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企画・脚本「超人紳士カージェイサー」

OP:「超人紳士カージェイサー」(詩:ウユノユウ)

愛と優しさ 護るため
星雲Eからやってきた
超人紳士カージェイサー

正義の為なら 命を懸けて
マジックハンドにユニゾンソード
乱れ打ち

夢と希望を護るため
嵐の中を駆け巡る
君と僕とを繋ぐ星
超人紳士カージェイサー

地球(ほし)の自然に魅せられて
星雲Eからやってきた
超人紳士カージェイサー

星豊成義とひとつになって
自由と平和を守り抜く
フィクサー・Hとジェネラル・Z
許さない

今日と明日を護るため
クルマトロンで駆け巡る
君の未来を繋ぐ星
超人紳士カージェイサー

夢と希望を護るため
嵐の中を駆け巡る
君と僕とを繋ぐ星
超人紳士カージェイサー

未来の平和を夢見て
今日も闘うカージェイサー

第一話「カージェイサーはどこへ行く?」
シーン1「星豊成義、登場!」

英春町の高級住宅地。晴れ晴れとした初夏の候う。
星豊成義と執事のデコは日課の散歩を行なっている。
背後からリノが成義をストーキングしているが、成義は気にしない。

ナレーション:星豊成義。この地球の運命を変える男。執事のデコはもちろん、追っかけのリノも彼の正体を知らない。

成義は道端にひっそりと咲くたんぽぽを見つめる。
それを見たリノは成義の行動をスマホでそっと撮影する。

成義:日本の春もいいもんだなあ。
デコ:そうですね、お坊ちゃん。
成義:いい加減その呼び方止めてくれない?
デコ:成義様が幼い頃からの癖ですから。なかなか治るものではありません。

リノはスマホのカメラロールを確認し、静かに笑みを浮かべる。

リノ:成義様。やっぱりかっこいいなあ。

リノのつぶやきに気付いた成義は、リコに近寄る。

成義:おやおや、そこのお嬢ちゃん。今日は何の用だい?
リノ:(首を振りながら)いえ、なんでもありません。
成義:そうか……。それにしても、日本の四季は素晴らしいものだなあ。
リノ:ええ。
成義:よかったら、一緒に短歌でも詠もうじゃないか。
リノ:いいんですか!?

成義はリノの手を引き、自宅に招待した。
そのシーンと被さるようにナレーションが入る。

ナレーション:ずっと続くかのように見える日常。だが、地球はいつも狙われている。そのことをほとんどの地球人たちは認識していない。例えば、この集団のように。

シーン2「星雲Eの野望」

星雲Eの軍事基地参謀室。星雲Eは大宇宙の彼方に浮かんでいる小さな惑星。
それは移動型惑星になっていて、有事の際には機動モードへの変形も可能。
フィクサー・Hとジェネラル・Zが地球を俯瞰している。

ナレーション:星雲Eは地球から数千万キロに位置する小さな惑星だ。元々は平和を愛する戦いとは無縁の平和な惑星だったが、地球人の宇宙開発によって星雲Eの気候は崩壊。不本意ではあるものの、復讐のため、地球侵略に着手することになった。

フィクサー・Hがタブレットを開き、基地の大型モニターにある男の姿を映す。その男は「星豊成義(ほしとよ・なぎ)」だった。

フィクサー・H:今日貴様に来てもらったのは、ある計画を遂行するためだ。
ジェネラル・Z:ある計画、とは?
フィクサー・H:この男をよく覚えておいてほしい。
ジェネラル・Z:ああ、星豊成義のことですか。
フィクサー・H:おそらく、この男は我々の邪魔をするだろう。だから、こいつが本格的に活動を始める前に秘密裏に抹殺する。
ジェネラル・Z:かしこまりました。
フィクサー・H:そこで、貴様に星豊成義抹殺計画の腹案があるかどうか聞きたい。
ジェネラル・Z:(少し考え込む)……あります。
フィクサー・H:それは、どのようなものだ?
ジェネラル・Z:少しお待ちください。我が自慢の怪人部隊の中から腕自慢の奴を一人地球によこします。

