見出し画像

③サッカーの試合中に”影響”に気づける状態の作り方(2-1)


前回の記事。


前回、「サッカーにおいての適切な集中状態である『※外的集中』を使用するためには、大前提として”無意識”にプレーできる状態をどれだけ作れているかが重要だよね!」みたいなことを整理してみました。

(※外的集中▶︎『目的(勝利)達成するにあたって、影響を与える可能性のある要素をより感じられる(見える、気づける)状態。』)

そして今回は、「大前提として抑えておくことはわかった。とはいえ、そもそも目的の達成に影響を与え得る可能性のある要素ってそもそも何?試合中にそれに気づくためには何を意識すればいいの?という部分のを整理してみたいと思います。

結論としては、『まず知る、そして意識して取り組む』というスーパーシンプルな内容です。笑

(③は2つの記事に分けて整理しました!)

では早速!!

気づくためには、
まず"知る"こと


本書の中でこのような記述がありました。

ゲーム中に「自らに影響を与える可能性のある要素」を把握するためには「影響の与え方」と「影響の与えられ方」をそれぞれのゲーム別に”特異的に”学ぶ(ゲームの構造を理解する。)必要がある。
つまり、サッカーのような『団体闘争』に関しては、プレイヤーは純粋な『技術』を高めることよりも、『影響の与え方』と『影響の与えられ方』を知ることがより優先されるべきだと言える。

P.121

これを『ウォーリーをさがせ』で整理すると、

https://prcm.jp/pic/original-image/id/8chiBN3?keyword=%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%92%E6%8E%A2%E3%81%9B%20%E9%AB%98%E7%94%BB%E8%B3%AA&page=1 より引用


どれだけ「この画像の中からウォーリーを探してください!」と言われても、そもそも『ウォーリー』がこいつ↓だってことを”知らなければ”探しようがないと思います。

https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/8993.html より引用


ということがサッカーでも同様に言えて、、、

サッカーの試合中ではたくさんの影響が溢れているわけですが、その影響に気づくためには、そもそも『どんな”影響(の与え方・与えられ方”)があるのか』を知っておく必要があるわけですね。

ということで、この記事では影響の事例をいくつかピックアップして整理してみました。


影響の与え方、
与えられ方の事例!


サッカーを通して、影響を与える(与えられる)手段としては本当にたくさんことがあると思います。

『心理的』『技術的』『身体的』な影響の与え方だけでなく、『社会的な影響』や『身につけているものによる影響』、気温やピッチコンディションといった『外部環境』による影響もあると思います。
また、それらの中でも『ポジティブな影響orネガティブな影響』という軸でも整理できるし、試合中に限らず、試合前後で相手(チーム)に影響を与えることも可能だと思います。

ということで、そんな様々な影響の与え方/与えられ方の事例をいくつかピックアップしてみることにしました。(今回は試合中に絞って考えています。)


まずはサッカーの”試合中”に影響を発生させる可能性がある存在を大きく以下のように分けてみました。

『自分』『味方』『相手』『自チーム』『相手チーム』
『周囲(監督や審判、お客さんなど)』
『外部環境(気温、芝、天気の状況など)』
『外部状況(勝ったら優勝が決まる、勝利給、ダービーマッチ、社会的な影響も含む。)』
『身につけているもの(ユニフォームやスパイク、テーピングなど)』

そしてこれらを踏まえて、試合中に起こる『影響の与え方(与えられ方)の流れ』を以下のように整理してみました。
(これが合っているとは思ってないので、漏れがあったら教えてください。笑)

影響の与え方が同じなものは『⇄』表現しています。

また、⑦『自分→外部環境』のように"影響を与えることで生まれる影響の与え方"という軸でも整理してみています。
(PKの時に芝をめちゃくちゃ荒らし、相手を蹴りづらくするみたいなことです。)

✔︎個人軸
①『自分→自分』
②『自分⇄味方』
③『自分⇄相手』
④『自分→自チーム』
⑤『自分→相手チーム』
⑥『自分→周囲』
⑦『自分→外部環境』

✔︎チーム軸
⑧『自チーム→自分・味方』
⑨『自チーム→相手』
➉『自チーム⇄相手チーム』
⑪『自チーム→周囲』
⑫『自チーム→外部環境』

✔︎第三者軸
『周囲→プレイヤー(自分・味方・相手)』
『周囲→チーム(自チーム・相手チーム)』
⑮『周囲→周囲(監督→審判など)』

✔︎外部環境軸
『外部環境→プレイヤー』
『外部環境→チーム』
⑱『外部環境→周囲』

✔︎外部状況軸
⑲『外部状況→プレイヤー』
⑳『外部状況→チーム』
㉑『外部状況→周囲』

✔︎身につけているもの軸
『身につけているもの→プレイヤー』
『身につけているもの→チーム』
㉔『身につけているもの→周囲』


これだけ多いと整理できている感じもしませんが、サッカーではこの流れで、様々な手段を使い、影響を与え合っているのではないか?と考えていました。

そして、今回は①〜③の具体例を数個だけピックアップして整理してみました!

