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プレーや身体動作が無意識に行えるようになるまでの流れと、最終的に辿り着きたい天才たちの事例。


『②”4つの集中モード”から整理する、サッカーにおける適切な集中状態を使用できる前提条件とは?』の補足的な内容。

サッカーの基礎的なプレーや動作などが無意識に行えるようになっていく(慣れていく)流れとして、以下の①〜③の流れがあるように考えています。


①基礎フェーズ(入門集中)
→ドリブルやトラップ、身体の使い方、守備やチームの戦術の動き方といった基本的な行動をする時に、意識を向けないとうまくできないフェーズ。
シングルタスクしかできない。『周囲の影響に気づく余裕がない』。(外的集中が使えない。)

例)ボールタッチに慣れていないことで、ドリブルする時にボールに意識が向いてしまい、顔をあげて周りの状況を把握する余裕がない。そのため相手が寄せてきているのに気付けない。

新チームになり新しい守備戦術を要求され、まだ動き方に慣れていない場合。「この時は〇〇に動くんだったよな?」と、自分の動き方に意識が向いている瞬間は周りの状況に気づけない状態。etc…

AC photoより



②応用フェーズレベル1(俯瞰集中、外的集中)
→基礎的な動作がある程度無意識に行えるようになってきたことで、別のことに意識が向けられるようになってきた状態。
マルチタスクができるようになり、『周囲の影響に気づけるようになってきた』。

例) ボールタッチに慣れてきたことで、ドリブルをしながら顔を上げることができる。守備の時にアプローチしながら、味方に声をかけることができる。etc… 

※ただ、周りに意識を向けられるけど、向けている意識(注意)の精度がまだまだ荒い。
→例)ドリブルをしながら顔を上げられるようになってきたが、顔を上げられるようになっただけで、「誰がどこにいるのか、スペースはどこに空いているのか、」といった情報収集の精度がまだまだ上手くできないような状態。
この時はボールへの意識が70%、周囲への意識は30%みたいな状態。

AC photo より

②応用フェーズレベル2(俯瞰集中・外的集中)
→マルチタスクの精度が高まってきたことで、『周囲の影響にしっかり気づけている。』

例)ドリブルをしながらただ顔を上げるだけではなく、相手選手の重心に気づけたり、相手の後ろにいるフリーな味方選手に気付ける。など。
(この時はボールにほとんど意識が向いてない。)

http://blog.livedoor.jp/fchuma_blog/archives/65735166.html より引用


③直感フェーズ(無意識フェーズ)

→①の②などを積み重ねていくことで、自分の経験則から複数の動作を無意識にプレーでき、体が勝手に動いているような状態。
マルチタスクすらも無意識に行えているようになってきている。『特に意識しなくても周囲の必要な影響に気づけている』。

例)トラップする前に無意識に首を振って周りを見れているし、「〇〇を認知しよう!」と意識しなくても必要な情報をキャッチできている。
そして、その瞬間に相手が寄せてきていたとしても、「こっちにかわさなきゃ!」ということを特に意識しなくても、これまでの経験則から勝手に体が動いて相手をかわしている。など

写真:Getty Images】

もちろんこれは自分の利き足でプレーしているのか、逆足でプレーしているのか、
スピードを上げているか、ゆっくりなのか、
相手から寄せられているのか、いないのか、
グランドが濡れているのか、いないのかといったことで①~③のどこのフェーズにいるかが変わってくると思います。

ただ、何はともあれ③の直感フェーズに移行していけばいくほど、サッカー選手としてプレーしやすい状況になっていくのは間違いないと思います。


ただ、ちょっと待てよ。と。

そもそも③の状態でプレーしている選手っているのかという話になってきます。

実はそんなバケモノたちがいるんです。笑


③直感フェーズで
プレーしている天才たち


③直感フェーズでプレーしている選手の事例として、以下の2選手が当てはまるのでは無いか?と思っています。

一人は現在FCバルセロナの監督をされているシャビさん。
2014年の『NHKスペシャル』で現バルセロナ監督のシャビさんの脳を調べた研究によると、、

日本人のサッカー選手がプレーする際、脳の前頭前野が活動し、文字通り「考えて(思考して)」プレーしているのに対して、シャビの場合は大脳基底核が活動している。この部位は「直感」が働く際に活動する場所である。