ジェネラル・Zはタブレットを開き、怪人部隊と連絡を取る。
ピピッ、という音とともに怪人「アダガス」が参謀室に入室する。

フィクサー・H:サイバーアメーバ・アダガスよ。貴様にはこの地球侵略計画の先陣を切ってもらうことが決まった。命を懸けて、全てを懸けて、星雲Eのために闘ってほしい。
アダガス:かしこまりました。フィクサー・H様のために、ジェネラル・Z様のために、この身を懸けて地球を侵略してまいります。
ジェネラル・Z:さすが、私の誇らしい部下だ。
アダガス:ありがとうございます。
フィクサー・H:さあ、行け。
ジェネラル・Z:君の成功を心から祈っているぞ。

アダガスは怪人形態からアメーバ形態に変貌し、地球へ向かった。
ジェネラル・Zは部下の成功を願って手を合わせたまま。
フィクサー・Hは微笑を浮かべている。

シーン3「消失した電子マネー」

星豊家にて。成義とリノが短歌を詠み合っている。
その傍らでデコは忙しく家事をしている。

デコ:成義様、追っかけの方を屋敷にお入れするのはあまり良くないと思うのですが……
成義:わかってるって。でも、いつもこれだとつまらないよ。
デコ:それは重々承知のつもりですが……
成義:デコ、わかってるよな?
デコ:もちろんですとも。

デコは青ざめた顔で、成義の行動を渋々承諾する。

ナレーション:星豊家の執事を長年務めてきたデコは、もともとある家を首になった放浪執事だった。だが、その能力を認めた先代の実乃が星豊家に雇い入れることで、必死に飢えを凌いでいたデコの命を救ったのである。

デコは情報収集のためにテレビの電源を入れる。
二人も特にそれを気には留めない。

デコ:な、なんですって!?

突然のデコの叫び声に、成義もリノも驚く。
その叫びを劈くように、ニュースキャスターが原稿を読み上げる。

キャスター:今朝未明より、埼玉県英春町にて奇怪な出来事が起こっております。なんと、町中の電子マネーが盗まれてしまったのです。買い物をしていたのに電子マネーが突然無くなったことで買い物が出来なくなった人々や、電子マネーで電車に乗って降りられなくなった人で町は大パニックとなっております。では、ここで町の声をお聞きください。

テレビの画面は英春町に切り替わる。

通行人A:なんとか現金があったからいいものの、もし現金がなかったら改札口で立ち往生、ってことになったかもしれません。
通行人B:いやー、困りましたよ。どうしようもないんですもの。だから、全部商品を戻して、手ぶらでお店を出ざるを得なくなってしまいました。せっかくのセール、悲しいです。
通行人C:バーゲンで安い服を手に入れていたのに……あっ、こら!!
通行人D:ママ、バーゲンだいすきっ!
インタビュアー:(苦笑)

テレビの画面はスタジオに戻る。
キャスターも通行人Dの突然の乱入に笑顔を隠せない。

キャスター:……失礼しました。今回の出来事で埼玉県英春市は大パニックに陥っております。特にこの町は電子マネーでは日本でも先進的な町として知られておりますので、現金よりも電子マネーの方が主流となっております。非常に困った状況に置かれていることは間違いありません。

星豊家は静まり返る。成義は厳しい表情で一点を見つめている。
デコはそんな成義を心配そうに見守る。

成義:デコ、出かけるぞ。
デコ:かしこまりました。スーツは準備万端でございます。
成義:じゃあ、リノは頼んだよ。
デコ:はい、坊ちゃん。

成義はスーツを羽織り、家を飛び出していった。

デコ:リノ様、今日のところはお引き取り願えないでしょうか?
リノ:わかりました。仕方ないです。

リノはデコが手配したタクシーに乗り、家に帰って行った。

シーン4「超人紳士カージェイサー・初戦」

英春町の中心部。星雲Eの侵略部隊が陣形を作っている。

ナレーション:その頃、英春町では星雲Eの地球侵略部隊による恐ろしき地球侵略作戦が始まろうとしていた!!

警察官A:そこのコスプレした人たち、ちょっとこちらに来なさい!!
戦闘員A:我々はコスプレなどではない。惑星Eから交渉のために地球を訪れたのだ。
戦闘員B:そうだ!
警察官A:何を意味のわからんことを。あー、もういい。全部片付けろ!!

