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John Fogerty「John Fogerty」(1975)

2010年、あのフジロック・フェスティヴァルにジョン・フォガティが出演しました。ジョン・フォガティといってもピンと来ない方の方が多いかと思います。CCR、70年代前半、「雨をみたかい」なんかのヒットを連発したバンドのリーダーですね。あの独特のダミ声、私はCCRを初めて聴いたとき、アルバムのジャケットを見て、ドラムのダグ・クリフォードが絶対にジョンだと勘違いしてました(笑)。だってこの声に合う容姿はダグのような髭面男の筈ですから。

このステージですが、当時のいろいろな記事を拝見すると、かなり盛り上がったようですが、往年のファンからしたら、あのジョンがまさかこの時期に来日するとは・・・と、びっくりしたことでしょう(私もそう思いました)。
私はリアルタイムではないにしても、中学時代からCCRを聴き続けており、ちょうどジョンの奇跡の復活ソロアルバム「Centerfield」が発表された頃、まさに洋楽をききまくっており、この復活劇には結構感動したものです。

さてCCR解散後、ジョンは1973年にThe Blue Ridge Rangers名義でソロアルバムを発表します。そのアルバムの中身はカントリーのカバー集で、CCRを期待すると肩透かしを食らうかもしれません。
そういった意味では自らの名前を冠した本作こそが、ジョンの初ソロ作といえるかもしれません。

1曲目からジョンのソロの幕開けに相応しい楽曲、またタイトルが①「Rockin' All Over The World」というからいいじゃあないですか。歌詞も極めてシンプルなのです。1998年に発表されたライヴアルバム「Premonition」にもしっかり収録されております。
アップした映像は2006年のライヴ映像。音楽に対して全く変わらぬジョンの姿勢に脱帽。

おっと、いきなり蛍の光か、と思ったら、かなりディープサウスな②「You Rascal You」。これはカバーです。恐らくルイ・アームストロングなんかが演奏していた楽曲。このアルバムはこうしたかなりノスタルジックなジャズナンバーも収録されてます。

ブルース・ブラザーズがやりそうな④「Travelin' High」。
かなりメンフィスソウル的な香りがプンプン漂うナンバーですが、これはジョンのオリジナル。
ジョンのヴォーカル、吼えてますね~。がなり立てているような・・・。

⑥「Almost Saturday Night」もジョンのライヴには欠かせないナンバー。①と同様、このアルバムのハイライトナンバー。これはジーン・クラークがカバーしてましたっけ。リック・ネルソンもカバーしているようです。しかしオリジナルのジョンのヴォーカル、迫力ありますね。

⑨「Dream / Song」のギターの音色はCCRそのもの。彼のディストーションをかけていない素朴なギターの音色で小気みよくカッティングするギターが大好きで、実に味のあるプレイが堪りません。

CCRというバンドは偉大でした。でもその最後はあっけなく、またCCRは所属レーベルと契約期間が残ったまま解散してしまいました。その影響で解散後、ジョンはThe Blue Ridge Rangersという変名で、しかも全作品カバーという形でソロ作を発表。そういった対応をしたものの、所属レーベルとの関係はこじれ、ジョンは1987年までライヴではCCRの楽曲を演奏しなかったと云います。余程版権を持つレーベルに怒りを感じていたのでしょうね。

ちなみに1985年、ジョンの復活作「Centerfield」の1曲目、「The Old Man Down The Road」がCCRのある曲に似ているということで、なんとCCRの憎きレーベルにジョンが訴えられてしまいます。よりによってその楽曲、ジョンの作品なのに・・・。ジョンの作品がジョンの作品を訴える??? なんてことになってしまいました。
そして2004年、この憎きレーベルが買収されたことで、ようやくジョンは思い切った活動が出来るようになるのでした・・・。契約社会アメリカの怖さがよく現れてますね。

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