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■四日市市スタディーツアーに行ってきました!■

『「四日市」と聞いて、何を思い浮かべますか?』

四日市市の森市長から、四日市の魅力について外部からの目線で見てもらいたい!という依頼を受けて、私だけの目ではなくて、地域おこしのプロと女性起業家(子育て世代向けのサービス提供者)を募ってのスタディーツアー(モニタリングツアー?)に行ってきました。

同行したのは、47都道府県を活性化させるという想いが社名にもなっている47Planninngの鈴木賢治さんと、妊活ボイスというアプリを開発している時田さん、そしてリアルキッザニアともいうべき学びの体験を提供している佐々木さんです。

そもそもの趣旨が大事なのですが、名古屋から電車で30分以内で行ける四日市。JRも近鉄も走り交通の便も良いのですが、「都市イメージ」がなかなか向上しないのが悩みのタネ。観光地のイメージはありませんし、工業都市として発展をしてきた歴史もあいまって、「住むところ」として選択肢に上がりにくいわけです。しかも極め付けが「四日市ぜんそく」。高度経済成長の1960年代に大きく問題になった四大公害病の一つです。このイメージが強すぎて、地の利を生かした定住政策が取りづらいということが、冒頭の質問の背景になりました。
「四日市」と聞いて、行ってみたい・住んでみたい、と思ってもらえるようにするためにはどうすれば良いか。この視点を持って、企画・参加させていただきました。

行程は下記の通りで、移動距離などを考慮しながら、市役所担当課の小松さんにご案内いただきました。

■生産量日本一の「かぶせ茶」の産地で、お茶を堪能
■土鍋のシェア8割を誇る「萬古焼」の会館でワークショップ
■森市長と四日市名物「とんてき」を食べる
■四日市公害の歴史と向き合う
■四日市が誇る文豪「丹羽文雄」に触れる
■ホッピーでおなじみのキンミヤの蔵元で試飲会
■工場夜景を空から眺める
■お土産は「なが餅」で・・・

■生産量日本一の「かぶせ茶」の産地で、お茶を堪能
三重県は、お茶の生産量が日本で第3位であることは、まあまあ知られていますが、四日市産のお茶は「伊勢茶」と呼ばれたり、京都に出荷されてブレンドされたりと、なかなか産地としての認知はされてこなかったという実情があったそうです。
12日以上黒いシートをかぶせて発育を「わざと」遅らせることによって、渋みを減らし甘みを増やす「かぶせ茶」の生産では日本一ということで、お茶の旨みを堪能させていただきました。
多品種への対応を可能にするため「あえて」小規模な工房を維持されているマルシゲ製茶の清水聖一さんは東京のご出身。奥さん(清水加奈さん)のご実家への、いわゆる「嫁ターン」ということで、里山資本主義の取り組みにも高い親和性を感じました!
マルシゲ製茶:http://www.marushige-cha.jp/

■土鍋のシェア8割を誇る「萬古焼」の会館でワークショップ
陶器の焼物と言うと「有田焼」「備前焼」「九谷焼」などが有名ですが、普段使いされてしまっているせいか、シェアの割には認知度向上が今ひとつという「萬古焼」。けれどもその奥は深く、その歴史は300年以上。普段我々が目にしている急須や土鍋の多くは四日市産の萬古焼であることは、私も知りませんでした。その萬古焼の普及に取り組む拠点「ばんこの里会館」で、柔らかい土に100の穴を2分以内で開けられる技法を習得されている匠である藤井健司理事長からお話をお伺いしました。
また、実際に現場に触れる(?)ということで、萬古焼のシェードランプづくりも体験させていただきました! 芸術作品は予想通り完成しませんでしたが、普段使いには最高の出来栄えになりました!
ばんこの里会館:http://www.bankonosato.jp

■森市長と四日市名物「とんてき」を食べる
とんてき、四日市名産だったんですね。「豚のステーキ」の略で「とんてき」だそうです・・・、知りませんでした。森市長から「グローブみたいのが出てきますからね」と言われて見てみると、確かに手形に切り込みが入っていました。これは、食べやすく熱が通りやすくするためなんですね。お野菜と一緒に、萬古焼の陶板の上で焼かれて出てきましたので、美味しくいただきました。