警察と惑星Eの地球侵略部隊による戦闘が始まる。
惑星Eの部隊は武器は使わず、肉弾戦が中心だったが、それでも警察官を圧倒する。
その様子を遠くからジェネラル・Zが見守っている。

ジェネラル・Z:ははは、地球人もこの程度か。もっと骨のある奴らだと思ってたんだけどなあ。

それをあざ笑うかのように、アダガスが静かに浮上する。

アダガス:ジェネラル・Z様。地球人を侮ってはなりません。
ジェネラル・Z:お前、いつの間に。
アダガス:地球人はその気になれば何だってします。とても恐ろしい奴らです。
ジェネラル・Z:ほほお、とてもそうには見えんのだけどなあ。

ジェネラル・Zの存在に気付いた戦闘員が作戦の命令を伺いにやってくる。

戦闘員C:ジェネラル・Z様。これから、どのようにこの星を侵略しましょうか?
ジェネラル・Z:焦ることはない。あくまでも目標は交渉の席に相手を座らせることだ。
戦闘員C:いっそ、どかーんと行ってしまった方がいいのではないでしょうか?
アダガス:君、図が高いぞ。ジェネラル・Z様の言う通りだ。
戦闘員C:すみませんでした。
ジェネラル・Z:まあ、とにかくこちらはのんびりと構えているだけだ。アダガス、あとは頼んだぞ。
アダガス:はい!

アダガスは戦闘員たちを引き連れ、地球人からありとあらゆるお金を奪う。
力づくではなく、あくまでも直接手を下さずに。
理知性を前面に出した戦い方。

一般人A:こ、これだけはなんとか……
戦闘員D:すまんな。
一般人A:ああ!!!
戦闘員E:本当はやりたくないんだけどなあ。
戦闘員F:生きていくために、こっちもしょうがねえんだ。

ナレーション:ああ、無常。この町に正義はどこにもないのか。誰もが絶望したその時、一人の 男が救世主として現れる。

太陽の光を背に受けて、超人紳士カージェイサーが颯爽とクルマトロンに乗って登場する

アダガス:貴様、何者だ!!
カージェイサー:夢と希望を守るため、嵐の中をも駆け巡る。地球の明日を繋ぐ星、超人紳士カージェイサー!!
アダガス:カージェイサー……??
カージェイサー:クルマトロン、ユニゾンチェンジ!!

カージェイサーはクルマトロンを必殺剣「ユニゾンメガソード」に変形させる。
そして、無数の戦闘員を斬っていく。
その様子を見たアダガスが慌て始める。

アダガス:お、お前、なかなかやるな!?
カージェイサー:アダガス、貴様もな。
アダガス:どうして、俺の名前を。
カージェイサー:話はあとだ。ポルタメントスライサー!!

カージェイサーは左腕を短剣に変形させ、アダガスを攻撃する。
先制攻撃にアダガスは驚くものの、同じく剣で応戦する。

アダガス:星雲Eの裏切り者め。
カージェイサー:今は関係ない。この星を守るために闘っている。
アダガス:そうか、その意気だ。
カージェイサー:僕はあの頃の僕じゃない。
アダガス:じゃあ、拳つき合わせて決着つけようぜ!

アダガスはアメーバ形態に姿を戻し、背後から忍び寄ることで攻撃する。
カージェイサーはそれを素早く察知し、アダガスの攻撃を防ぐ。

カージェイサー:お前のやることはわかっているんだ!
アダガス:そうか。じゃあ、これはどうかな?

アダガスはアメーバ形態に再度変貌し、無数に分離して更なる攻撃を加えようとする。
カージェイサーはポルタメントスライサーですべて払いのける。

カージェイサー:どんなに悪事を企もうとも、このカージェイサーが一網打尽にする!
アダガス:そうか。だが、今回はここまでだ。エレトロンシンセサイザー!!

アダガスは身体を楽器に変形させ、不協和音を響かせることで動きを封じる。

カージェイサー:くっ!!
アダガス:カージェイサーよ、また会おう!!!

