グランプリ京都に向けて:スタンダード環境まとめ

今週末、京都でスタンダードのグランプリが開催される。


現在のスタンダードを一言で表すのなら「群雄割拠」
アグロ、コントロール、コンボと揃っており、なおかつどれか一つが突出しているわけではなく、5色すべてに活躍のチャンスがある。

強力な単色クリーチャー達

ドミナリアのトリプルシンボルカードが強力だったことでアグロデッキは単色化が進んだ。
しかし単色ビートのクリーチャーを除去する2マナのカードも各色に揃っているためコントロールも成立し、多色を支えるためのマナベースも強力で、さらにはコンボデッキも存在する。

除去も優秀、コンボデッキもあるよ

同じデッキが勝ち続けるわけではなくメタゲームも動き続けている。近年稀に見る良環境だ!

私もミシックチャンピオンシップ、スタンダード神決定戦に向けて数多くのデッキを使用し、準備してきた。
そして先日行われたイベントで「スタンダード神」に就任、かつ最初の防衛を果たすことが出来た!!!

今回の記事では、スタンダードの主要デッキをまとめつつ、グランプリ京都に向けて思考をまとめて行こう。

目次
■メタゲームの変遷
■スゥルタイミッドレンジ
■オメガ・スゥルタイ
■赤系アグロ
■エスパーコントロール
■シミックネクサス
■青単テンポ
■白系アグロ
■ティムール《荒野の再生》
■グランプリに向けたデッキ選択
■デッキ決定(※3/22金曜日追記)


■メタゲームの変遷
直近の大型大会を元に、メタゲームがどう移り変わっているのか考察しよう。

※2月22日開催 「ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019」 初日メタゲームブレイクダウン

使用率
21.5% スゥルタイ・ミッドレンジ
14.3% ネクサス 
12.4% 白アグロ
12%  青単テンポ
9%   エスパー・コントロール
6%   イゼット・ドレイク
5.6%  赤アグロ

ミシックチャンピオンシップ・クリーブランドは青単の優勝、エスパーの準優勝で幕を閉じた。
参加者の意識としては、まずはスゥルタイがトップで、それに対抗するための青単およびネクサス。この2つはどちらもスゥルタイに有利がつくデッキというのが共通認識だった。
そして青単&ネクサスに対抗するための白アグロといったメタゲームだ。

イゼットドレイクが一定数いるのはアンチ青単としての立ち位置だが、ネクサスやエスパーに不利なため次第に数を減らしていった。
この時点では赤アグロの注目度は低く、スゥルタイの《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》パッケージが乗り越えられず、数も少ないだろうと予想されていた。
次に、1か月後の300人規模の大会「スタン神挑戦者決定戦」のデータを見てみよう。


※3月17日開催 「スタン神挑戦者決定戦」メタゲームブレークダウン

使用率
15.11% スゥルタイ・ミッドレンジ
11.90% 赤系アグロ
9.65%  エスパーコントロール
7.72%  シミックネクサス
7.07%  青単テンポ
7.07%  白系アグロ
6.43%  ティムール《荒野の再生/Wilderness Reclamation》

ミシックチャンピオンシップからの大きな変化は、赤系アグロの躍進だろう。
青単・白単が強いという共通認識が進んだことにより、《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler》の価値が上がったとも捉えられる。
またシミックネクサスは遅いデッキに強く、赤と白のアグロデッキを特に苦手とする。それも赤が増えた要因の一つだろう。

タフネス1を咎める!!

ティムール《荒野の再生/Wilderness Reclamation》はミシックチャンピオンシップ後に研究が進んだデッキだ。
もともと《成長のらせん/Growth Spiral》からの《荒野の再生/Wilderness Reclamation》は環境で最も強い動きであり、
そこに赤を足すことで《発展+発破/Expansion+Explosion》という必殺技を得た。ターボ《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun》と軽除去によりコントロールとしても振る舞えるようになったデッキだ。

X=20で本体に20点!相手の《否認/Negate》もコピーして撃ち返せるよ!

