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Cheap Trick「Cheap Trick」(1977)

チープ・トリックが来日します…。すごく気になる…。

ということで今日はチープ・トリックのアルバムをご紹介致します。
かなり地味なイメージのデビューアルバム。でも意外とこのデビューアルバムが好きだという方も結構いらっしゃるかもしれません。明らかにセカンド以降の作風とはちょっと違う、かなりダークでパンキッシュな作風ですね。

チープ・トリックは1973年、バンド・メイトだったリック・ニールセン(G)とトム・ピーターソン(B)が、バーニー・カルロス(Ds)とランディ・ホーガン(Vo)を誘い、イリノイ州にて結成されます。翌年にはランディが脱退し、ロビン・ザンダーが加入。メジャーデビューを果たす1977年まで、年間200本以上のライブをこなしていました。
こうした地道な活動がエアロスミスのプロデューサーとして著名なジャック・ダグラスの目に留まり、本作にてデビューを果たします。

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全10曲中、8曲がリック作、1曲がリック・トム・ロビンの共作。1曲がテリー・リードのカバー。ジャケも白黒でカッコいい。
このアルバム、A面とB面が入れ替わってしまう珍事がよく採り上げられてます。もともとSideA・Bという表記ではなく、SideA、Side1との表記が為されており、Side1がA面で収録されてしまったものが定着してしまったようです。つまり1曲目に「ELO Kiddies」、6曲目に「Hot Love」という流れが、本来は1曲目は「Hot Love」じゃないかと。確かにDiscogsの1977年のLPの曲順やwiki英語版の曲順はその流れ(でもなぜか日本語版wikiの曲順は違うのですが)だし、明らかに「Hot Love」が1曲目の方がカッコいい。ということでここでもその曲順を遵守します(サブスクは「ELO Kiddies」が1曲目なんですけどね)。

まずはパンキッシュな①「Hot Love」をどうぞ。
後のポップなチープ・トリックの萌芽も見られますが、基本はダークなハードロック。縦横無尽に弾きまくるリックのギターとロビンのカメレオンのように変化するヴォーカルが素晴らしい。わずか2分30秒とプロローグに相応しい楽曲。

続く②「Speak Now or Forever Hold Your Peace」はテリー・リードの1969年の作品のカバー。
テリー・リードは「レッド・ツェッペリン加入を断った男」として有名な英国のSSW&ギタリスト。原曲は後のグラムロックを彷彿させるようなグルーヴィーなロック。リックは英国ロックが大好きだったようで、その影響が思いっきり分かるカバーです。チープ・トリックもかなり原曲を忠実に再現。武道館ライヴの映像をどうぞ。

チープ・トリックの人気に火を付けたのは日本人であることは有名ですが、このアルバムを発表した時点では米国では殆ど話題にも上らなかったようです。それが日本では徐々に話題となり(恐らくルックス先行の人気であったことは間違いないですが…)、1978年4月に来日公演を実現させます。そこで当時の担当ディレクターであった野中規雄氏が、この公演を録音し、日本のファンへの感謝を込めた日本限定盤として発売を計画。日本では同年10月に発売されましたが、それがなんとボストンのラジオ局を中心にオンエアしたところ、瞬く間に評判を呼び、急遽本国でも1979年2月にリリースされ、本国でもヒットを記録したという経緯ですね。
ちなみに私がいつもチェックしている野中氏のブログはこちら。チープ・トリックのことも綴っておられます。最近は入退院を繰り返されているようですが、11月のチープ・トリックの来日には、同い年のリックと会場で会えるといいですね。

スピーディーなロックナンバーの③「He's a Whore」。
随所にビートルズっぽいメロディも顔を出しますが、全体的にはパンキッシュで荒々しさが混在しているナンバー。①~③が初期チープ・トリックの持ち味ですね。

本作中、一番アブナイ曲の⑤「The Ballad of TV Violence (I'm Not the Only Boy)」。
4分以降のロビンの絶叫に近いヴォーカルはまさにパンクそのもの。セカンド以降の女性に超人気だったチープ・トリックのイメージからは相当かけ離れたものですね。でもひょっとしたらデビュー当時はこの路線をチープ・トリックの持ち味にしたかったのではないでしょうか。

イントロを聴いただけでゲイリー・グリッターからの影響が分かる⑥「ELO Kiddies」。
グラムロックの名曲、ゲイリー・グリッターの「Rock and Roll Part 2」をモチーフとした初期チープ・トリックの名曲。このELOはもちろん日本語の「エロ」ではありません(笑)。Helloの略ですが、同時にリックがELOのファンであることは周知の事実なので、もしかしたらELOとのダブルミーニングかもしれません。
アップしたのは日本武道館でのライヴ映像。当時の白熱した演奏が楽しめます。いや~、チープ・トリック、カッコいい!

セカンド以降のチープ・トリックの流れに繋がる永遠の名曲の⑩「Oh, Candy」。
恐らくチープ・トリックの音楽を連想すると、多くの方はこの「Oh,Candy」のような曲を連想されるのではないでしょうか。でもこの曲も途中に変拍子を交えたりと一筋縄ではいかない曲なんですよね。

いまだに一線で活躍しているチープ・トリック。初来日では年長者のリックがメンバーを統制している様子が窺え、メンバーも品行方正な方々だったらしい。このデビューアルバムから想像するメンバーは、相当イカれている感じですが、実は全くそうではなく、これはキッスと一緒で(特にリックの)かなりマーケティング的に練られたものなんじゃないかなという気がします。ビジュアルもそうですね。
あれから45年経ったチープ・トリックを見てみたい気がします。

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