Bedrock Claude Nightに参加して

昨日、JAWS-UGとAWS共催の「Bedrock Claude Night」に参加した。実は当日は別の会議と重なっていたのだが、どうしても参加したいイベントだったので無理やり予定を調整して参加した。結論から言うと、その判断は大正解だった。次世代のAI「Claude 3」の可能性を感じられた、とても刺激的なイベントとなった。

概要

イベントは2023年4月22日に開催され、AWS Startup Loftでのオンサイトとオンラインのハイブリッド形式で行われた。主催はJAWS-UG AI/ML支部とJAWS-UG東京支部。AWSとAnthropicのエンジニアチームが登壇し、Amazon Bedrockで利用可能な次世代AIモデル「Claude 3」についての最新情報が共有された。

全体の流れは以下の通り。キーノートセッションに加え、5つのライトニングトーク(LT)とパネルディスカッションが行われた。

タイムテーブル

特に良かったセッションと学び

1. Anthropicキーノートセッション

  • Claude 3は200以上の言語に対応し、テキストだけでなく画像処理もカバーするなど、非常に幅広いユースケースでトレーニングされている。

  • 特にClaude 3 Haikuモデルは、最小/最速でありながら高精度のOCR機能を備え、認識結果を構造化されたJSONで出力可能。

  • Claude APIを活用すれば、サブエージェントを組み合わせた複雑なAIシステムの構築が可能。Anthropicが提供する豊富なクックブックが参考になる。

2. LT: 実際のプロダクトでの活用事例

  • 家電操作アプリの市場対応業務にClaude 3を活用。取扱説明書のテキストをナレッジベース化し、問い合わせ対応の自動化に取り組んだ事例の紹介。

  • AIを活用し業務をDX化する上で留意すべき点(営業や開発者への説明、徐々にAIに置き換えていくステップなど)が参考になった。

3. LT: API呼び出しエラーの対処法

  • Claude APIを用いた開発で、トークン上限に達しエラーが発生した際の対処法について。

  • リトライ処理の実装やAPI呼び出しリージョンの分散などにより、エラーを回避しつつスループットを高められることを学んだ。

4. LT: クックブックのおすすめレシピ3選

  1. リクエストを通じてコンテンツを取得し要約するレシピ。XMLでのプロンプト指定方法が勉強になる。

  2. JSON出力のカスタマイズレシピ。XML内にシステムメッセージを埋め込む独自手法が興味深かった。

  3. 画像入力の効果的な方法を紹介したレシピ。バイナリデータの渡し方など実践的で参考になった。

5. LT: マルチモーダルAPIの活用

  • 非構造的なPowerPointやPDF文書を、Claude 3のマルチモーダルAPI(画像+テキスト)で一気にmarkdown変換するデモが印象的だった。

  • レイアウト解析を含めた高精度の変換。しかもサンプルのリソースをそのまま利用でき、内製AIより手軽に高品質な結果が得られそう。

6. パネルディスカッション: プロンプトの設計ベストプラクティス

プロンプトの設計で意識すべきこととして、以下の点が挙げられていた。

  • AIの思考プロセスを明示的に言語化させること。思考を観測できれば精度が向上する。

  • 具体例を示すことで、求める出力のイメージを伝えられる。Few-shot learningの考え方。

  • XMLタグでプロンプトを構造化することで、よりクリアな指示が出せる。

  • 複雑なタスクはプロンプトをチェーン化し、ステップバイステップで実行させるのが良い。

Claude 3の活用に向けて

イベントを通じて感じたのは、Claude 3の活用がいよいよ現実的になってきたということだ。

Webブラウザから簡単に利用できるClaude 3に加え、開発者向けにはClaude APIが提供されている。AWSのAmazon Bedrock などのクラウドサービスとシームレスに連携できるのも魅力だ。

テキストの分析や生成はもちろん、画像認識やマルチモーダル処理など、Claude 3の活用シーンは様々。APIを組み合わせれば、これまで大規模な開発が必要だった高度なAIシステムも、比較的容易に実現できるようになるのだろう。

おわりに

今回のイベントを通じて、Claude 3の可能性の高さと実用性の広さを実感した。Anthropicエンジニアによる技術解説はもちろん、実際のプロダクト開発で得られたノウハウの共有など、どのセッションも示唆に富むものばかりであった。

個人的には、Claude APIを活用したアプリケーション開発に早速着手したいと思う。クラウドサービスとの連携で開発効率を高めつつ、クックブックのレシピを参考にしながら、様々なユースケースにチャレンジしてみたい。特に、Claude APIとサブエージェントの活用で、業務活用が大きく広がるイメージを持てた。また、早い&安いClaude 3 Haikuは、APIを通じてもっと活用すべきだろう。人間に最適化されたコンテンツをClaude 3がより理解しやすくするクッションの役割が大いにあると感じた。

次世代のAIを賢明に活用し、より豊かな未来を築いていく。そんな明るい展望が感じられた「Bedrock Claude Night」。ぜひ皆さんもClaude 3やClaude APIを触ってみて、その可能性を体感してみて欲しい。きっと新しい発見があるはずだ。

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