ミシックチャンピオンシップ後1ヶ月が経ったが、スゥルタイがトップメタなのは依然として変わらない。どの相手にも戦えて、3色デッキなのでサイドボードが優秀。
この手のミッドレンジデッキを好む層は一定数いるだろうし、グランプリでもスゥルタイは最も多いであろうことが予想される。
グランプリ2日目進出を狙うなら、「スゥルタイに勝てる」が必要な条件になるだろう。

このデータをもとに、使用率上位だった各デッキを順々に分析して行こう。


■スゥルタイミッドレンジ

各デッキ相性
〇赤系アグロ
△エスパーコントロール
×シミックネクサス
△青単テンポ
〇白系アグロ

《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger》パッケージは赤単・白単に対する一番の対策だ。
スゥルタイが使用率トップなのは、赤単・白単に有利が付きやすいというのも理由に含まれるだろう。単色を倒すなら、やはり《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》。

しかし白単側はサイド後に《トカートリの儀仗兵/Tocatli Honor Guard》4枚で探検パッケージを無効化してくるため、相手のトカートリと同数を超える《喪心/Cast Down》《ゴルガリの女王、ヴラスカ/Vraska, Golgari Queen》をメインサイド合わせて合計4枚以上は取りたい。
白単・赤単・青単3種類全部にサイドインできることを考えると《喪心/Cast Down》の4枚目が推奨だ。ミラーマッチでも《人質取り/Hostage Taker》の能力にスタックでプレイするとコントロールを奪われずに済み、後手で最も初手に来て欲しいのは《喪心/Cast Down》だ。

スゥルタイはメイン戦よりもサイド後の勝率が高いデッキでもある。
メインは相手によってカードの強さがブレやすく、エスパーや青単、シミックネクサスに対してはメインを落としやすい。
しかしサイド後は苦手な3デッキそれぞれに有効なカードがあり、最適化される。そのためこの3つにどこまでサイドボードを取るかがスゥルタイ使いの悩み所だろう。
私が固定サイドボードだと考えているものは以下の通り。

4《強迫/Duress》
スゥルタイは打消しを構えられるターンが少なく、また青マナも10-11枚程度しか入っていないため適正なターンに《否認/Negate》を撃てないことが多い。
特に青単とネクサス相手には相手の手札を確認しつつ、自分がフルタップしても良いターンを作る必要があるため、《強迫/Duress》は2枚引いても3枚引いても嬉しいカードだ。
他のアクションが重くなりやすいこともあり、1マナの妨害はとても貴重。青マナを増やしたオメガ・スゥルタイなら《否認/Negate》の選択肢もあるが、《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》型なら迷わず《強迫/Duress》4枚にしよう。

4《クロールの銛撃ち/Kraul Harpooner》
青単と、エスパーのサイド後《正気泥棒/Thief of Sanity》を見たサイドボードだ。
青単はどう上手くプレイしてもこのカードをケアしにくい。《強迫/Duress》→《クロールの銛撃ち/Kraul Harpooner》が一番の勝ちパターンだ。
エスパー相手は全体除去ケアで《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》を全てサイドアウトするため、低コスト飛行除去かつパワー3でクロックも十分な《クロールの銛撃ち/Kraul Harpooner》は4枚欲しい。

2《打ち壊すブロントドン/Thrashing Brontodon》
シミックネクサス相手のサイド後は、自分がダメージを与えながら妨害する、クロック・パーミッションに近い動きを取ることになる。
《強迫/Duress》《否認/Negate》といった妨害だけでは相手に《薬術師の眼識/Chemister's Insight》でリソース回復する時間を与えてしまうため、ダメージソースも必要になる。
《打ち壊すブロントドン/Thrashing Brontodon》は妨害とクロックの両方の性質を持っており、自分が残すマナが1マナで済む。
また赤アグロ・白アグロに対しても3/4の壁として使えてエンチャントも破壊でき、必須パーツだ。

上記の10枚と《喪心/Cast Down》を合わせて11枚サイドボードを取って、残りの4枚は自分が対策したい相手に追加する形になるだろう。


■オメガ・スゥルタイ

《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》と探検クリーチャーを廃して、青マナを増やして《思考消去/Thought Erasure》《正気泥棒/Thief of Sanity》《エリマキ神秘家/Frilled Mystic》を採用したデッキだ。

《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》型との違いは2点。
①スゥルタイ同系、エスパー、シミックネクサス、ティムール《荒野の再生》にメインから耐性アップ。
どのデッキも《思考消去/Thought Erasure》《正気泥棒/Thief of Sanity》《エリマキ神秘家/Frilled Mystic》が有効に働く相手であり、《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》が機能しにくい。
相手視点では《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》は放置できるが、《正気泥棒/Thief of Sanity》は1回の攻撃も許せない。

