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高中正義「TAKANAKA」(1977)

先日ネットで「俺が叩いた。ポンタ、70年代名盤を語る」を購入し、ここに書かれていた数々の70年代邦楽名盤を聞いております。ポンタさんがクラシック出身であったこと、大村憲司さんとプレイしたかったから赤い鳥に加わったこと等々、多くのエピソードが散りばめられており、同時に当時のミュージシャンの繋がりも分かるようになっております。ポンタさんが、やたらと高水健司さんのプレイを絶賛しているのも印象的です。

さて、ここ数日猛暑が続いているので、ここは爽やかな1枚、そしてこの本の中で紹介しているアルバムの中で、私が今一番聴いている一枚。高中正義のセカンド「TAKANAKA」をご紹介致します。

当時の高中正義はサディスティックスに在籍していたものの、各人がソロ、セッション活動も行っていた時期で、本作にもサディスティックスのメンバーである今井裕が参加しております。本作参加メンバーは以下の通りです。

Guitar, Arranged By, Producer – 高中正義
Bass – 高水健司, 小原礼
Drums – 井上茂, 村上ポンタ秀一
Keyboards – 佐藤博, 深町純, 松岡直也, 今井裕
Percussion – 浜口茂外也, 斉藤ノブ

ポンタ本によると、高中さんからポンタさんに「松岡さんを口説いてくれ」と頼まれたらしい。ラテン・フュージョン全開の作品なので、松岡さんの参加は必須だったのかもしれませんね。

オープニングから夏を思わせる稲妻のSEで始まります。何かが始まる予感のするイントロ…、①「SUMMER BREEZE」はラテン・タッチな強力なポンタさんのドラムが印象的なナンバーです。
ポンタさん曰く、「当時自分たちがよく演奏していたサンタナゆかりの「Latin Stuff」(大村憲司作)のユニゾンからイメージしたものがあるかも…、だから自分が呼ばれのかも」と語っております。いずれにしてもここでのドラムは、既に後の角松敏生の名作「Sea Is A Lady」でのポンタさんのドラムの原型が出来上がってますね。
ちょっと弱々しいヴォーカルは高中自身によるもの。その弱々しさとは対照的に、演奏はポンタ&小原礼の強力なグルーヴ感、エンディングでの高中のギターソロ、圧倒されます。

タイトル通りの爽やかなマンボ・ミュージックの④「MAMBO MAGIC」。
こちらはポンタさんと井上茂のツイン・ドラム。ここでのヴォーカルは詞を書いたクリス・モズデルとTan Tan。クリスは加藤和彦と親交が深く、その流れ(高中正義はサディスティック・ミカ・バンドでトノバンと一緒でしたね)で繋がっているようです。中盤にドラム、パーカッションのソロ回しがありますが、この曲は殆ど一発録りだったとのこと。高中のギターが軽やかに鳴って心地いいですね~。

ポップチューンの⑥「GASCON COCKTAIL」は「ガスコン」バーのテーマソング。青山にあった「ガスコン」というバーに当時高中さんやポンタさんは入り浸っていたらしい。そのガスコンのテーマ曲を…ということで高中さんが作った曲。
こちらはわざとパールの安いメタル・スネアを使ったとのこと。スネアが重々しい感じですね。わざと泊を抜いたりと、ポンタさんらしいドラミングが堪能出来ます。

高中さんの代表曲とも云える⑦「READY TO FLY
当時のパイオニアのCMに使われた映像。こうしたフュージョン系の音楽がCMに使われだした時代ですね。高中さんも若い!

YouTubeを漁っていたら、この曲の高中&野呂一生の貴重なコラボ映像がございました。前半は2人だけのギターデュオ、続いて2分10秒過ぎから爽快なバンドサウンドへと展開していきます。高中さんのギターも素晴らしいけど、野呂さんのギター・トーンは彼独特のものがありますね。スクエア&カシオペアのコラボライブも見応えありましたが、この名曲の2人の交互のギターの応酬も凄すぎる!

エンディングはメロウなバラードの⑧「APRIL WAVE」。
後に大村憲司が「春がいっぱい」をカバーしておりましたが、その演奏にも通じるギターの音色が夏のバラード、郷愁感を醸し出してますね。高中さんのギター、実に表現力豊かです…。

どうでしたか…。多少清涼感を感じて頂けましたでしょうか…。この頃の高中さん、気持ちいいサウンドなんですよね…。

3連休、暑くなるようですが、皆様お体ご自愛ください(17日は気温が37℃まで上がる予報ですが、私はゴルフ。それだけ暑い中でのゴルフは初めてです。どうなることか…。)

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