ナレーション:卑怯なサイバーアメーバ アダガスは異次元空間にその姿を消してしまった。しかし、その姿を完全に消してしまったわけではない。きっと、何処かにいるはずだ。超人紳士カージェイサーは変身を解除し、星豊成義の姿で捜索を始めた。

シーン5「成義捜索」

英春町の郊外。成義はタブレットを片手に草むらを捜索する。

デコ:お坊っちゃま、そんなに深いところまで行くと……
成義:デコ、僕はもう子供じゃないよ。
デコ:申し訳ありません。

ナレーション:星豊成義とデコは、超高性能チェッカーを片手に英春町のあらゆる場所を捜索した。だが、手がかりと呼べる手がかりを見つけることはできず、ついには追っかけのリノや友人刑事の糸井の手を借りることになった。

星豊邸にて。糸井とリノがデコの話に耳を傾けている。

デコ:どうか、坊っちゃんに協力していただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
糸井:うちの機動隊も被害を受けている。その仇討ちだと思って協力するよ。
デコ:ありがとうございます。
リノ:私も、財布の中のお金が全部なくなっちゃったの。だから、協力する。
デコ:ありがとうございます!!
成義:みんな、ありがとう。では、早速捜査に取り掛かるとしよう。

ナレーション:こうして、星豊成義を中心とした捜査部隊が始動した。糸井はネット上の捜査を担当し、他の三人はフィールドワークを担当。リノは追っかけの能力を活用し、怪しい人物の尾行を主に担当した。

英春町をメンバーが捜索している画が展開される。
リノは尾行に失敗し、糸井はPCがウイルスに感染するなど、失敗ばかりを重ねる。

ナレーション:数日後、成義は尾行の末に敵のアジトを突き止めた。そこは英春町の郊外にある草むらの奥にある御神木で、丹念なカモフラージュがなされていた。

メンバーがカモフラージュの裏側を覗き込む。

デコ:ここがアジトですか。深いですね。
リノ:私、怖い。
糸井:それにしても、どう捜索すればいいやら。
成義:「不思議の国のアリス」のように、何処かに繋がっているのかもしれないな。

リノは更に奥を見ようと身を乗り出す。しかし、それが大きな罠だった。
まるで引き込まれるかのように、リノは身体を乗っ取られてしまう。

リノ:助けて!!!!
糸井:おい、どうするんだ!?
デコ:お坊っちゃま。
成義:僕がなんとかする。

成義はカモフラージュの奥に飛び込む。
そして、落下の最中にリノに気づかれないよう静かに腕時計を変形させ変身。

ナレーション:超人紳士カージェイサーは僕らの夢と希望を守る愛の戦士だ。クルマトロンエネルギーを全身に漲らせ、悪事を懲らしめるために戦う。

シーン6:「大爆発!悪魔の最期!!」

星雲Eの秘密基地。
アダガスの報告を受けたジェネラル・Zは慌てふためく。

ジェネラル・Z:なに!? カージェイサーはそんなに強いのか!!
アダガス:はい、とてもとは言いませんが、今のままでは太刀打ちできません。
ジェネラル・Z:そうか、わかった。では、君に改造手術の許可を出そう。
アダガス:ありがとうございます。
ジェネラル・Z:この改造手術はとても危険なものだ。二度と元の姿には戻れない上に、一度でも爆発してしまうと君には死が待っている。いいな?
アダガス:もちろん、覚悟は出来ております。
ジェネラル・Z:さすがは自慢の怪人軍団の一員だ。早速手術に取り掛かろう。

星雲Eの科学者集団がアダガスに改造手術を施す。
アダガスは時折悲鳴を上げながら手術を受ける。

科学者A:これで手術は完了だ。
科学者B:無事に手術は成功した。
アダガス:ありがとうございます。

科学者集団は静かに去っていく。
一時姿を消していたジェネラル・Zは再び姿を現わす。

ジェネラル・Z:アダガス、これで君もカージェイサーと互角以上に闘えるはずだ。
アダガス:早速、カージェイサーを叩きのめしてきます。
ジェネラル・Z:君の健闘を祈る。

ナレーション:サイバーアメーバ アダガスが再び地上で作戦を始めようとしていたその時、一人の少女が星雲Eの地球侵略基地へと落下してきた。

爆音とともに一人の少女が落下した。
少女はドロドロに汚れていた。
その少女の正体は成義の追っかけ・リノだった。
ジェネラル・Zとアダガスは興味深そうに駆け寄る。

リノ:近寄らないで。
ジェネラル・Z:痛くはしませんからねえ。
アダガス:安心していいんですよお。

ジェネラル・Zとアダガスはリノを引っ張り、椅子に縛り付ける。

ナレーション:リノは忌まわしきジェネラル・Zとアダガスによって人質とされてしまった。更にスマートフォンに保存されていた成義とカージェイサーの大量の写真も二人によって発掘されてしまう。

リノ:やめてよ。
アダガス:やめ……ない!
ジェネラル・Z:早くこのお嬢さんを始末しろ。
アダガス:はい、ジェネラル・Z様。
リノ:ぎゃあ!!!!!