②アグロ耐性低下
当然だが、《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》を抜けばアグロ耐性は落ちる。特に《正気泥棒/Thief of Sanity》《培養ドルイド/Incubation Druid》は赤に弱いクリーチャーであり、《ショック/Shock》と交換していてはゲームに負けてしまうだろう。

3マナと1マナを交換はしたくないよね

しかしメタゲーム全体で見たとき、《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》が有効な相手は思っているよりも少ない。
スゥルタイのミラーマッチやエスパー相手は1:2交換を目指すため、《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》はサイドアウトするカードだ。
赤単にはたしかに《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》がゲームを決定付けるが、白単はサイド後4枚の《トカートリの儀仗兵/Tocatli Honor Guard》があるため上手くいかない。
《喪心/Cast Down》が引けなかった場合は《トカートリの儀仗兵/Tocatli Honor Guard》でデッキのカード15枚ほどが無効化されてしまうし、《喪心/Cast Down》なしの初手キープもよく起こる。
その点オメガ・スゥルタイは《トカートリの儀仗兵/Tocatli Honor Guard》が効きにくい。
《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》が本当に強い相手は、赤単、ラクドス、グルールといった赤アグロに限定されやすい。

グランプリでスゥルタイのミラーマッチを乗り越えるためにはオメガ・スゥルタイの方が適しているように思える。
苦手なアグロにはサイドボードを厚く取りさえすれば、上位を狙えるデッキではないだろうか。

※良記事だったので、詳細なガイドはこちらも参照。

■赤系アグロ

各デッキ相性
×スゥルタイ
×エスパーコントロール
〇シミックネクサス
〇青単テンポ
△白系アグロ

赤系アグロは緑か黒のどちらかをタッチする形が主流になっている。速度だけで言えば赤単色が最も優れているが、そのぶんサイドボードで取れる戦略が狭まってしまうからだ。

タッチ緑はメインは赤単色で、サイドボード《燃えがら蔦/Cindervines》《争闘+壮大/Collision+Colossus》のための緑だ。

《燃えがら蔦/Cindervines》はネクサスに最も効き、1枚で勝つことが出来るサイドカード。エスパーや赤アグロミラーマッチでもサイドインする。
《争闘+壮大/Collision+Colossus》は赤単が1枚で除去できない《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun》対策となる。
上記のリストでは《遁走する蒸気族/Runaway Steam-Kin》やサイドの《宝物の地図/Treasure Map》とのシナジーもあるため、《実験の狂乱/Experimental Frenzy》が4枚採用されている。しかしシミックネクサスに対して重過ぎて弱いカードであること、アグロデッキ対決で4マナ払って盤面干渉しないターンがあることから、《実験の狂乱/Experimental Frenzy》は多く入れすぎない方が良いカードに思える。

タッチ黒は私が神決定戦で使用したデッキだ。
《リックス・マーディの歓楽者/Rix Maadi Reveler》が本当に強く、序盤は事故を防ぎ、後半は絢爛で3ドロー、なおかつ黒マナを引いていなくても単色でプレイできる。

序盤中盤終盤、いつ引いても嬉しい

サイドカードのために緑をタッチするよりは、メインの動きを円滑にする黒タッチを推したい。
ただ《興行+叩打/Carnival+Carnage》は《興行》は効く相手が限定的で、《叩打》はコストの重さから《リックス・マーディの歓楽者/Rix Maadi Reveler》と被ることが多いため沢山入れないほうが良く、2枚を推奨。
《軍勢の戦親分/Legion Warboss》は赤単・白単に弱くそれ以外に強いカードなので、グランプリでアグロが多いと予想するなら3枚に変更しよう。

元の八十岡さんのデッキリストだとサイドボードは《ドリルビット/Drill Bit》だったが、サイドインする相手がほぼネクサスのみなので絢爛なしでもプレイできる《強迫/Duress》を優先した。
バーンデッキがプレイする手札破壊は本来のデッキコンセプトと合わないものなので、役割としてはコンボデッキを少し低速化させて自分の攻撃できるターンを増やす事だ。黒マナも不十分なので、ネクサス以外にはサイドインしない方が良いだろう。

