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学生起業からM&Aによるエン・ジャパングループインまで3年間の軌跡(パート④二回目の資金調達からM&Aによるグループインまで)

株式会社JapanWork鈴木です。東大在学中に起業し、約3年後の先日エン・ジャパン株式会社へのグループ入りを発表し、せっかくの機会なので振り返りをしたいと思い今書いています。

以下のタイミングに分けて書ければと思います。

1, 創業前
2, 創業から一回目の資金調達まで
3, 一回目の資金調達から二回目の資金調達まで
4, 二回目の資金調達からM&Aによるグループインまで
5, エンジャパン グループインによる影響とこれから

現在は外国人向け求人チャットコンシェルジュ事業を運営しており、日本語が苦手な外国人の方でも多言語のチャットを通じてサポートを受けながら仕事を探せるサービスとなっています。

今回は、4, 二回目の資金調達からM&Aによるグループインまでについて書きたいと思います。

4, 二回目の資金調達からM&Aによるグループインまで

資金調達後は、チャットコンシェルジュ事業の開発および拡大に取り掛かりました。
チャットコンシェルジュ事業の立ち上げにおいて、以下の課題にぶつかりました。
①ターゲットを広げすぎてCVR低下
②気軽なユーザー増加による面接キャンセル率悪化


①ターゲットを広げすぎてCVR低下
プラットフォームビジネスにおける鶏と卵問題解決のために供給側(求人)をできるだけ多く集めるのが大事だと思っていたのですが、職種・場所を限定せず求人を集めて最初の立ち上げに失敗してしいました。

英語教師、ホテル清掃、レストラン、コンビニ、エンジニアなど複数職種かつ、地域は全国で集めてしまいました。特にアルバイト領域だったこともあり、英語教師の仕事を探している層とホテル清掃の仕事を探している層は違う可能性が高いですし、渋谷と大宮では仕事を探している層は違うのです。

営業正社員数名の組織だとリソースが限られているので、
A 全国に散らばりかつ複数職種で100求人
B 東京新宿区のホテル清掃の100求人
を同じ営業リソースで取れるとするとBのパターンで攻めた方が、特定の層をターゲットに集客すればいいので圧倒的にCVRが高められると気がつきました。この点に気がつくのが遅れてしまいました。

気が付いた後は、複数職種でテストしもっともCVRの高い業種を選定し一つずつ営業してできるだけCVRが高まる(=ユーザー満足度が高い)状態を目指しつつ拡大しています。

Uberが地域を限定して徐々に広げたのと同じことだと考えています。
サンフランシスコでタクシーに乗りたい人からすると、どれだけ近くに乗れるタクシーがあるかが満足度で一番大事なので、地域を絞りまずはそこでタクシーを増やしきり、十分マッチングが進んできたら他の地域に広げる方法です。

画像出典: https://www.sbbit.jp/article/cont1/29902

②気軽なユーザー増加による面接キャンセル率悪化

チャットコンシェルジュ事業のユーザーメリットは気軽に相談できることですが、逆に言えば真剣度の低いユーザーも多く含まれるという事業側のデメリットがあります。
そのため、面接日を決めても面接当日にキャンセルするという事例が多発しました。
- できるだけ面接日まで日にちが空かないようにする
- 天候の考慮
- キャンセルのペナルティー
- リマインドの送付
など様々な施策を実施しましたが、結局
- 簡単なビデオ通話を実施する
という施策が最も有効でした。実際にスタッフの顔を見て話すことで面接に対する真剣度も増し、サービス信頼度向上にもつながったからではないかと考えています。



英語公用語化の導入
少しずれますが、このタイミングで社内公用語を英語に変更しました。自分はアメリカに1ヶ月語学留学したレベルであまり話せなかったのですが、今後ビジョンに共感してくれる外国人メンバーを採用しやすくするため導入を決定しました。
現在は、日本人5人外国人10名と非常にグローバルなチームになっています。
結論としては、スタートアップが英語公用語にすることは非常におすすめで、以下のようなメリット・デメリットがあると英語公用語化1年経ち感じています。

