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Frankie Valli「Closeup」(1975)

一時期、廉価な価格でCD化された名盤をよくチェックしておりました。
当時気になっていたのは「新・名盤探検隊」シリーズですね。ドクター・ジョンやらデヴィッド・ブルー、トニー・ジョー・ホワイト・・・、触手がそそられました。
そんな中、ある時、ラブの「フォーエバー・チェンジズ」。ベルモンツの「シガーズ・アカペラ・キャンディー」(これがまたいい!)、そして満を持してフランキー・ヴァリの「瞳の面影」を購入。そのフランキーの名盤が好盤であったことを思い出しました。

フランキー・ヴァリ。一般的には馴染みがないかもしれませんが、フォー・シーズンズのリードヴォーカルだった方。本作は1975年の彼のソロ作品。やっぱりこれが実にいいのです。恐らく音楽評論的には名盤の範疇ではないかもしれませんが、ポップスファンの私からみれば、この作品は第一級品のポップスの名盤ですね。ジャケットも素晴らしい。

70年代のフランキー・ヴァリ&ザ・フォーシーズンズは、本作収録の⑥「My Eyes Adored You」が1975年、突然全米No.1のヒットを記録したことで、第2の黄金時代を築き上げたのでした。フランキーのソロがヒットし、同年フォーシーズンズの「December,1963」も全米No.1。見事な復活劇でした。

⑥「My Eyes Adored You」はボブ・クルーとケニー・ノーランの共作。確かに名曲に相応しい楽曲ですが、この時期にこれがなぜNo.1ヒットとなったのか、よく分かりません。古き良き時代だったのかもしれません。

それよりもこのアルバムにはもっと素晴らしいポップスが収録されてます。例えば本作トップの①「I Got Love For You,Ruby」。これはサンディ・リンツァー作。サンディはフォーシーズンズの「Let's Hang On」の作者としても有名で、モンキーズにも楽曲提供していた方です。
ポップスアルバムのオープニングに相応しいメロウなポップチューンですね。サビ、アルバムタイトルを歌うパートはかなり高いキーですが、フランキーらしく地声で歌ってます。フランキーの声ってハイトーンヴォイスには違いないのですが、私には力強くもあり、甘いアルトヴォイスに聞こえます。
ちなみに本作①②③⑤がハリウッドで収録された楽曲で、プロデュースはボブ・ゴーディオ。元フォーシーズンズのメンバーでもあり、素晴らしいソングライターでもありますね。ギターにはラリー・カールトン、ベースはチャック・レイニー、ドラムはジム・ケルトナーという素晴らしいミュージシャンが参加してます。

同じくハリウッド収録の⑤「I Can't Live A Dream」。実はこの曲が本作中、一番の私のお気に入りです。
フィリーソウルっぽいアレンジと甘いフランキーのヴォーカルがぴったり。ライナーノーツによると、この曲は1974年にアーノルド・ジェイが発表した作品のカバーとのこと。オズモンズもカバーしてますが、やっぱりフランキーのヴァージョンが一番いいですね。

前述のハリウッド収録に対して、⑥「My Eyes Adored You」を含む残りの楽曲はニューヨーク収録。こちらはボブ・クルーのプロデュース。セカンドシングルとなった素晴らしいバラード⑦「In My Eyes」もニューヨーク収録。

そしてエンディングの⑧「Swearin' To God」は思わずヴァン・マッコイの「the hustle」を連想させてしまうディスコチューン。
確かに同じ年に発表されたものですしね。こうした音つくりが流行っていたのかもしれません。
昔のフォーシーズンズからは全く想像出来ない音ですよね。でもこれがまたなかなかいい。

そしてフォーシーズンズはこの「Swearin' To God」を更に発展させ、彼等らしい「December, 1963 (Oh, What a Night) 」を発表。この素晴らしいポップスも全米No.1となったのです。私が大好きな1曲、名曲ですね。


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