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「アサーティブ」なコミュニケーション、出来てる?

適応障害という診断を医師からもらい、その後、積極的な休養を経て、だいぶ以前のように前向きに考えられるようになってきた今日この頃ですが、改めて「なぜ自分が適応障害になってしまったのか?」を考えました。もちろん、職場環境には大きな要因があったと思います。「人を信用できない」と声に出してしまう上司、承認や共感の無いチーム、会話はチャット中心のリモートワークなどなど。しかし同時に、自分自身のものごとの捉え方・考え方にもその要因があったと思います。

一言で言うと、僕は『アサーティブ』にコミュニケーションを取ることが全くできていませんでした。

心理学やストレス・マネジメントを学ぶ中で、この「アサーティブ(形容詞)またはアサーション(名詞)」という自己表現方法を知り、非常に重要な視点だと思うようになりました。

以下の本を参照させて頂き、アサーションについてシェアしたいと思います

アサーションの定義とは、
「自分と相手の両方に敬意を払い、相手の立場や権利を尊重しながら、自分の欲求、感情、意見、権利など、いいたいことを率直に表現すること」

とのこと。
例えば、今日は家にすぐに帰って奥さんと一緒に食事するはずだったけど、突然上司から飲みに誘われて、断れずにしぶしぶ奥さんに謝ったり、スーパーで並んでいたら、何も言わず前に割込みをされて、でも黙って見過ごしていた経験などありませんか?これを言ったら相手から嫌われるとか、不安な思いをさせてしまうなど、過剰に相手の思うばかり、自分の本音が言えない経験は誰しもあるかと思います。

僕自身の経験で言うと、「愚痴はこぼしてはいけない」とか「上司や目上の人には従うべき」、また「人を傷つけてはいけない」という考え方を普段、無意識のうちに良くしていて、その考え方自体がアサーティブではないと自覚しました。アサーティブな人は、対人関係の場面で自分の考えや気持ちを大切にし、敵意やへつらいなく、それを言ってみることができる人なのです。つまり、アサーションとは、自分も相手も大切にした自己表現なのです。以下はアサーション度を測るテストです(出典元:平木典子 アサーション・トレーニング)。「はい」の数が10以上あれば、あなたのアサーション度は普通以上です。

それでは、なぜアサーティブになることが難しいのでしょうか?この本には以下の5つが書かれていました。

①自分の気持ちが把握できていない
自分の言いたいことがはっきり掴めていないので、アサーティブになれない。自分の身に起こった事象が良いことか悪いことか、嬉しいか悲しいかなど自分の気持ちを明確に把握することは、アサーションの第一歩です。
②結果や周囲を気にしすぎる
僕はこれが非常に当てはまる気がしています。自分の言うことが伝わるかどうかばかりを気にして、結果に気を奪われているとアサーティブになれません。相手の受け取る行為は相手のものであり、受け取るかどうかは相手が自由に決めることができます。言いたいことが伝わるかどうかではなくて、自分の気持ちが適切に言えるか否かが大切です。
③基本的人権を使っていない
少し難しい内容となってしまいますが、言論の自由は生まれながらにして誰に対しても保証された人権で、「自分が思うことやりたいことを言うことは人権として許される」ということです。しかし自己を通せば相手に間違っていると思われるかもしれないし、傷つくかもしれません。そのような内的葛藤が起こるうえで、お互いに歩み寄ることが大切です。相手にもアサーション権があることを確認できれば、もっと気持ちが楽になるはずです。
④考え方がアサーティブでない
これまで生きてきた環境の中で培われた常識や価値観というのは誰にだってあることだと思いますが、それが少し偏り過ぎていると良くないということです。例えば、「人は誰からも好かれなくてはならない」、「人が間違いや悪いことをしたら非難すべきだ」、「どんな仕事もやるからには完全にやらないといけない」などなど。
⑤アサーションのスキルを習得していない
社会との関わりが広がっていく中で、人はその社会で適応するために、受け入れやすい考え方や行動様式を自然と学んでいくものですが、逆に言えば、適切な自己表現の仕方について、しっかり学ぶ機会というのはありません。アサーションのスキルは後天的に身につけられるものなので、訓練さえすれば誰にだってできるものだと思います。

最後に、どうすればアサーションのスキルを身につけることができるのかということですが、これは人それぞれ対応が異なると思いますが、僕の場合、文中に書かれていますが「非合理的な思い込み」を減らすことだと考えています。

「非合理的な思い込み」とは、「〇〇ねばならない」という完全・完璧主義のような考えで、例えば「誰からも愛され、受け入れられるようにならなければならない」とか「完全を期すべきで、失敗をしてはならない」という非現実的な思い込みです。

もちろん誰だって人から好まれたいという思いはあるのは当然ですが、それが「ねばならない」となると、逆に人から嫌われないように逆らわないように自分の意見や希望を率直に言えなくなってしまいます。また、失敗を許さず完璧を求めすぎてしまうと、自分や相手を必要以上に責めてしまいます。

この本には、上記のこと以外にもアサーション体得に関する様々なことが書かれており、非常に目から鱗な一冊です。また、小さなことから始められるので、ぜひおすすめです。

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