イゼットやエスパー、スゥルタイ相手には《狂信的扇動者/Fanatical Firebrand》《ショック/Shock》を抜いて《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》《実験の狂乱/Experimental Frenzy》で少し重めにシフトする。
3点火力はサイドアウトしすぎるとデッキコンセプトが崩れてしまうので《稲妻の一撃/Lightning Strike》《魔術師の稲妻/Wizard's Lightning》、およびウィザード8枚は残すようにしよう。

■エスパーコントロール

各デッキ相性
△スゥルタイ
〇赤系アグロ
×シミックネクサス
△青単テンポ
〇白系アグロ

どんな相手にも無駄になりにくい《思考消去/Thought Erasure》を使えるのがエスパー最大の利点だ。《アズカンタの探索/Search for Azcanta》《思考消去/Thought Erasure》は相手によって強さがブレにくいスタンダードで是非使いたい2枚。

単色ビートが強いという共通認識が広まってきたこともあり、《肉儀場の叫び/Cry of the Carnarium》《ケイヤの怒り/Kaya's Wrath》を3:2のバランスを試したりもした。
しかし-2修正では育った《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》《敬慕されるロクソドン/Venerated Loxodon》《遁走する蒸気族/Runaway Steam-Kin》を処理できず負けが多発したため、結局全体除去のバランスは《肉儀場の叫び/Cry of the Carnarium》《ケイヤの怒り/Kaya's Wrath》が2:3がベストだ。

悩むのはメインの除去のバランスだが、ネクサスに不利なためエンチャント破壊《屈辱/Mortify》3は必要。後手でキープ基準となる2マナ除去も4枚以上は欲しい。

《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt》でしか除去できないのは主に《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》《ビビアン・リード/Vivien Reid》《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》で、特に後者2つは除去よりも打ち消しで対応したい。
単色ビートが増えて軽いアクションが求められるようになったため、4マナを減らして2マナのカードを優先して採用したいため《否認/Negate》2《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt》2のバランスだ。スゥルタイでも同様だが、今は単色ビートを考えて《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt》2枚が良いと考えている。

※エスパー使いは井川さんの記事も参考にどうぞ!

■シミックネクサス

各デッキ相性
〇スゥルタイ
×赤系アグロ
〇エスパーコントロール
△青単テンポ
×白系アグロ

《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》はスゥルタイ、赤単、エスパーに強いが白単やネクサスミラーでは活躍しにくい。
ただスゥルタイとエスパーがサイド後《強迫/Duress》《否認/Negate》《正気泥棒/Thief of Sanity》の組み合わせで攻めて来る事を考えると、3種類全部に耐性がある《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》は3枚は必要だと考える。
《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》を抜いて《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》《発展+発破/Expansion+Explosion》をフィニッシュ手段にしたバージョンもあるが、《発展+発破/Expansion+Explosion》がアグロに無駄になりやすく、土地からのダメージが増えることで赤単・白単への耐性がさらに下がるのでおすすめしない。
《オラーズカの拱門/Arch of Orazca》はスゥルタイとエスパーの長期戦を見越してだが、アグロ相手にはサイドアウトする。

シミックネクサスは単色アグロに弱くコントロールに強いという性質を持っているため、サイドボードは苦手な部分を補うカードを取りたい。
《僧帽地帯のドルイド/Druid of the Cowl》はタフネス3が赤単・白単両方のクリーチャーをブロック出来て、《成長のらせん/Growth Spiral》以外まともな2マナアクションを取れない弱点を緩和してくれる。

タフネス3が赤と白相手には重要。ナイスブロッカー。

《培養ドルイド/Incubation Druid》は青単には強いが、苦手なデッキをカバーする意味では《僧帽地帯のドルイド/Druid of the Cowl》が優先される。
苦手な赤単・白単でサイドアウトするカードが少し異なるので記しておく。

赤系アグロ
1《オラーズカの拱門/Arch of Orazca》
2《一瞬/Blink of an Eye》
1《根の罠/Root Snare》

4《僧帽地帯のドルイド/Druid of the Cowl》

白系アグロ
1《オラーズカの拱門/Arch of Orazca》
1《アズカンタの探索/Search for Azcanta》
3《悪意ある妨害/Sinister Sabotage》
3《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》

4《僧帽地帯のドルイド/Druid of the Cowl》
3《生体性軟泥/Biogenic Ooze》
1《押し潰す梢/Crushing Canopy》

《生体性軟泥/Biogenic Ooze》はスゥルタイ、エスパー、白系アグロの3種類にサイドイン。
《荒野の再生/Wilderness Reclamation》と組み合わさるとあっという間にウーズで盤面が埋め尽くされる。
相手側からは除去を多くは残せないため対処しにくく、サイドインされる《強迫/Duress》《否認/Negate》をすり抜けて来るのが強みだ。

