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【AISTS #4】 2週目 オリンピックシステム(2019/9/30-10/6)

今週からいよいよ本格的な講義が始まりました。まずは、オリンピックを取り巻く環境を理解しましょう、という内容です。
3日間の講義の後、異文化交流の研修を挟んで、金曜日はIOCで各部署の担当者からのプレゼンを受けました。

オリンピックシステム

講師は、かつてIOC幹部を勤め、現在も有識者として各機関に関わっている現大学教授。情報や知識は調べれば出てくることなのですが、興味深いのは、IOCの「中の人」がどういう順序で何を強調して話すか、という点と思っています。

先週はイントロだったので、実質的に全プログラムの最初の講義は、

オリンピックシステムは21世紀を生き残れるのか?

という問いかけから始まりました。
「基本的な構造は100年前から変わっておらず、戦略的な思考が必要だ」ということで、肥大化(Gigantism)して、身動きが取りづらくなっている現状に危機感を覚えています。

キーワードは、GovernanceAutonomy
ガバナンスは日本のスポーツ界で近年話題ですが、どの国でも腐敗や私物化は起きています。
Autonomyは自治や自律性といった意味です。特に、Sport Organisations(スポーツ組織)の意思決定が、比較的新しいステークホルダーであるメディア、政府、スポンサーなどの影響を強く受けることを問題として認識しています。

明確なオーナーがいない非営利組織であることに加え、スポーツ組織の特有の難しさとして独占になりやすいことが挙げられます。「うちに従わなかったら代表になれないよ」といったことが起きやすいわけですね。
ガバナンスを効かせながらも各スポーツ/各国の自治を守るために何が必要か、難しいところです。

WISA(World Integrity Sports Agency、仮称)なる統括監査機関を作るべきという議論もあるようですが、結局はその舵取りを誰がやるのかという問題が出てきます。
こうすべき、という結論はないのですが、まずはモニタリングできるようになりましょう(講師の研究テーマ)というお話しでした。

IOC新本部

金曜日は、125周年に合わせて今年6月にオープンした新本部へ。
オリンピック・ムーブメントの理念の話に始まり、法務、人事、財務、スポーツ事業、NOC(各国オリンピック協会)連携、オリンピック運営、の各部署からプレゼンを受けました。

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それぞれ1時間くらいのさらっとした内容だったので、印象に残ったポイントを箇条書きで。

・MISSIONSとして明記されているように「with a focus on young people」は重要なテーマと考えている

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(出典:IOCホームページより抜粋)

・IOCの収入の70%超が放映権料、収入全体の90%を各スポーツ/各国の組織に分配している(このお金の使われ方のモニタリングは課題)

・東京2020で一業種から複数のスポンサーと契約していることは注目されているトピックの一つ(国内スポンサーの話なのでIOCは直接の当事者というよりは、どうなるか見守ってる印象)

縦割りの組織になっていて、例えば「Social Development」のような流行りの取り組みは各部署が動いていて連携できていない("chaos")

・自前のOTT「Olympic Channel」を立ち上げたが、オリンピック開催年以外のオリンピック・ムーブメントの促進が第一の目的で、現時点でマネタイズは想定していない

・パリ2024以降は、IOCとNOCの新たな協力関係を模索していく(準備段階からより密に連携?)

異文化交流研修

前後しますが、木曜日は、世界的に有名なホスピタリティの大学 École hôtelière de Lausanne(EHL)で研修でした。

アイスブレイクで、いろんな属性(年齢、国籍、母国語、専攻、婚姻など)でクラスメートをグループ分けをしたのですが、意外だったのは宗教で、無宗教が半分くらいいました。
こういう場に来ている特殊な集団ではありますが、彼らとの会話の中でも、全体として更に無宗教の人が増えていくのだろうと感じました。
そうなっていった時に、宗教がどんな位置づけのものになっていくかは面白そうだなー、と漠然とですが個人的に興味ありです。

課外活動(遊び)

AISTSの日本人の先輩方との飲み会。
2017年と2018年のクラスに1人ずつ、2019年に2人で、今年(2020年のクラスと呼ばれます)の2人と合わせて6人。やっぱり日本人の先輩がいるのは心強い。
多様なメンバーが集まっているからこそ起こるトラブルもやっぱりあるみたいで、これから不安もあるけど何事も経験と思ってやっていこうかと。

スイスでサッカーに次ぐ人気スポーツのアイスホッケー観戦。
特にアイスホッケー以外のイベントがあるわけではありませんでしたが、地域のファンが定着している印象。年齢層は高め。
日本人としてはHONDAの広告露出が印象的でした。

フットサルも観に行ってみました。全国リーグがあるのですが、入場無料、観客は選手の身内だけという様子で、日本の地域リーグのようなイメージでした。
今季はイングランドやドイツでフットサルリーグにテコ入れがあり、UEFAもフットサルに力を入れつつある中で、スイスではどういう位置づけなのか、気になるところです。

来週の予定

SEMOS(Sport Event Management and Organisation Seminar)というプログラムで、スポーツイベント運営に関する、実務よりの内容になると思います。
この期間は外部からも参加可能で、僕は去年のSEMOSに参加して受験を決めました。
2020年2月にはシンガポールでも開催されるようなので、興味のある方はぜひ。


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