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Eagles「Long Road Out of Eden」(2007)

28年振りのイーグルスの新譜・・・

当時、70年代洋楽ファンであれば、この新譜に注目しなかった方はいなかったと思われます。あのイーグルスの新譜ですからね。
本作は1979年発表の「The Long Run」から数えると28年振りのフルアルバム発表となります(1994年に新曲4曲を含む「Hell Freezes Over」が発表されてますが、こちらは他MTVのライヴ音源が収録された変則アルバムでした)。そして2016年1月にグレン・フライが亡くなり、同年3月にイーグルスは解散したことで、本作が実質的なイーグルスのラストアルバムにもなってしまいました。

もちろん私もリアルタイムに直ぐに購入し、チェックしましたし、当時も本作は概ね好意的に迎えられていたと思います。
私個人の最初の印象としては、まず「地味だな~」と(私的にはこの地味な渋さが好きなんですが)。また2枚組、計20曲というのも、人によっては「あっというまに聴けた」とか「名曲の数々」といった意見が聞かれてましたが、私は「少し長い!」と感じました。これは私的には退屈に聴こえる曲が含まれていることによると思われます。
余談ですが、当時収録曲のある曲の邦題が話題となりました。その邦題が「宇宙の中心で愛を叫ぶ」(笑)。時代ですね…。

多くのファンは、アルバムオープニングの①「No More Walks in the Wood」、このアカペラの曲に感動するでしょう。美しいコーラス、ハーモニー。イーグルスの美しさが健在であることが分かる1曲。

息をつかせる間もなく先行シングルカットされたJ.D.サウザー作の②「How Long」へ。70年代の香りを漂わせたイーグルスらしいロックンロール。
ちなみにこの曲はJ.D.サウザーのファーストアルバム「John David Souther」に収録されている曲で、当時のイーグルスもステージでは演奏していた楽曲。このJ.D.のファーストが発売されたのが1972年8月。そしてイーグルスのファースト発売が1972年6月。同じアサイラムレーベルからの発売で、それぞれレーベルNoがSD5055とSD5054。つまりこの曲はイーグルスのファーストに収録されても違和感のないものであり、70年代の香りがするのは当たり前といえば当たり前なんですね。

③④⑤と後期イーグルスらしい曲が続きます。特にジョー・ウォルッシュがヴォーカルをとる⑤「Guilty of the Crime」はフランキー・ミラーのカバーですが、もともとフランキーの原曲にジョーはゲスト参加しており、曲のツボを熟知していることから、ジョーのオリジナルのように非常にネチッこく、サザンロック的に聞かせてくれてます。

私のツボは⑥「I Don't Want to Hear Anymore」ですかね。ティモシーと交流の深いポール・キャラックの作品ですが、ティモシー・B・シュミットらしい甘いヴォーカルが堪能できる、これぞ後期イーグルスっていう感じの曲。こうしたAOR的ミディアムナンバーはいいですね。
本作のお気に入りナンバーがドン・ヘンリーでもグレン・フライでもない、ティモシーがイニシアチブを握っている曲というもの意外感がありました。

逆に違和感のあった曲は⑨「Fast Company」。ドンの怪しげなファルセット・ヴォイスがプリンスを連想させるファンクナンバー。時代ですね。

約10分の大作。ドン、グレン、ティモシー3人の共作であるタイトル曲の⑫「Long Road Out of Eden」。
なんとも環境音楽的なイントロ、重々しい感じで曲が進んでいきます。イーグルスの新境地として捉えると、なかなかの力作です。でも未だに初期のイーグルスが忘れられない時代遅れの私としては、こうした楽曲にはアレルギーがありますね~。

未だにこうした進化のない概念でイーグルスを捉えていると、私がご指摘した違和感のある曲には抵抗感があるかもしれません。
そういったイメージがなければ地味ながらも聴けば聴くほど味わい深く感じられるアルバムなのかもしれませんね。
私は当時も今もそう感じてますし、本作を聴き返す機会ってあまりないんですよね。皆さんはこのアルバム、どう感じられたでしょうか?


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