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サザンオールスターズ「Tiny Bubbles」(1980)

このアルバムはサザン3枚目のアルバムで、初のオリコンNo.1の作品となった記念すべきもの。正直最近のサザンのアルバムにはあまり興味はなかったのですが、初期のエッジの効いた音はいいなあと思っており、この作品も期待以上のすばらしい作品。

ちなみにこの作品、プロデュースはバーニング・パブリッシャーズ。私は知らなかったのですが、元々サザンはバーニングが出資してデビューしたのですね。初期サザンの権利は未だにバーニングが所有している由。次作「ステレオ太陽族」からはバーニングの名前は見当たりませんが。

1曲目の①「ふたりだけのパーティ」からびっくりですね。
サザンがリトル・フィートを敬愛していることは周知の事実ですが、いきなりローウェル・ジョージばりのスライドギター全開ですから。このスライド、クレジットによれば桑田さん自身が弾いているようです。メロディは初期サザンらしい軽快なポップスですが。
この曲に続いてメロディ形式で受け継がれる「Tiny Bubbles」は詞がすべて英語のノスタルジックなナンバー。

②「タバコ・ロードにセクシーばあちゃん」もブルージーななかにもフィリーソウル感覚が溢れている洋楽的ナンバー。この感覚は堪りませんね。老夫婦を歌った詞もユニーク。桑田の非凡なセンスが窺えるナンバーです。

名曲④「私はピアノ」。ムード歌謡曲ですな~(笑)。
原由子が初めてリードヴォーカルを務めたナンバー。でも間奏にタンゴ的な曲調を盛り込んだり、歌詞にラリー・カールトンやビリー・ジョエルを持ち出す辺り、サザンが一風変わったバンドであることがよく分かります。
我々世代は高田みずえのカバーでよく知っている楽曲。

シブい1曲が⑤「涙のアベニュー」。この曲、好きですね。ブルージーなロッカバラードが心に染みます。
この曲はボズ・スギャックスの1976年の大ヒットアルバム「Silk Degrees」に収録されている「Harbor Lights」がモチーフになっているとのこと(歌詞にもHarbor Lightって出てきますね)。ボズは洒落男の代名詞みたいに思われてますが、もともとはサザンソウルフリーク。バンド名の通り、サザンロックが大好きな桑田さんが、ボズが大好きであることは容易に想像がつきますね。

サザンの重要なリズム隊を担うドラマーの松田弘がヴォーカルを務める⑧「松田の子守唄」は、もちろん名曲「竹田の子守唄」をもじったもの。
サザンにおける松田氏のコーラスワークには定評があり、またドラムの腕も相当なもの。ものすごい努力家らしいですね。
もともとサザンは青山学院出身バンドとして有名ですが、松田氏は宮崎からプロミュージシャンになるために上京してきた人物で、青学とは関係ありません。ギターの大森隆志と中学時代の同級生なんですね。

私がラジカセ(懐かしい)に初めて出会って最初に録音したのが⑨「C調言葉に御用心」だったかもしれません。このイントロ、桑田さんの掛け声からスタートするイントロを聴くたびに懐かしさがこみ上げてきますね。
今聴くと、どことなくサンタナっぽいラテンロック的な要素もある曲であることに気付かされます。また改めて歌詞を見ると、かなり卑猥なものであることも判明(笑)。30年以上経って分かった事実。
アップした映像には字幕に「ベターディズ」の文字が入りますが、これはバンドが所属していた大学のサークル名ですね。

このアルバム、どれも名曲揃いだし、桑田氏が日本を代表する稀代のメロディメーカーであることが、この時点でもよく分かります。いいアルバムですね~。

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