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The Who 「Who Are You」 (1978)

今回ご紹介するのはザ・フーのアルバムの中でも、あまり評価が芳しくないキース・ムーン在籍時、最後のスタジオアルバム「Who Are You」です。

私もザ・フーのアルバムは「Who's Next」止まりかな・・・という先入観から、永らく本作は放置しておりましたが、今回じっくり聴いてみてビックリ。意外にもいいじゃないですか!
AMAZONのご意見なんかは、結構辛辣で星ひとつ評価の方もいらっしゃるくらいですが、そこまで酷くないのでは?? と思ってます。

本作発表の2週間後にドラマーのキースが死亡。バンドの別の側面での要であったキースの死が本作のイメージを悪くしているのかもしれません。また実際本作録音時のキースの調子は最悪だったらしいし。⑤「Music Must Change」ではシンバルしか叩いてません(苦笑)。変拍子が混じった展開の楽曲なので、敢えてアレンジとしてそうしたのか、キースの調子が思わしくなく、そこまでの表現力が無かったのか・・・。

また本作では当時のニューウェーブサウンドから影響を受けたのか、シンセサイザーが多用されており、そのサウンドが従来からのファンに受け入れられなかったのも事実です。
確かに①「New Song」や②「Had Enough」のリフで使われているシンセとか、③「905」のバックで効果的に使われるシンセなんかは、ハードなザ・フーというイメージからは程遠い印象ですしね。ただ「New Song」でのジョンの激しく動くベースなんかは、オッと思わせるものがあります。

個人的には④「Sister Disco」なんかいいなあと思います。ここでもジョンのやたらと動くベースはカッコいい! タイトルのDiscoからお分かりの通り、これは当時流行っていたディスコミュージックに対するアンチテーゼを感じさせますね。間奏のピートのギターのカッティングなんかもカッコいい!
アップしたのはキース無き後、代わりに加入したケニー・ジョーンズがドラムを叩いているレコーディング風景。

本作、特に⑥「Trick Of The Light」から始まるB面が素晴らしい。
「Trick Of The Light」はジョンの作品。先の②「Had Enough」、③「905」もジョンの作品ですが、これらはシンセポップといった感じ。でも「Trick Of The Light」はハードなザ・フーを感じさせます。

⑦「Guitar and Pen」はピートお得意の組曲風ロック。こうした楽曲を聴くたびにピートの斬新なアイデアとセンスの素晴らしさを感じます。このドラマティックな展開においては、やっぱりキース・ムーンのダイナミックなドラミングがぴったり。きっちりとしたリズムキープをする訳でもないのですが、とにかくダイナミック。ザ・フーのサウンドにおいては、それでいいのですね。それから意外とチャーミングなコーラスもザ・フーの持ち味だったりします。

本作のハイライト、いやこの当時におけるロックの最高峰に位置すると思ってる曲が⑨「Who Are You」。
テレビドラマ「CSI・科学捜査班」のオープニングに使われたので、この曲は知っている人も多いかもしれません。一説にはこの曲のタイトル、セックス・ピストルズのジョニー・ロットンが、ピート・タウンゼントに浴びせた一言らしい・・・(絶句)。それを曲のタイトルにしてしまうピートもスゴイけど。
でもそれ以上にこの曲のアレンジが素晴らしい。本作にはシンセが空回りしている曲が多いのですが、ここでは完全に消化してます。そしてコーラスが素晴らしい。曲の疾走感を煽るような感じ、間奏の透明感、すべてがGoodです。
この曲のPV、お茶目なキースがいい味出してますね。ジョン、ピート、キースがマイクに向かっているのですが、2人はキースには歌わせません(笑)。彼は歌が下手だからです。エンディングの3人の手拍子も笑っちゃいますね~。キースが子供に見えてしょうがありません。

この後、ケニー・ジョーンズを加えてザ・フーは活動を継続させますが、1982年に一旦解散します。「Who Are You」のPVなんかを見ると、やっぱりキースあってのザ・フーって感じですよね。

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