出雲駅伝を振り返って

どうもこんにちは遊撃です。

先日、第30回出雲全日本大学選抜駅伝競争(通称出雲駅伝)が行われました。

結果は青山学院大学が1区から一度もリードを譲らず2年ぶりの優勝。2位の東洋大学との最終タイム差は12秒だった。しかし、12秒という数字以上に両校の差は大きかったように思えた。

今回は私が戦前に1~3位と予想し、案の定上位を占めた青山学院、東洋、東海の3校、その中でも優勝を争った青山学院と東洋の2校を中心に振り返っていく。

まず、改めて結果を整理したい。

【総合成績】
1位青山学院 2時間11分58秒
2位東洋大学 2時間12分10秒(+12秒)
3位東海大学 2時間13分31秒(+1分33秒)
【区間成績】
1区①橋詰大慧(青学大)23分15秒
  ②相澤 晃(東洋大)23分21秒(+6秒)
  ⑥西川雄一朗(東海)23分35秒(+20秒)

2区①鈴木塁人(青学大)16分26秒
  ②館澤享次(東海大)16分29秒(+3秒)
  ⑥西山和弥(東洋大)16分54秒(+28秒)
通過順位
①青山学院 39分41秒
②東海大学 40分04秒(+23秒)
③東洋大学 40分15秒(+34秒)

3区②森田歩希(青学大)25分21秒
  ③山本修二(東洋大)25分23秒(+2秒)
  ⑫中島怜利(東海大)26分12秒(+51秒)
通過順位
①青山学院 1時間05分02秒
②東洋大学 1時間05分38秒(+36秒)
③東海大学 1時間06分16秒(+1分14秒)

4区①吉田圭太(青学大)18分00秒
  ②關 颯人(東海大)18分06秒(+6秒)
  ④小笹 椋(東洋大)18分09秒(+9秒)
通過順位
①青山学院 1時間23分02秒
②東洋大学 1時間23分47秒(+45秒)
③東海大学 1時間24分22秒(+1分20秒)

5区①今西駿介(東洋大)18分30秒
  ②生方敦也(青学大)18分48秒(+18秒)
  ③郡司陽大(東海大)18分51秒(+21秒)
通過順位
①青山学院 1時間41分50秒
②東洋大学 1時間42分17秒(+27秒)
③東海大学 1時間43分13秒(+1分23秒)

6区①𠮷川洋次(東洋大)29分53秒
  ②竹石尚人(青学大)30分08秒(+15秒)
  ④湯澤 舜(東海大)30分18秒(+25秒)
最終順位
①青山学院 2時間11分58秒
②東洋大学 2時間12分10秒(+12秒)
③東海大学 2時間13分31秒(+1分33秒)

区間配置から考えて、東洋は1区相澤・2区西山・3区山本の前半で青山学院との差をつけて、逃げ切るというのが必勝パターンだったと思うが、青山学院の1区橋詰がそれを許さなかった。1区残り2キロで東洋の相澤がスパートをかけるも、橋詰は落ち着いて後ろにつけ、最後にスピードの差を見せつけた。結局、橋詰は相澤から6秒のリードを奪った。

6秒差は距離に換算すると50mメートル弱だが、この6秒は予想以上に大きい。2区を走る東洋の西山と青学の鈴木では、西山の方が持ちタイムは上ではあるが、差はほとんどない。前半に足を使って追いつけば最終盤のスパートで差が付く恐れもある。加えてこの日は向かい風でもあり、序盤で力を使うことは極力避けたかったはずだ。様々な要因があったと思うが、西山は本来の力を出せなかった。結局この区間6位に沈む。逆に鈴木は区間賞。2区通過の時点で青学と東洋の間には34秒の差がついた。

正直、この時点で勝負ありだったと思う。もっと言えば1区で橋詰が先着した時点で勝負あったと言っても過言ではなかっただろう。

3,4区も青学の選手が東洋の選手を上回り、4区終了時点で45秒の差がついた。5区の今西と6区の吉川は区間賞を獲得して追い上げるも、4区までについた差は大きかった。吉川はスタート時点で27秒あった差を一時4秒に詰めるまでに追い上げたが、最後は竹石に突き放された。

駅伝は流れが重要だとよく言う。ただ、この言葉の本質は「前を走るのが有利」というより「追うことのキツさ」を象徴していると思う。

実力が拮抗していれば、そもそもタイムに差は付きにくい。となると、ただ単に走っていても、前を走る選手の不調がなければタイムが縮まることはないわけだ。そうなると、早いタイミングで前の選手を捉えて、並走をすることでゴール地点での差を縮めたい。

しかし、前半に足を使うことで、最後のスパート勝負で足が残っていないということもある。ラスト1kmというのは意外と差が付きやすい。仮に片方の選手がラストスパートで最後の1kmを2分52秒くらいで逃げたとし、もう一人の選手が疲れが出て3分10秒かかったとする。これだけで18秒の差が出来るのだ。駅伝におけるタイム差はこのように「最終盤」で出来ることが多い。最後に足を残すためにも、序盤はある程度落ち着いて入ることが重要であり、それが出来るのはやはり先行しているチームだ。

中終盤に圧倒的な力を持つ選手が残っているなら話は別だが(去年の全日本大学駅伝の神奈川大学:鈴木健吾が例)、今の大学駅伝界にそこまでの力を持っている選手は、強いてあげれば順天堂の塩尻和也くらいだ。全日本・箱根と覇権を争っていくだろう青山学院と東洋にはこういう選手はいない。

だからこそ、より一層前半でリードを奪うということが重要になる。今回の出雲を通して、それを再度強く実感した。

全日本は今年から距離が変わり、戦術も変わってくるだろう。ただ、駅伝において「先行」することの重要性は変わらない。その辺に注目して今後も見ていきたい。

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