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④『自律神経』をコントロールし、集中力を最大化させるお話。(4-2)

[前回の内容]

・『心理的安全性』が保たれていれば、集中力の持続時間に限界はない。

・集中力が最大化している時の状態は『ワクワク・ドキドキしながら、リラックスもできている時』。

・この2つの脳の状態を支えているのが『心理的安全性』

サッカーにおける適切な集中状態に入るためには、まずは心理的安全性の状態を構築することが大事。



ここからの記事では、自分自身で集中力をコントロールできるようになるために、『集中力が最大化している時の状態』についてもう少し細かく整理していきたいと思います。

今回は『自律神経』を軸に「人が集中できている時の(身体は)どのような状態になっているのか?」ということをテーマに書いてみます!


集中力、心理的安全性
に関わる『自律神経』


今回の話の軸になる『自律神経』とは、『自分の意志とは関係なく自動的に働いてくれる神経』のことで、人が無意識に呼吸をしたり、食べ物を消化したり、心臓が動いているのはこいつらのおかげです。

そんな自律神経には、『交感神経』『副交感神経』の2種類あることは有名ですが、その時々の状況に合わせて使い分け、心拍数や呼吸、消化といった身体の機能をうまく調節してくれています。

例えば身の危険を感じるような状況に陥った時。


この時に頭も体もボーっとしていたら大変なので、身体は交感神経を優位にさせ、心臓を「ドクンドクン」と早く動かしたり、筋肉を緊張させることで、すぐにでも動けるような状態を作ってくれるわけですね。

改めて2つの特徴を整理すると、、、


*交感神経(主に”活動している時”に活発になる)

身体がストレス反応を感じた時に活性化。
交感神経が優位になると血管は収縮し、血圧が上昇。気持ちは高揚し、活動的なアグレッシブなモード。
(ここでいうストレス反応は不安や緊張といった心理的なものだけでなく、運動をした時の身体的なストレスなども含まれる。)

*副交感神経(主に”休息している時”に活発になる)

身体がリラックスした状態にあると活性化。
副交感神経が優位になると、血管は適度な状態で緩み、血圧は低下。身体はリラックスした状態になり、穏やかで落ち着いた気持ちになる。



集中力が最大化している時の
自律神経のバランス


ここで集中力の話に戻しますが、集中力が最大化している時の自律神経のバランスは、『交感神経と副交感神経がどちらも適度に刺激されている状態(どちらかに過度に偏っていない状態)』だということです。

これは試合の時を思い返してみてもそう感じます。

例えば、「ぜぇぜぇ」と息が整っていない時や、気持ちがたかぶりすぎているような交感神経が過度に優位になっている時は、注意散漫になったり、周りが見えなくなるといった状態に陥りやすかったりすると思います。

一方でリラックスしすぎているような副交感神経が過度に高まっている状態だと、頭がぼーっとしたり、どこかやる気が出なかったりと、これはこれで集中力が発揮しづらい感覚を感じたことがあります。

だからこそ、試合中に集中力を最大化するためにも、この自律神経のバランスを整えてあげることが重要だということです。


*交感神経が優位になりやすいサッカー


上記の内容を踏まえた上で着目したいのが、サッカーは圧倒的に交感神経が優位になりやすいスポーツだということです。

・試合開始時間が近づくにつれて気持ちがたかぶる
・不安やプレッシャーによって心臓がドキドキしてくる。
・会場の声援や太鼓の音、BGMによって心拍数や呼吸が速くなる
・アップや試合中に体を動かすことで受ける身体的なストレス
etc…

だからこそ、サッカーをプレーする上では意識的に副交感神経を刺激し、リラックスするようにしておかないと、サッカーをしている中で集中力の最大化が難しくなるわけですね。


✔︎過度な交感神経が集中力に与える影響

では、そもそも交感神経が優位になりすぎると、集中力にはどのような影響があるのでしょうか?

例えば以下のことが考えられます。

交感神経が優位になることで、
身体は心拍数や血圧が上昇したり、
呼吸が浅く早くなったりと緊張状態に陥る。

身体(筋肉)が緊張すると血液中の酸素量が低下するため、
脳に必要な酸素や栄養が不足しやすくなる。

これにより、脳の機能が低下し、
集中力が低下する可能性が考えられる。


もちろん交感神経が優位になることによって生まれる緊張状態が必ずしも悪いわけではないのですが、(次回の記事で詳しく書きます)
緊張状態が長く続くと身体や脳は疲弊しやすくなり、その結果として集中力の持続時間が短くなるというデメリットにも繋がってしまったりします。


✔︎過度な交感神経が心理的安全性に与える影響


今度は交感神経と心理的安全性の関係性について。

大前提として忘れてはいけないのは、交感神経は身体がストレス反応を引き起こすときに活性化するものだということ。

つまり、交感神経が優位になればなるほど、心理的安全性が崩れやすい可能性もあるということです。

例えば、試合中に相手にボールを回され続け、「やばい…しんどい…」と息がゼェゼェしている状態や、ネガティブなことを考えてしまっている状態などが挙げられるかもしれません。

また、交感神経が優位になっていることで”錯覚を起こし”、自ら心理的危険性の状態に陥ってしまうような場合もあります。


例えば、公式戦のこんな一場面。

試合前のアップが終わり、心拍数や息が上がった状態
(交感神経が優位な状態)で控え室に帰ってくる。

自分の中では緊張や不安はなく
「よし!良いアップができた!」と感じていた。

その時にチームメイトから
「表情固くない?緊張しているの?笑」と言われる。

自分の中では緊張や不安は感じていなかったので
「いやいや!緊張してないよ!笑」と言い返す。

ただ、ふと冷静になって自分を観察してみると、
たしかに心臓がドキドキしていることに気づく。
(アップによって交感神経が優位になっていただけなのに)

「あれ?気づいてないだけで、
もしかして緊張しているのかな?」
と余計なことを考えてしまい、
ドキドキがさらに強くなる。

(何もヤバくなかったのに)「ヤバい…」と錯覚を起こし、
過度な緊張状態に陥ってしまう。
(心理的危険性の状態に陥ってしまう)

結果的に、集中力もパフォーマンスを落ちる

交感神経が優位になっていることで、このようなことが起こる可能性もあるわけです。


以上のようなことを含め、集中力やパフォーマンスを高めるためにも自律神経のバランスを調整することも意識することが重要になります。

ただ、ここまでの話を踏まえると「とにかく交感神経の働き抑えて、副交感神経を活発にし、リラックスできるようにすればいいのか!」と考えやすいですが、
ちらっと書いたように、逆に副交感神経が過度に優位になりリラックスしすぎると、ぼーっとしやすくなったり、活力が湧かなかったりと、これはこれでパフォーマンスの低下に繋がってしまいます。

あくまでも自律神経の最適なバランスは、交感神経と副交感神経のそれぞれが程よい力で拮抗しながら働く状態であることを理解した上で、その時々の状況に合わせて調整できることが重要だということです。

[試合中にもできる自律神経を整える方法]


まとめ



集中力が最大化している時は、『交感神経と副交感神経がどちらも適度に刺激されている状態(どちらかに偏っていない状態)』

・サッカーは圧倒的に交感神経が優位になりやすい

・交感神経が過度に優位になると、集中力や心理的安全性にも悪影響を及ぼす。(副交感神経が過度になりすぎても同様)

・試合中は副交感神経に刺激を与えることで、バランスがとりやすい



今回は主に人が集中できている時の”身体”の状態についてでしたが、次回は神経伝達物質の観点から『人が集中できている時の”脳”の状態』について整理していきたいと思います!!



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