少しでも整理の漏れがないように、『心技体』の側面で整理してみることに。

(これはもはや趣味ですが、自分の頭の整理を含めて、『影響の与え方/与えられ方大全』を作っていこうと思います。笑)


①~③の事例をいくつかピックアップしてみる!


①『自分⇨自分』に与える影響

[心]
・強気な気持ちでプレーできると、チャレンジするプレーが増える。一方でネガティブな気持ちを持っていると他人任せになりやすく、プレー選択がパスから入りがちになるので、常に強気な気持ちを持てるようなマインドセットを意識する。など

[技]
・トラップがしっかり決まると、顔を上げることができ、周りの状況が見やすくなる。(外的集中が使いやすくなるし、相手も寄せれなくなる。)なので基本的にトラップはピタッと止めるようにする。 など

[体]
・(下澤の場合は)試合までに最低でも1.5リットルの水を飲んでおくと、パフォーマンスレベルが高まる。 など

②『自分⇄味方』に与える影響

[心]
・プレーが切れたタイミングで「さっきのプレー上手かったね!笑」みたいな感じで味方に笑顔で話しか、味方をやる気にさせたり、緊張を解いてあげたり。
逆に味方がボールロストした時に「何やってんだよ」みたいな声かけや雰囲気を出してしまうと、味方がプレーしづらい状況を作ってしまう など

[技]
・味方にティーチングをしてあげて、「右から敵が来てるよ!」といったことを伝えて、認知を補ってあげる。
・味方がボールを持っている時に、そのボールを奪おうとしている相手選手を、審判に気づかれないレベルで邪魔して、味方がプレーしやすい状況を作ってあげる。
・ボールを持っている味方に対して「あっちが空いているよ!」と指を刺してあげる など

[体]
・味方の代わりに走り、体力を温存してもらう。
・シュートまで持っていけるが、意図的にコーナーを取って、味方が休める時間を作ってあげる など


③『自分⇄相手』に与える影響

[心]
・全くキツそうな顔をしないでプレーする。
・挑発してイライラさせる など。

[技]
・ボールに奪いに行くときに、意図的に「OK!」と大きな声を出しながら寄せる。そうすると相手は前を向きづらくなる。
・パスを出す時に、目線や体の向きで相手を騙す。
・ボールを受ける前に一度相手に体をぶつけてから受ける。など

[体]
・相手の服を引っ張り、うまくプレーさせない。
・マッチアップ選手が自分よりも体力がないのであれば、意図的に上下動をして、相手を疲れさせる。 など


ということでいくつかピックアップして整理してみました。

これらは氷山の一角のさらに一角みたいなものですが、このように自分(自チーム)は周囲に色々な影響を与えることができるし、逆に相手(チーム)や周囲から色々な影響を与えられる可能性があると思います。

高い基準を知る。


今回、影響の与え方(与えられ方)の事例をいくつか挙げてみましたが、選手によっては知っている(使っている)影響の与え方の種類のバリエーションが豊富なだけでなく、質が全然違います

普通の選手が気づかない(知らない)だけで、トッププレイヤーの選手が試合中に実践している影響の与え方もあるわけです。

例えば、中村俊輔さんは『相手に自分の目線でパスコースなどを悟られないように、前髪を伸ばして目を隠している』という影響の与え方をしているという話を聞いたことがありますし、

また、最近聞いて面白かったものでいうと、ボールを受ける前に自分をマークをしてきている選手の顔に手を突き出し、目眩しのようなことをおこなって相手を一時的に驚かせて(反応を遅らせて)、自分がボールを受けやすい状態を作っている選手もいるそうです。

その他にも、『勝ち色』というパフォーマンスをより引き出してくれる”自分にあった色”が存在するのですが、意図的に靴紐の色を自分にあった色に変えて目に入るようにしておく方法もあったり、
サッカーは情報戦でもあるので、試合前から嘘のスタメン情報を流し、相手を混乱させるみたいな方法とかもあると思います。


知られていないだけで、まだまだたくさん影響のが存在していると思うので、積極的に活躍し続けている選手などから教わったり、勝ち続けているチームを注意深く観察することも大切なのかもしれません。

さらには、今回の内容を踏まえると、試合の振り返りの仕方も変わる可能性が高いと思います。

基本的に試合の振り返りをするときは、「このプレーはもっとこうした方がよかった!」という『技術』軸での振り返りをすることがほとんどだと思いますが、
影響を与える権利が保障されているサッカー(闘争)では、『影響』を軸に置いた振り返りも大切になってくる可能性が高いと考えています。

ということもあって、最近は振り返りの仕方もちょっと変えてみている下澤です。

先日、W杯決勝を「世界的なプレイヤーはどんなプレーをしているのか?」という技術的な側面から見るのではなく、「世界のトッププレイヤーはどういう振る舞いをしているか?」という影響軸で見直してみたのですが、それはそれで面白かったです。


そんなことで、今回の話はここまで。


次の記事では、このたくさんある影響の与え方(与えられ方)の中から、『”目的達成に繋がる要素""の影響の見極め方』について改めて整理してみたいと思います。

続きは👇



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?