうと思います。

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