アダガスはジェネラル・Zから渡された剣でリノを殺そうとする。

ジェネラル・Z:さあ、容赦なく殺ってしまえ!!

ナレーション:アダガスが瑞希リノにトドメの一撃を喰らわそうとしたその時、一つの光がアダガスの両腕を貫いた。
ジェネラル・Z:何者だ!!!!
カージェイサー:カージェイサーだ。

カージェイサーが閃光と共に登場する。
ジェネラル・Zは想定外の出来事に驚きを隠せず、アダガスは戦闘能力を喪失してしまう。

カージェイサー:リノ、待たせたな。
リノ:カージェイサー!!

カージェイサーはリノを解放する。

リノ:カージェイサー、ありがとう!
カージェイサー:危ないから下がっててね。
リノ:はい!
ジェネラル・Z:くっ、またしても。
アダガス:ジェネラル・Z様、一度基地に退却しましょう。
ジェネラル・Z:……わかった。
カージェイサー:そうはさせるか!!

ジェネラル・Zはカージェイサーに痛烈な一撃を自慢の剣で食らわせようと腕を振り上げる。だが、その剣はお見通しで、アルペジックハンドで封じられてしまう。

ジェネラル・Z:何!?
カージェイサー:守るべきもの。それは、強さと、正しさと、優しさ。僕はお前を葬ることで、悪事をこの星から一掃する。
アダガス:そうはさせるか!!

アダガスは再々度アメーバ形態に変貌し、触手のような物体を無数に出現させる。
ジェネラル・Zは波動攻撃でアダガスを援護する。
カージェイサーは身動きが取れず、徐々にエネルギーを消耗してしまう。

ナレーション:星雲Eの地球侵略部隊のアジトでは、太陽エネルギーが極限まで圧縮される。クルマトロンエネルギーは太陽エネルギーが媒体となっているため、それを源とするカージェイサーはその活動能力が大きく制限されてしまうのだ。

ジェネラル・Z:これで葬ってやる。さあ、アダガス。最後の一撃だ!!
アダガス:全てはジェネラル・Z様のために。

アダガスは全てのエネルギーを光弾状に集中させる。

ジェネラル・Z:カージェイサーよ、このアダガス光弾を受けてみよ!!

ジェネラル・Zはアダガス光弾をその剣でカージェイサーにぶつける。
だが、カージェイサーはその光弾をいとも簡単に消滅させてしまう。

カージェイサー:今度はこちらの番だ。ユニゾンメガソード!!

カージェイサーはクルマトロンエネルギーを両腕に集中させ、全力で振り下ろした。
エネルギーを消耗していたジェネラル・Zは、攻撃を避ける余力が残されていなかった。

リノ:頑張れ、カージェイサー!!
カージェイサー:うぉっ!!

全身で攻撃を受け止めたジェネラル・Zは爆散した。
………かに見えた。

ジェネラル・Z:こんなもので私を倒せたと思ったら大間違い。私はただの虚像に過ぎないのだ。君がどのように強くなり、どのように我々に立ち向かってくるか、これからが楽しみだ。
カージェイサー:くっ!!

ナレーション:カージェイサーが倒したはずのジェネラル・Zはホログラムだった。だが、アダガスは消滅し、英春町にはひとときの平和が訪れた。

シーン8:戦いが終わり

英春町、御神木の周りに主人公側の人物が集結する。
すっかり陽は暮れており、一同は疲れ果てていた。

成義:今日は協力してくれてありがとう。みんなのおかげで、カージェイサーはあの怪人を倒すことに成功しました。
一同:(各々騒ぐ)
デコ:お坊ちゃんも、リノさんも、糸井刑事も、今日は本当にお疲れ様でした。
リノ:もう、ひどい目に遭っちゃった。
糸井:ほとんど力になれなくて申し訳ない。……そういえば、リノは家大丈夫なの?
リノ:あっ、忘れてた!!

