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Michael Schenker Group「Built to Destroy」(1983)

80年代のハードロックは実に多くの魅力的なバンドがおりました。
そんな中でも魅力的だったのがマイケル・シェンカー・グループ(MSG)。彼等もまた本作で商業的な成功を収めたと言えるでしょう。
でもMSGはバンドメンバーが流動的でした。
私の大好きなコージー・パウエルはセカンドアルバム「M.S.G.」のみ参加。リードヴォーカルに至ってはゲイリー・バーデン→グラハム・ボネット→ゲイリー・バーデン→レイ・ケネディと迷走をし続けます。
本作ライナーノーツによると、一時マイケルはマネージメント会社に所属せずに全てに対応しようとしたらしい。ところが(当たり前ですが)その対応の難しさに嫌気が差し、アメリカの大手マネージメント会社と契約。そのマネージメント会社の差し金が本作のサイド・ギタリストとして加入したデレク・セント・ホルムスであり、あのレイ・ケネディだったんですね。
マイケルにもっとマネジメント能力があれば、こんな迷走はなかったのかもしれません。

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本作発表後、マイケル・シェンカーに加入したレイ・ケネディについては、他のブロガーさんもいろいろ語ってますが、ホントは1980年にAORの名盤「Ray Kennedy」を発表している実力派シンガーだったんですよね。あとこのアルバムにも収録されてますが、八神純子の「パープルタウン」の元ネタを歌っていた人としても有名です(元ネタというか、結局八神純子がパクッたということなんですが・・・)。

しかし彼に悪夢が襲い掛かります。いや彼もそうですが、一番の被害者はマイケル・シェンカーかもしれません。その衝撃の映像をアップしておきます。
この映像、怪しげな人物が登場してきます。おっ、この人物こそレイ・ケネディではないですか!
本作のトップナンバーでシングルヒットしたポップナンバーの①「Rock My Nights Away」。
歌詞を暗記していなかったとの噂もありますが、映像上ではちゃんと歌ってますし、やっぱり実力派シンガーだけあって、下手ではありません、がその衣装・・・、そしてステージアクションがなんともロッカーではありません。ある方のコメントにオリビア・ニュートン・ジョン??とのコメントがありましたが、まさにフィジカルしている感じです(苦笑)。

ただ個人的にはレイ・ケネディのヴォーカルはゲイリー・バーデンより上手いと思うし、むしろ音域が狭いように聞こえるゲイリーのヴォーカルのほうが聞き苦しいくらいです。
今聴くとスリリングな③「The Dogs of War」もかなりカッコいいナンバーですが、ゲイリーのヴォーカルが…。
マイケルの切り込んでくるようなギターソロが素晴らしい…。

本作収録のゲイリー抜きのインストナンバー⑤「Captain Nemo」には感動しまくりです。髪がツンツンで革ジャン、フライングVの、この頃のマイケルは本当にカッコよかった!
またこのメロディアスな楽曲自体も素晴らしい。あとコージーの後釜に座ったテッド・マッケンナのドラムも嫌いではないです。

リフが印象深い⑦「Red Sky」なんかもいいです。この曲のマイケルのギターソロも絶品ですね~。
この曲はメンバーの共作です。

忘れてはならないのが⑥「Still Love That Little Devil」。
なぜか・・・、それはリード・ヴォーカルがゲイリーではないのです(UK盤はゲイリーのヴォーカルらしいのですが)。誰か・・・、それはマネジメント会社の差し金であるデレク・セント・ホルムスなんです。
この曲、ゲイリーとマイケルの共作にも関わらず、ヴォーカルを差し替えているんですね。この辺りの推測も伊藤政則氏のライナーノーツに書かれてますが、マイケルの意思とは関係なく、こうしたことが行われていたんでしょうね。

このアルバム、内容自体は80年代独特のキーボードを中心としたリフ展開あり、マイケルらしいハードロックありの素晴らしい内容ですが、裏事情としては複雑なものを感じさせますね。

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