ぶじゅるぶじゅる(MTGアリーナの効果音好き)

■青単テンポ

各デッキ相性
スゥルタイ
×赤系アグロ
エスパーコントロール
シミックネクサス
×白系アグロ

1ターン目クリーチャー→《執着的探訪/Curious Obsession》《潜水/Dive Down》という環境屈指の嵌めパターンを持ち、相手に何もさせずに勝利することもある。
デッキが非常に安価で組みやすいこともあり流行するかと思われたが、神決定戦のメタゲームでは減少している。

理由としては過剰にサイドボードを取られていることが挙げられるだろう。
実際トップ8-16のデッキリストを見ればわかるのだが、青単のデッキ使用数よりもサイドボードに採用されている《クロールの銛撃ち/Kraul Harpooner》の方が多く、緑のデッキのほとんどが3-4枚の《クロールの銛撃ち/Kraul Harpooner》をサイドボードに採用している。

天敵!!!

2マナで《貪欲なチュパカブラ/Ravenous Chupacabra》のような挙動をされてしまう上に《呪文貫き/Spell Pierce》《潜水/Dive Down》では上手く防げない。《正気泥棒/Thief of Sanity》も対策できるため納得の使用率ではあるが、青単にとっては向かい風だ。

それに加えて、青単では「出されたら負け」の《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun》をメインに据えたティムール《荒野の再生/Wilderness Reclamation》の台頭もある。
もともと青単は一つ選択肢を間違えただけで敗因になるほどプレイスキルが求められるデッキであり、使いこなすには熟練が必要だ。
グランプリで《クロールの銛撃ち/Kraul Harpooner》が減るとも考えられないので、現状ではあまり使いたくないデッキだ。

■白系アグロ

各デッキ相性
×スゥルタイ
△赤系アグロ
×エスパーコントロール
〇シミックネクサス
〇青単テンポ

《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》《肉儀場の叫び/Cry of the Carnarium》を苦手とするが、ネクサスや青単を得意とする。
赤単対白単はいかに《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler》をケアするかで、《敬慕されるロクソドン/Venerated Loxodon》《ベナリア史/History of Benalia》のタイミング次第だ。マッチを通しては五分五分だ。

アンチ《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》

白単はスゥルタイ用に《トカートリの儀仗兵/Tocatli Honor Guard》4枚を採用するが、探検クリーチャー不採用型のタイプには効かないので注意。《思考消去/Thought Erasure》《正気泥棒/Thief of Sanity》など、メイン戦のカードでヒントはあるので相手のデッキタイプを予測しよう。
サイドボードの《啓蒙/Demystify》は1マナと言う軽さからシミックネクサスに最も効果的なカードで、ネクサス側はケアしにくい。ミラーマッチでも《ベナリア史/History of Benalia》《議事会の裁き/Conclave Tribunal》の張り合いになるため重宝する。

白アグロに《呪文貫き/Spell Pierce》《否認/Negate》《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》《拘留代理人/Deputy of Detention》を使うために青をタッチすべきか否かに関して、私は白単色の方が良いと思っている。そもそも毎ターンマナを使い切るビートダウンであり、打ち消しの2マナを構えることが必要なのは《ケイヤの怒り/Kaya's Wrath》《採取+最終/Find+Finality》くらいで、《肉儀場の叫び/Cry of the Carnarium》のターンには構えられないことが多い。青マナが8枚なため、打ち消しだけ引いて青マナを引かない状況もたびたび起こる。

たしかに白アグロミラーマッチでの《拘留代理人/Deputy of Detention》は1枚で逆転するほどの力がある。しかし同時に《神聖なる泉/Hallowed Fountain》によりライフを失うリスクもある。このデッキに求められている方向性はどこを引いても同じ動きをする安定性だ。20枚の《平地/Plains》と全てのカードをプレイできるのが白単色の強みだ。