ナレーション:このあと、瑞希リノは家でこっぴどく親に叱られたそうだ。みんなに笑顔が戻り始めた頃、星雲Eでは新たな侵略怪人を送り込むための会議が開かれていた。

シーン8:屈辱を超えて

星雲Eの軍事基地参謀室にて。フィクサー・Hが激怒している。

フィクサー・H:ジェネラル・Z、これは一体どういうことかね!?
ジェネラル・Z:申し訳ありません。我が配下の怪人がこのような醜態を……
フィクサー・H:やはり、余の力が必要だということだな。

ナレーション:今日、この瞬間にも星雲Eの参謀たちは地球侵略の準備を進めている。明日は君の所に星雲Eの戦闘怪人たちがやってくるかもしれない。

フィクサー・H:ああ、やはり美しい星だ。いつか、この星を我が物に。

星雲Eから見える地球にフィクサー・Hは意味ありげな笑みを浮かべる。
その片隅で、クイーン・Sは新たなる刺客を創造していた。

クイーン・S:ジェネラル・Z様、いつかこの愛しき息子にカージェイサー討伐という名誉を……

<つづく>

ED:「僕らのヒーロー カージェイサー」(詩:ウユノユウ)
沈む夕陽 夜の声
今日のことを思い返す
嵐は過ぎ 静寂が来る
明日なんて見えはしない

君のために 何ができるのか?
思索の果て 愛の幻想(まぼろし)
君のために 何ができるのか?
時間の淵 糸は切れゆく

哀しみを超え 正義を護る
僕らの英雄 カージェイサー

溶けゆく景色(ほし)
君の唄と共に
過去の記憶 走馬灯のよう
駆け巡るのは 君との思い出

僕のために 何ができるのか?
哀愁の果て 永遠の夢想
僕のために 何ができるのか?
君のその声に魅せられて

すべて抱きしめ 愛を護る
僕らの英雄 カージェイサー

誰かのため 何ができるのか?
問いかけるよクルマトロンに
誰かのため 何かできるのか?
答えのない 永遠の孤独

誰かのため 夢を護る
僕らの英雄 カージェイサー

あなたのため 何ができるのか?
若葉の季節 重ねた傷よ
あなたのため 何ができるのか?
答えのない 永遠の孤独

海岸線 溺れる孤独
時の箱舟 夜明けに消えてく
挿入歌:「カージェイサー対星雲E」(詩:ウユノユウ)
ユニゾンソードは一閃必殺
アルペジハンドは縦横無尽
みんなのヒーロー カージェイサー

どんなときでも 指笛鳴らせば
助けに行くさ どんな場所でも
君とあなたの 自由を護る
みんなのヒーロー カージェイサー

フィクサー・Hは勧善懲悪
ジェネラル・Zは神出鬼没
狙うぜ地球を 星雲E

憎きは地球の 科学の結晶
ゴールのためなら 悪魔になるさ
君とあなたの涙が目印(サイン)
狙うぜ地球を 星雲E

終わりなき戦いの果てに何がある
先の見えない 攻防戦
流れる涙よ

みんなのヒーロー カージェイサー
狙うぜ地球を 星雲E

みんなのヒーロー カージェイサー
悪魔の集まり 星雲E

哀しみ超えて
怒りを越えて
闘いは続く
カージェイサー

過去を超えて
今日を越えて
闘いは続く
星雲E

【あとがき】
この作品、とんでもない突貫工事で描きました。
5月12日の午前11時ごろに、突然「80年代ヒーローを描きたいな」と思い立ったわけです。そこから企画を起こして、主題歌・エンディングテーマ・挿入歌の詞を急ピッチで仕上げて、第一話の脚本作成を行いました。かなりタイトなスケジュールに見えますが、書いている身としては面白かった。

主題歌は石ノ森章太郎先生の詞を意識して書いてみました。
エンディングテーマは「ヒーローの影」をベースに好きに書いてます。
挿入歌はどちらかといえば八手三郎先生の詞に近いかもしれない。

結果的には、「どれだけ短い期間で企画から第一話の脚本に仕上げられるか」という工程を一気にやったものになりました。

「星雲仮面マシンマン」や「兄弟拳バイクロッサー」のような屈託のない明るいヒーローを作ってみたかったんです。

たまには、こういうものもやってみようと思います。

2019.5.13
Yuu

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 いただいたサポートは取材や創作活動に役立てていきますので、よろしくお願いいたします……!!