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Bobby Caldwell「Perfect Island Nights」(2005)

久しぶりのAORアルバムのご紹介です。しかも王道のボビー・コールドウェル
学生時代、ボビーのデビューアルバムと「Heart Of Mine」は、必ず私のドライブのお供となっておりました。それくらい大好きだったボビー。1995年に発表した8枚目のアルバム「Soul Survivor」以降はジャズに傾倒していったボビーですが、2005年に発表された本作で、10年ぶりにAORに戻ってきてくれたのでした。

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ジャケットが素晴らしいですね。ジャマイカの夕暮れを思わせるようなボビーらしいジャケット。音を聴かなくても、何となく中身が想像でき、期待に胸が膨らみます。

1曲目の①「In the Afterlife」はミディアムシャッフルの、ボビーらしいマイナー調AORナンバー。この曲を聴いただけで、10年待った甲斐があったと狂喜したファンも多いのでは。でも私はむしろ②「Crazy for Your Love」のメロウな、なんだか「Heart Of Mine」の頃に戻ったようなサウンドに感激してしまいました。いつの時代でも素晴らしい音楽は素晴らしいものですね。アレンジ&プログラミングには、AOR全盛期にキーンとして活躍したトム・キーンの名前が見られます。

基本的にはオリジナル作品が素晴らしいボビーですが、以下ご紹介する楽曲はカバーです。まず④「Where Is the Love」はダニー・ハザウェイとダニーの盟友であったロバータ・フラッグとのデュエットで有名な楽曲。
オリジナルは1972年発表。ここではデニース・ウィリアムスが愛らしいボビーと愛らしいデュエットを披露してます。そもそもこの楽曲、作曲者がラルフ・マクドナルドだけあって、AOR指数が高い楽曲ですね。基本、オリジナルに忠実ではありますが、ボビーが弾くギターとか、トム・キーンのキーボード等、AORを感じさせるようなアレンジに仕上がってますね。

アルバムタイトルの⑤「Perfect Island Night」は、リー・リトナーとの共演でも知られるフィル・ペリーの作品。
彼の2001年のアルバム「MAGIC」に収録されていたナンバー。フィルはファルセットを使い、もっとクワイエットストーム的な感じで仕上がってます。ボビーはこれを、もっとラテン・タッチに、かつAOR風にアレンジしてます。

⑥「Our Day Will Come」もカバーです。
しかもこっちは1963年のR&Bのヒットナンバー。ルビー&ザ・ロマンティックスのヒットナンバーで、多くのカバーが存在してます。ボビーはソウルフルに、かつ軽快に歌ってます。原曲ではあまり感じられませんでしたが、ボビー・バージョンでは晴れた昼下がりにのんびり聞いてみたいような仕上がりになってます。

⑫「Sukiyaki (Forever)」はご存知の通り、坂本九の永遠のヒットナンバー。
日本人として唯一の全米NO.1を記録したナンバーとしても有名ですね。これも⑥と同様に1963年のヒットナンバー。イントロの木琴のような音色は原曲に忠実に再現。敢えてボビーがカバーする意味があるのか、疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれません。坂本九の唄法は全くソウルの要素は感じられないものなので、それをソウルフルなボビーがカバーする意義があるのか…。もちろん楽曲は素晴らしいし、ボビーのアレンジもなかなか。でも本アルバム、エンディングトラックに相応しいかというと、ちょっと疑問に感じるところもありますね。

この後、ボビーはジャズアルバムを発表したり、新ユニットを結成したりと、まだまだ音楽活動は続けていますが、味わいあるAORアルバムという意味では、個人的にはここ20年のボビーの作品の中では、本作が一番のお気に入りの作品と思ってます。

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