英語公用語化により外国人社員を増やすメリット
- 優秀な外国人が採用しやすくなる。(日本語があまり話せないが優秀な外国人は多く、そこの採用競争はブルーオーシャン)
- 外国人社員が増えることで、定時出社定時退社で時間内に仕事を絶対に終わらせる空気感ができ生産性が向上する
- 英語を使う仕事をしたい日本人を採用しやすくなる。英語を自然と勉強できる

英語公用語化により外国人社員を増やすデメリット
- 優秀だが英語の話せない日本人が採用できなくなる
- ドキュメントなどで日英両方作成が必要な場合が増え、事務コストが増える。(会社の事業計画は株主には日本語で説明が必要で、社内では英語資料が必要。)

会社のフェーズや状況によると思いますが、グローバル展開を考えているスタートアップはできるだけ早いタイミングで英語公用語化を実施すべきだと個人的に考えています。なぜなら、日本人が多い状態で英語公用語化は相当大変で、英語に苦手意識の強い社員は辞めてしまうリスクも大きいからです。



資金調達とM&Aの選択
ターゲットを絞った後チャットコンシェルジュ事業は右肩上がりで伸び始め、そのタイミングでシリーズAの資金調達を検討し始めました。
求人獲得が一番の成長ドライバーであるため、求人獲得への投資を第一目的にシリーズAの資金調達を検討していました。
そこで、様々な投資家の方とお会いし、お話する中でM&Aのお話をいただきました。
当初はM&Aについて検討していませんでしたが、いろいろな人から話を聞く中で以下のメリット・デメリットがあることがわかりました。

M&Aのメリット
- 買収先企業のリソース・ノウハウを活用できる
- 資金繰りに時間を使う必要性が減る

M&Aのデメリット
- オーナーシップを失い自由に意思決定できない場合が出てくる
- 意思決定の速度が遅れる


上記のメリット・デメリットを比較した時、JapanWorkの現状として
- 営業による求人開拓が成長の肝だが、営業ノウハウ・リソース不足
- 急成長には資金が大きく必要。(人材事業なら資金は不要ではと思われるかもしれませんが、低単価かつ集客にコミュニティー作りが必要で比較的投資が必要な領域です。)

というM&Aのメリットが最大限発揮できる状態でした。

同時にエン・ジャパン株式会社とお話させていただく中で、
- 比較的裁量を持った経営が引き続きでき、任せてもらえる(オフィスも別のまま)
- エン・ジャパン自身の意思決定がとても速い(お話を進める中で感じました。)

 という状況がありました。
ですので、エン・ジャパンへのグループインはM&Aのメリットを最大化しつつデメリットを最小化できる非常にいいディールだと思い最終的に意思決定しました。

実際のところエン・ジャパンの社長や社員の方々とやりとりを進める中でスピード持って仕事されており優秀かついい人も多く一緒に仕事をしたいと思ったことも非常に大きかったです。 

学び
- プラットフォームビジネスではターゲットを狭め初期ユーザーのマッチングを増やすことが大事
- チャットベースの事業では気軽に問い合わせるユーザーも増えるので、必要に応じて電話やビデオ通話で真剣さを伝える仕組みが必要
- 英語公用語化はグローバル展開を見据えると必須
- M&Aによりオーナーシップを失うが、買収企業のリソース・ノウハウの活用が可能。買収後も比較的任せてくれる企業に売却することでデメリットを減らした理想的なM&Aが目指せる




JapanWorkは、国内No.1外国人向けオンライン採用サービスを目指しこれから飛躍します。外国人労働者というとネガティブなニュースが取り上げられることが多いですが、自分たちが外国人の方により適切な選択肢を提示し生活を支え、一人でも多くの外国人の方が日本に来てよかったと思ってもらえるようなきっかけを作る会社にしようと思っています。

転職考えている方や起業家の方ぜひ以下該当する方と気軽にお話できたら嬉しいです。


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