■ティムール《荒野の再生》

各デッキ相性
〇スゥルタイ
×赤系アグロ
〇エスパーコントロール

×シミックネクサス
△青単テンポ
△白系アグロ

シミックネクサスから《運命のきずな/Nexus of Fate》を抜いて除去を足し、コントロールデッキに近い形に変更した形だ。
《成長のらせん/Growth Spiral》《荒野の再生/Wilderness Reclamation》《薬術師の眼識/Chemister's Insight》の組み合わせはスゥルタイ、エスパーを圧倒することが出来て、《荒野の再生/Wilderness Reclamation》の大量マナから《発展+発破/Expansion+Explosion》という必殺技もある。

単色キラー!青単への相性を変える1枚

《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun》は赤単・青単・白単3種類の単色ビートに特に強いカードで、青単には「打ち消されない」ため1枚でゲームを掌握できる。
ネクサスやエスパーにも有効なカードであるため3枚採用したい。ただしスゥルタイには《ビビアン・リード/Vivien Reid》で落とされる大振りなカードなので活躍は見込めない。

このデッキの元々の性質はシミックネクサスと同じであり、土地からのダメージが増えているため赤単への耐性はそこまで上がっていない。しかし白単耐性は《シヴの火/Shivan Fire》《焦熱の連続砲撃/Fiery Cannonade》によりシミックネクサスよりも相性が改善されており、
《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun》により青単耐性は上がっているので、アグロ耐性の上がったシミックネクサスという印象だ。

シミックデッキネクサス同様、《荒野の再生/Wilderness Reclamation》デッキのサイドボードには《生体性軟泥/Biogenic Ooze》がおススメ。
白単には除去除去《生体性軟泥/Biogenic Ooze》が一番の勝ちパターンだ。


■グランプリに向けたデッキ選択
グランプリ2日目や上位入賞を目標にするなら、「一番多いであろうスゥルタイに勝てる」というのが前提条件になる。
そうなると単色アグロデッキは選択肢から外れてくる。単色デッキにも長所はあるが、15ラウンドを戦う上でどうしてもスゥルタイの《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》とエスパーの《肉儀場の叫び/Cry of the Carnarium》の壁が立ちはだかる。

上記で述べたオメガ・スゥルタイもしくはティムール《荒野の再生》が私の使用候補だ。
どちらもアグロを少し苦手とするので、メインでスゥルタイ・エスパー・シミックネクサスに強くして、サイドボードにアグロ対策を厚く取るのが合理的に思える。
青単は立ち位置が悪いと述べたが、それでも強いデッキであることに間違いないし10%弱の使用者はいるだろう。オメガ・スゥルタイ、ティムール《荒野の再生》どちらを選ぶにしても《クロールの銛撃ち/Kraul Harpooner》は外さないと決めている。

■デッキ決定(※3/22金曜日追記)

その後ティムール《荒野の再生/Wilderness Reclamation》を30マッチほど回した。
対シミックネクサスは不利だ。《運命のきずな/Nexus of Fate》でコンボに入れる分相手の《荒野の再生/Wilderness Reclamation》の方が価値が高く、ティムール側の必殺技は《発展+発破/Expansion+Explosion》それも大振りなため《荒野の再生/Wilderness Reclamation》を出す前提のカードになってしまう。
また《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun》は出した返しに《運命のきずな/Nexus of Fate》からコンボスタートされてしまう。

縁の下の力持ち

最大の違いは《天才の記念像/Memorial to Genius》4枚。土地のスロットでドローできるのは無駄がなく、マナフラッドを防ぎつつコンボパーツになる。

ティムールの場合は《天才の記念像/Memorial to Genius》が無く、《アズカンタの探索/Search for Azcanta》や《選択/Opt》が少ないため、《荒野の再生/Wilderness Reclamation》を貼った後も続かない展開が多かった。
シミックとティムールを比較したとき、ティムールのメリットは軽除去と《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun》だが、この軽除去と二ヴが対スゥルタイ、対エスパーの勝率を下げる原因になっていたのだ(コンボを成立しにくくし、相手の除去が当たってしまう)  それに加えて、平均4点以上の土地から受けるダメージを軽んじてはいけない。

そしてオメガ・スルタイに関してだが、赤アグロ・白アグロに沢山負け続けて断念した。

環境最強の動きは《成長のらせん/Growth Spiral》からの《荒野の再生/Wilderness Reclamation》であり、
それを最大限活かせるのはシミックネクサス。
デッキ決定!君に決めた!!!


この記事があなたのカード選択の指標になれば幸いだ。
京都での幸運を祈る。

ではまた

高橋優太

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