試合中に「首がもげるんじゃないか?」と心配するほど周りの状況を常に把握している印象があるシャビさんも、実は直感的にプレーしていたとのこと。

もう一人は現在ヴィッセル神戸に所属しているイニエスタ選手。

中村憲剛さんの「何をみてサッカーをやっているのか?」という質問に対してのイニエスタ選手の回答が以下の通り。

「頭の中では考えず、体が自然に動いてくれている感じです。」

11分45秒あたりから再生


サッカーを長くやっている選手なら、自分の型(癖)みたいなのがあって、
「相手があっちから来たら、このフェイントをするとうまくかわせる」みたいなことを無意識にやっていたりすると思うのですが、
たぶんシャビさんやイニエスタ選手はその状態で常にプレーしているような感覚なのでしょうか?笑

以上をまとめると、、、


[普通の選手]
情報を収集する→効果的なプレーを考える→実行

[シャビさんやイニエスタ選手]
情報を収集する→特に考えずに、直感的にプレーしている。(体が効果的なプレーを覚えていて、勝手にやっている。)



本来、サッカーは『自分と闘うスポーツではなく、相手と闘うスポーツ』だと思うので、できるだけ相手に意識が向けられる状態を作ることが求められるはずです。

そう考えても、特に考えずに(意識を向けずに)プレーできているという状態は、それだけ周りの影響に意識を向けれる余裕があるということなので、一番プレーしやすい(外的集中が使いやすい)状態なのは間違いないと思います。

だからこそ、この二人のプレーを見ていると、「えっ!そこに出すの!?」とか「いつそこを見ていたの!?」という驚くプレーが多いのかもしれません。

そして、このような状態を作っていくためには、とにかく1つのこと(試合中だと1つの流れ)が無意識に行えるようになるまで、質の高い取り組みを繰り返し、質の高い振り返りを積み重ねることが求められそうです。


[本編で共有した、無意識が作られるまでの流れ。]

①1つのことに対して
意識を向けて取り組む(入門集中)

②質の高い取り組みと
振り返りを繰り返していく。

③知識と記憶が溜まり、動きに慣れてくる。
少しずつ無意識(直感的)に
体が動くような状態になる。

④俯瞰集中が使える状態になる。
(別のことに意識を向けれるようになる)。



何でもかんでも
慣れればいいってもんでもない


しかしながら、個人的には慣れていく(無意識を作っていく)にあたって、『慣れ方』も大事なんじゃないかなと思いました。

例えばトラップ練習をするにしても、、、

・足のどの部分で止めるかを意識しながら取り組むのか、
・ボールの軌道に合わせて止めることを意識しながら取り組むのか、
・止める際の姿勢に意識を向けながらトラップするのか
・止めてから蹴るまでの早さを意識して取り組むのか etc…

というように、トラップの練習を1つとっても、さまざまな意識の仕方があるはずで、自分が”何を”意識しながら取り組んでいるかで、無意識にできることが変わってくると思います。

言い換えると、「自分はトラップする際の”何を”無意識に行えるようになるために、この練習を行なっているのか?」を考えながら取り組むことが大切そうです。

ということを踏まえて、ここ最近はより外的集中を使いやすい状態を作るために、普段の練習や自主練で意識していること、メニューなどを少し変えてみました。

現在は仮説を立て、検証している最中なので、「これはめっちゃいい!」と断言できるレベルではないですが、今のところはそこそこ良い感覚があるので、ちょっと続けていきたいと思います。

下澤悠太の奮闘記#4〜外的集中をより効果的に使えるようになるために、最近意識していること。〜


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