■四日市公害の歴史と向き合う
四日市市といえば、ぜんそく公害。この問題に、市としてどう向き合っているのかは、関心が湧くところです。そこで、無理を言ってお願いをして、時間をこじ開けていただきました。
お尋ねした環境未来館では、普通の街だったら普通の博物館で終わっていたと思いますが、その半分くらいを四日市公害とどのように向き合ってきたのかを、真摯に説明する資料館になっていました。現在も稼働を続ける工場群が、どのような対策を取っているのか、科学の知識が薄い私でも理解できるように解説されているのをみると安心感も湧いてきます。またぜんそく被害の当事者の声を集めたビデオアーカイブスなども後世に残す上で、本当に必要な取り組みであると感じました。
四日市公害と環境未来館:http://www.city.yokkaichi.mie.jp/yokkaichikougai-kankyoumiraikan/

■四日市が誇る文豪「丹羽文雄」に触れる
文芸に携わる方々の地位向上などにも取り組んだ四日市市の排出した文豪「丹羽文雄」さんの記念室にも立ち寄りました。当時の佇まいをしっかりと残す素敵な雰囲気の資料室でした。
丹羽文雄記念室:http://www.city.yokkaichi.mie.jp/museum/miru/niwafumio.html

■ホッピーでおなじみのキンミヤの蔵元「宮崎本店」で試飲会
ホッピー発祥の地をうたう横須賀人であれば、誰もが知ってる焼酎「キンミヤ」。その蔵元が四日市にあることは知りませんでした・・・。宮崎会長は、ホッピーの3冷(グラス、ホッピー、キンミヤ全てが冷えてること)をご存知で、申し訳なく感じました。
鈴鹿山脈の伏流水をくみ上げて仕込んでいるのですが、自然の良さを引き出すことや、新鮮さと多品種にこだわって、「あえて」木製の漉し器を使ったり、醸造用タンクを小さくしたりと様々な取り組みをされているのにすっかり感心してしまいました。お酒は飲めないので、お水をいただきましたが、舌の上でゆっくり転がり、喉に落ちていく感じが素晴らしく、「超軟水」と言う説明以上の味わいでした。
宮崎本店:https://www.miyanoyuki.co.jp/

■工場夜景を空から眺める
森市長一番のオススメだった、工場夜景。週末は海から船で工場夜景を楽しめるそうですが、平日だったため、四日市港ポートビル(うみてらす14)から見学させてもらいました。規則正しく並ぶ白い灯が点在する煙突から吹き出す蒸気に揺らいだり、ガントリークレーンの下にあるコンテナが鈍くオレンジ色に照らし出されたり、素敵な雰囲気で想像以上でした。
うみてらす14:http://www.yokkaichi-port.or.jp/ut14/
四日市の工場景観:http://kanko-yokkaichi.com/night-view/

■お土産は「なが餅」で・・・
祖母が大好きで、よく私もおこぼれに預かっていた「なが餅」。四日市の産品だったんですね・・・。これも知りませんでした・・・。日持ちがしないということでしたので、家族用に持って帰って食べました。焼いて食べると美味しんです、これが。
なが餅笹井屋:https://www.nagamochi.co.jp/

全体を通した感想としては、観光のための都市資源は実は豊富で、「あるもの探し」をするだけで、他にも多くの資源が見つかる予感がしました。こういうときに大事になるのはプレーヤーの存在です。「このままじゃいけない」「もっと稼ぎたい」と言った危機感や渇望感を強く持ったプレーヤーがいるかいないかで、その資源を活かすことの成否が変わってくるのだと思いました。既存の団体などにそういうプレーヤーがいないケースもありますが、それであればどうやって連れてくるか・どうやって育成するか、が打つべき一手になるのではないかと思いました。
また定住という観点で考えた時には、どうしても「四日市ぜんそく」の都市イメージと向き合わざるを得ないと感じました。一日中お邪魔していましたが「煙ったい」とか「霞んでる」とか、体感としてもすでに公害を想起させるようなことはありませんでした。博物館での展示を見れば現状の工場地帯の煙突から出ている煙も「対策済み」の煙で、無害な蒸気がほとんどだということもわかりました。けれども、近い範囲で聞いた限りでは『四日市といえば「ぜんそく」』という風になっているのが事実です。ここは掘り下げて検討する必要がありますが、私としては逆転の発想で、隠すのではなくアピールするのに使うべきかと思いました。市民の健康づくり事業に取り組んで「ぜんそくは無くなった」と、あえて前面に出しながら、合わせて子育て・教育サービスの充実をはかり、一緒に広報していくという戦略です。部外者なので精査が必要ではありますが、「基地のまち」だった横須賀で、その都市イメージを払拭するのではなく活用することで、まちづくりにつなげた同じ手法が使えるような気がしました。

いずれにしても、今後のGR(ガバメントリレーションズ)を考える上でも、とっても学びにつながる機会をいただいた森市長と、行程等を含めてご案内いただいた小松課長に、心からお礼を申し上げたいと思います。

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