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Michael Franks「The Art Of Tea」(1975)

ジャズの香りがたっぷりするAORの先駆け的名盤

昼でも夜でも聴けるのがマイケル・フランクスのアルバム。特に「SLEEPING GYPSY」やメジャーデビュー作となる本作がお気に入りです。
極上の演奏に、しなやかなメロディー、下手ウマなマイケルのヴォーカルが素敵です。

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ご存知クルセイダーズ等の面々がバックの演奏を務めた名盤。ジョー・サンプル(Key)、ラリー・カールトン(G)、 ジョン・ゲラン(Ds, Per)、ウィルトン・フェルダー(B)、マイケル・ブレッカー(Ts)、デヴィッド・サンボーン(As)!!
なんとゴージャスな演奏メンバーでしょう。
そしてプロデューサーがトミー・リピューマ、エンジニアはアル・シュミット、ストリング・アレンジはニック・デ・カロ。AOR三巨頭ですね!

これだけの面子なので悪いはずはありません。
①「Nightmoves」のイントロのラリー・カールトンのブルージーなギター。チョーキングが堪りません。バックにジョー・サンプルの押さえ気味のエレピ。渋いです。メロディも渋い。これを1曲目にもってくるあたりに彼等の自信の現れがよく出てます。
通常なら洒落たポップスの②「Eggplant」がファーストトラックに相応しいような気がしますが、お洒落ポップアルバムには見られたくなかったのでしょうね。とにかく1曲目から渋い演奏です。

③「Monkey See, Monkey Doo」のなんとファンキーなことか!演奏も黒いですね。ジョンのドラムがめちゃめちゃタイトです。そしてブレイクのデヴィッド・サンボーンのソロ、ブロウしまくってますね。かっこいい!

穏やかな⑤「I Don't Know Why I'm So Happy I'm Sad」。ジョー・サンプルのエレピが心地いい一曲。こうした楽曲に熱唱スタイルは似合いません。やはりマイケルのヴォーカルがぴったり。このヴォーカルが優しいメロディにふわふわと乗っているようで、これも心地いいんです。

変拍子の⑥「Jive」は演奏陣の真骨頂でしょうか?変拍子だってライトなAORジャズに聞かせてしまいます。

⑧「Sometimes I Just Forget To Smile」が一番普通の軽快なロックでしょうか?しかしながらバックの演奏陣の難易度の高い演奏でさらっと聞かせてしまいます。演奏陣もやっていて楽しいでしょうね。ここでもラリーのギター、ブルージーだし、それに絡みつくジョーのエレピも最高。

本作ラストトラック⑨「Mr.Blue」。ジョーのアコースティック・ピアノが物憂げで、すっかりBlueな気分になってしまいます。ムーディーなバラード。大人の演奏です。

それにしてもこの作品が1975年のもの、つまり47年前のものとはとても思えませんね。クオリティの高い楽曲・演奏は本当に色褪せないものです。バックの一級品の演奏に驚くとともに、彼等を虜にしたマイケル・フランクスも素晴らしいアーチストであることを再認識した次第です。


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