③サッカー中に”目的達成に繋がる影響”を取捨選択する方法(2-2)
前回の記事👇
前回の内容をまとめると、
「試合の中で外的集中を使って、"目的達成に影響を与える可能性のある要素"に気づくためには、まずは根本的にサッカーの試合中に起こる『影響(の与え方/与えられ方)について』を知ることが大事だよね!」
みたいな話とその具体例を書きました。
今回はそのたくさんある『影響の与え方(与えられ方)』の中から、実際に目的達成に繋がる可能性が高い要素の見極める方法についての整理を!!
第一回でチラッと書いた内容ではありますが改めて!!
サッカーの目的を軸に整理する
おさらいですが、、、
"目的を達成するために、自らに影響を与える可能性のある要素"に気づくためには、そもそも『サッカーにおける目的』を意識する必要があるということを①の記事で書きました。
『競争闘争理論』では目的を以下のように整理されていました。
・サッカーという”ゲーム”の目的
→『勝利』
(選手やチームがサッカーをする目的が勝利というわけではない。)
・勝利を達成するために狙う的(ターゲット)
→攻撃時は『(相手の)ゴール』、守備時は『(相手の)ボール』
ということを踏まえて、サッカーの試合中に『目的を達成するために今必要な影響の与え方(与えられ方)』を見極める方法としては、
✔︎90分間通して持ち続ける必要がある見極め方
→「今この瞬間で自分たちの『勝利』に繋がる可能性が高そうな影響は何か?」という問いを軸に見極める。
✔︎攻撃時
→「今この瞬間で”ゴールを決める”ために必要となり得る影響、もしくはその障壁となる得る影響は何か?」という問いを軸に見極める。
✔︎守備時
→「今この瞬間で”相手ボールを奪う”ために必要となり得る影響、もしくはその障壁となり得る影響は何か?」という問いを軸に見極める。
というようになると思います。
しかしながら、上記のことを忘れ、例えばボールを保持する意識が強いチームが競争的な思考態度でプレーしてしまうと、、、
目的(勝利)を忘れ、ボールを保持することに強い意識が向いてしまうことで、「ゴールを奪うためにどこに立ち、どんなプレーをするか」ではなく、「ボールを繋ぐ(失わない)ためにどこに立ち、どんなプレーをするか」という状態でプレーすることが増えてしまいます。
その結果、ボールは持っているけど、シュートまではいけない怖さのない攻撃に繋がったりします。
僕自身が競争的な思考態度でプレーしている選手だったので、この状態に陥ってしまう経験がこれまでにたくさんあるのですが、最近は少しずつ頭を作り替えていることで、プレー中に意識していることや、楽しみ方が変わってきました。
#サッカーが本当に楽しいです
とはいえ、上記で『”勝利”に繋がる可能性が高そうな要素』『”ゴールを決める”ために必要となり得る要素』と整理してみたものの、さすがにこれだとザックリしすぎているように感じました。
これだと試合中にあるたくさんの影響の中から取捨選択するのは難しそうですよね?
なので、、、
「勝利に繋がることが多い影響(の与え方)や要素は何か?」
「ゴールに繋がることが多い影響(の与え方)や要素は何か?」
「相手ボールを奪えることが多い影響(の与え方)や要素は何か?」
みたいな目的の達成に繋がりやすい『最適解』を整理しておいて、それを軸(フィルター)にして「この状況で〇〇をすると結果的に勝利に繋がっていることが多いけど、それを踏まえた上で、今の状況で何をすれば効果的なんだろう?」みたいな感じで、
無数にある影響から今必要な影響を取捨選択しやすくなるのではないか?と考えたので、整理してみました。👇
状況によって影響の与え方、
与えられ方の必要性は異なる
上記のように整理した中で、『今この瞬間』というワードをあえて入れてみたのは、その時の状況によって必要になりそうな影響の与え方(与えられ方)が変わると考えているからです。まぁ当たり前ですが!!笑
例えば守備時に『相手の服を引っ張って動きを止める』という影響の与え方は決して良いとは言いづらいかもしれません。
なぜなら、もしかしたらカードをもらい、その後のプレーに影響を与えてしまうかもしれませんし、引っ張ることで相手を怒らせ、相手のエネルギーを高めてしまうかもしれません。
ただ、よくあることかもしれませんが、チームが1-0で勝っていて後半終了間際のプレーで、味方が相手陣内で不用意にボールを失い大カウンターを受けそうな時であれば、話が変わってくると思います。
そこで自分が相手の服を引っ張り倒してファールしたことで、試合が途切れそのまま試合終了で勝利できたら、
服を引っ張るという影響の与え方は”その瞬間の効果的なプレー”であり、「今のはナイス!」と賞賛されたりもすると思います。
