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The Byrds 「Turn! Turn! Turn!」 (1965)

ウエストコーストロックの祖として欠かせないバンドがビーチボーイズとバーズ。最近バーズをよく聴いているのですが、私のなかではバーズはかなり過小評価されていたようです。
このセカンドアルバム、最初はあまり印象に残らなかったのですが、何回も聴いているうちにすっかり愛聴盤となってしまいました。

1965年にデビューしたバーズは、そのデビュー曲「Mr.Tambourine Man」が全米1位を記録し、いきなりスーパーグループの仲間入りを果たします。ジム(のちにロジャー)・マッギンが奏でる乾いた12弦のリッケンバッカー製ギターが非常に印象的で、彼等こそがフォークロックを代表するバンドと呼ばれるようになります。
ちなみにこのデビューアルバムでは、メンバーの演奏技術の問題で、ジムの12弦ギター以外はレオン・ラッセルハル・ブレインラリー・ネクテル等がバックの演奏を務めてます。

ところが僅か6ヵ月後に録音された本作では、メンバーが確り演奏しております。そしてセカンドシングルであり、本作タイトルトラックの「Turn! Turn! Turn!」はまたまた大ヒットを記録します。

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この①「Turn! Turn! Turn!」は旧約聖書の言葉にピート・シーガーがメロディをつけたものですが、ジムの12弦ギターと美しいコーラスは、この曲が持つ音楽の魔法を解き放つ効果を十分与えており、完全にバーズのオリジナル楽曲となっております。
アップしたのは貴重なバーズの演奏。口パクっぽいですが。ドラムのマイク・クラークはバンド加入までドラムを触ったことがなかったらしい。マント姿のデヴィッド・クロスビー、後の彼の姿からは想像がつかないくらい愛らしいですね(笑)。

あともう1本、これはジム、というかロジャーがレッスン用に録ったものですが、「Turn! Turn! Turn!」を弾き語っています。それにしても12弦ギター1本で、完全にあの「Turn! Turn! Turn!」の世界観が表現出来てますね~。上の演奏シーンより味わいがあります(笑)。スゴイとしかいいようがありません。この映像を見て、改めてロジャーのすごさを実感した次第です。

③「Set You Free This Time」はジーン・クラークの作品。ジーンは        ⑥「The World Turns All Around Her」、⑧「If You're Gone」と計3曲を提供。いい作品、いいヴォーカルです。バーズはディランのカバーバンドではありません。オリジナル作品も優れたものが多く、ジーンの味わい深い楽曲も魅力的です。

⑦「Satisfied Mind」はカントリーのスタンダードナンバー。後に「Sweetheart of the Rodeo」(1968)でカントリーロックアルバムを披露することになるバーズですが、既にその萌芽が見られます。この作品はブルーグラス出身のクリス・ヒルマンが持ち寄ったものかもしれません。

⑩「Wait and See」はデヴィッド・クロスビージム・マッギンの共作。デヴィッド・クロスビーはバーズ脱退後、CS&Nを結成し、更に大成していく人物ですが、ここでのクロスビー、実に初々しい曲を作ってます。
どことなく中期ビートルズのジョージが作りそうなオーソドックスな楽曲。ちなみにジムは、ジョージのリッケンバッカーから多大な影響を受けています。

エンディングトラックである⑪「Oh, Susannah」は、「アメリカの音楽の父」と呼ばれているStephen Fosterの傑作作品をカバー。ジムの12弦ギターを軸に、バーズらしいアレンジを施してます。最後はマイクがたどたどしいマーチングドラムを披露してます。

バーズは次作「Fifth Dimension」のヒット曲「Eight Miles High」で早くも別の一面を現していきます。それはサイケデリックロックです。この美しいフォークロックのバンドが、実はサイケデリック・ロックを一番最初に演奏したバンドとは思えないでしょう。そしてカントリーロックへ傾斜していきます。
バーズのオリジナルアルバムは一作一作が別の顔を持っており、実にユニークなバンドだと思います。

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