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オフィスを面白くするには?

どこの組織のオフィスも面白くなったら良いな〜と思うものの、常識的に検討を進めれば一般的なオフィスにたどり着きます。どうすればオフィスを面白くできるか?!これまでのプロジェクトから、いくつか気づいたポイントを紹介したいと思います。面白さの根っことして、そもそも使う人がオフィスづくりのプロセスそれ自体を面白がってくれると良いのですが、、

1.働き方のそもそもを振り返るチャンス

机のサイズは今と同じでもOK。会議室は中々予約が取れないので、数を増やしたい。あとは、メンバー同士のコミュニケーションを増やしたい。これらはオフィスをつくる際に、具体的な要望として挙げられることが多い項目です。もちろん、こうした要望を一つ一つ確認していくことは大切なのですが、オフィスをつくる場合には、そもそもに立ち返って働き方を見直すことができます。そもそも、今後は何を大切にして働いていきたいのか?そもそも、となりのメンバーはどう思っているのか?となりの部門のメンバーはどう思っているのか? そのためには、オフィスにどんな工夫をすることができるのか? うちのオフィスはこんなものだろう、となんとなく諦めていたことが実現に結びつくかもしれません。

2.オフィスのカタチを揺さぶることで見えてくる新たな意味

まずエントランスがここで、来客のある会議室があって、その先に執務エリアが配置される。要望を満たし、コストをできるだけ抑えたプランをつくろうとすれば、常識的なオフィスの姿に落ち着きます。でも、オフィスは様々なメンバーが過ごす環境なので、そもそもすべての要望をあらかじめ明らかにすることはできません。その結果、使ってみるとここが使いにくいということが判明したり、もっと他の可能性はなかったのか?新たな疑問が生じつつ、今回は仕方がないと諦めることになります。こうした、言葉にできなかった要望をもう少し探るために、オフィスのカタチを揺さぶることをお勧めします。今見えている要望は満たしつつ、全く異なるプランを作成してみると、要望としては伝えていなかったが、良さそうなプラン、自社にはとてもフィットしないプランが見えてきます。その理由を探る中から、言葉にできていなかった本当に大切なことが見つかるかもしれません。言い換えれば、要望をすべて書き出すことは難しいという気持ちでオフィスをつくった方が良いということなのです。

3.ロードマップを引いてしっかり検討期間を確保する

オフィスの要望をアンケートで集めると、様々な視点から要望が集まります。でも、一つ一つのコメントを積み上げても、大きな方向性をつくることはできません。メンバー一人一人が要望の背景として、何を問題と考えているか、何を大事だと思っているかを伝え合い、お互い了解できることを一つ一つ見つけていくこと。そんな話し合いを重ねて、無数にある意思決定に活かしていかなければなりません。これを実現するには、新オフィスがオープンするまでの大きな道筋(ロードマップ)を描いて、必要な検討期間を確保しておくことが必要です。道筋が描かれていれば迷うことなく、その日の検討テーマに集中して、十分に話し合いながら進めることができます。

4.全体感、イメージをつかむこと

良いオフィスにしたい!と思っても、空間としてどんなことができるか?そのためのコストはどのくらいになるか? 最初から正解を言い当てることはできません。内容を決めてしまう前に、まずはスケッチをしながらイメージしているものに近づけていくというステップがあると良いと思います。逆にイメージの手掛かりのないままにゴールを設定してしまうと、実現可能性がよくわからないままプロジェクトが進んでしまうことになりかねません。

5.空間のつながり方、重なり方が使い方を生み出す

作業する場所、会議をする場所といった具合で、空間の用途と場所は1:1の対応関係にあるように感じられます。でも、空間を立体的に想像してみれば、そこに居ながらも視線はつながり、音も聞こえてくる、窓から入ってくる光や風を感じることもあるはずです。そんな空間のつながり方、重なり方がその場所の使い方を生み出します。手間はかかりますが、なるべく模型を見たりしながら立体的な空間を想像をしながら、場所の使い勝手のイメージを膨らませていけると良いと思います。場所の特徴は平面図だけでなく、断面図に現れてくることも多いので。

6.優先順位をつけ続けること

空間という物理的環境には、コストと機能性だけでなく、視覚的な印象、心理的な意味づけなど、無数の価値が重なります。そのため、その形状を決定する際には必ず何かしらのトレードオフが発生します。そのなかでも良い選択を続けるためには、使い手として優先順位をつけ続けることが必要になりあす。○○と△△なら、○○を重視したい。という意思を反映し続けることができれば、よりよい状況に近づけることができていると言えます。矛盾する要望が見つかり、対立が生まれるかもしれません。その際も、その要望が生まれた背景を聞いてみれば、理解できないことは少ないはずです。

不確定な情報が多い中でも、選択可能な選択肢を提示すること。選択の検討をする中で、スケジュール、コスト、使い勝手など選定となる大きな優先順位の中で、細かな選択肢を検討し、プロジェクト全体を調整しつづけていくことで、最終的に妥当性の高いオフィスを生み出すことができます。

7.手応えが残ること

要望を細かく分解して理解できれば、細かい解決策を組み合わせた新しいオフィスの姿が生まれているかもしれません。組織が複雑になれば、オフィスの姿も複雑であるのが自然なことではないでしょうか。組織の大きな方向性としてのわかりやすさがありつつ、個別に生じる細かな要望も汲み取ることができているなら、関わりの手応えが残る豊かなオフィス空間が実現しているといえます。

オフィスをつくると言うと、空間だけが新しくなるように見えてしまいます。でも同時に、○○のために新しいオフィスが作られた。という言葉と、相談し決断してきた体験が残されます。このことは、年に1回の事業計画の発表を聞くよりも印象に残るかもしれませんし、○○さんは△△を大切にしているなど、互いの価値観を知り合い、信頼関係が育まれる機会になっているかもしれません。これからどのような働き方を大切にしていきたいのか?そのことについて話し合い、それにフィットした空間をつくることができたなら、大切にしたい働き方の実現にぐっと近づくことができているのではないでしょうか。

8.面白さを諦めない

幸せには4つの因子があるそうです。①「自己実現と成長」の因子。夢や目標ややりがいをもち、それらを実現しようと成長していくことが幸せをもたらします。②「つながりと感謝」の因子で、人を喜ばせること、愛情に満ちた関係、親切な行為などが幸せを呼びます。③「前向きと楽観」の因子。自己肯定感が高く、いつも楽しく笑顔でいられることは、やはり幸せなのです。④「独立とマイペース」という因子があります。他人と比較せずに自分らしくやっていける人は、そうでない人よりも幸福です。これらはどれも仕事の中で接することができそうですし、予算がないからといって諦めなければならないものでもなさそうです。プロジェクトをスタートした時には見えていなかった景色だけれど、納得感が高い! ①〜④までを満たしながらも、共感と新しさのある自分たちならではのメンバーと面白がれるオフィスをつくれたなら幸せだな〜と思いませんか?! そして、その体験、何かを一緒につくりだした経験こそが、オフィスづくりに限らずまた次の何かの機会を面白くしてくれると思うのです。

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