これはあくまでも一例ですが、このように影響の与え方もシチュエーションによっては、『効果的or効果的じゃない』の度合いが変わってくると思います。
つまり逆を考えると、自分が良かれと思って行ったプレー、声かけ、振る舞いなどが状況によってはデメリットになってしまっている可能性があると思うので、だからこそ『影響の与え方』を事前に整理しておくことが大切そうです。
それこそ、そういった様々な影響の与え方を自分(たち)で意図的にコントロールできるようになれば、
試合中に起こる”良い流れ”を運任せではなく、自分たちで意図的に作れる可能性も高まるので、『90分間試合を支配する(「90分間ボールを保持し続けている」といった意味ではない)』ということを再現性をもって可能にできるのかもしれません。
あとはとにかく実践。
影響の与え方(与えられ方)を整理できたら、あとは上記の目的を意識しながら、それを試合の中で実践したり、周囲からの影響を体感してみることが求められると思います。
それをどんどん繰り返していくことで、「このシチュエーションの時は、相手に〇〇な影響を与えると有利になる!」といったことが、徐々に肌感覚でわかるようになり、特に意識しなくてもその瞬間に必要な情報(影響)を無意識に気づけるようになっていくことにも繋がると思います。
最後に、実践するにあたってのポイントだけ共有してみます!
意識しないと、気づけない。
様体賦活系(もうようたいふかつけい)というものをご存知でしょうか?
これはRASとも呼ばれるのですが、脳の機能の1つで『自分にとって必要な情報だけを脳にインプットするフィルター』のようなものです。
例えば、大勢の人がいる中で友人と話している時。周りがガヤガヤしていても、周囲の会話は聞こえず、自分の友人の声を聞き取れる様なことがあると思います。
これは RASが自分に必要な情報を精査し、たくさん聞こえてくる音の中から友人との会話の内容だけを取り入れてくれているからです。
人間が1秒間に取り入れている情報の量はおよそ4億bitあると言われているそうなのですが、さすがに脳はこれだけの情報量を処理しきれないので、RASを通して必要な情報だけをキャッチしてくれているそうなんです。
つまり逆を言えば、自分にとって必要な情報以外は脳に入ってこないということになります。
そう考えると、どれだけ影響の与え方(与えられ方)を整理しておいても、試合のなかでそれをしっかり”意識して”情報収集しなければ、必要な情報だとは認識されず、情報として入ってこないんです。
例えば相手からパスカットをする時のコツとして、「パスを出す前に相手はパスを出そうと思っている場所(選手)をチラッと見る傾向が強い。」みたいなことを事前に整理しておいたとしても、
最初はしっかりと「相手がボールを持ったら相手の目線の行方を意識してみよう!」と取り組まないと気づくことが難しいという話ですね。
なので無意識にその必要な情報が気づけるようになるまで(脳が重要だと認識するまで)は、意識的に感じようとする(気づこうとする)必要があります。
この点は押さえておいた方がよさそうです。
ということで、ここまでの①〜③の記事で整理した、『サッカーにおける適切な集中状態の作り方』を改めて整理すると、、、
①サッカーにおける適切な集中状態は、目的達成に繋がる要素をより感じられる(見える・気づける)状態。(外的集中)
↓
②外的集中を使うためには、大前提として無意識に行えることが多くないと、周りに気づける余裕が生まれない。
↓
③試合中に外的集中を使って、目的達成に繋がる影響に気づくためには、まずはどんな影響(の与え方/与えられ方)があることを知ること。そして目的(勝利)を意識しながら必要な影響を取捨選択し、実践し、経験値を貯めていくこと。
みたいな感じになると思います。
ただ、ここまでの①〜③の内容はあくまでもサッカーで求められる集中状態の構造の話です。
実際には次回の④からの話がより重要になってくると考えています。
というのも、サッカーで求められる集中が「周りに気づける状態なのか!」と理解したところで、実際の試合中に「よし!じゃあ今からその状態に入ろう!」と意識すれば、スッと集中モードに入れるわけでもないと思います。
普通に生きている中でも「今日はめちゃくちゃ集中できたなぁ!」と思う時もあれば、集中したいのに「今日は周囲の雑音が気になって、全然集中できなかった」でみたいなことがあると思います。
その辺りの脳の構造も踏まえて考えておかないと、実際の試合の中で適切な集中状態を構築するのがかなり難しいんじゃないかなと。
ということで、次回はそちらを深掘ってまいります。
たぶんこれまでの記事の中で一番面白い話になると思います。笑
そのうち更新します!!
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