見出し画像

Carole King「Love Makes the World」(2001)

キャロル・キングと聞くと皆さんは何を想像するでしょう。
モンキーズを聞きかじっている私としてはGoffin/Kingというクレジットを連想してしまいます。
これは60年代、職業作曲家としてのキャロルの顔。当時の夫であるジェリー・ゴフィンとコンビを組んで、次々とヒット曲を提供していった時代ですね。
モンキーズだけでも「Sometime in the Morning」「Pleasant Valley Sunday」「As We Go Along」「Star Collector」等々、名曲が多いです。
もちろん60年代を代表する曲、「ロコモーション」「朝からごきげん」「ワン・ファイン・デイ」「ナチュラル・ウーマン」等数多くの名曲を産み落としてます。

シティ結成後、しばらくグループとして活動するも、再びソロとなり、70年代初頭の超ビッグヒットアルバム「つづれおり」で一躍スターの仲間入りを果たした後は、名アルバムを次々と発表していきますが、80年代・90年代のキャロルは精彩を欠いてました。

どうしたのかな、と思っていた頃、1998年メグ・ライアン主演の映画「You've Got Mail」の主題歌「Anyone at All」が久々のヒットを記録。この曲も往年のキャロルを彷彿させる、本当にしみじみくる名曲なのです。

そして2001年、奇跡が起こります。自身のインディーズレーベルよりひっそりと発表されたのが本作。

往年のアーチストが過去の栄光にすがり、カムバック作品を発表するケースは数多あります。このキャロルの作品も当時はそのひとつではないかと、最初はそう思ってました。しかし「Anyone at All」の素晴らしさもあり、ひょっとしたら…と思い聴いてみたのです。

驚きました。あの「つづれおり」を凌ぐパワーを持ってますね。キャロルらしさを保ちつつ、すっかり2001年のキャロルの音楽となってました。

本作にはベイビーフェイス、セリーヌ・ディオン、キャロル・ベイヤー・セイガー、ウィントン・マルサス、マイケル・ランドゥ、ネイザン・イースト、元夫のチャールズ・ラーキー、ディヴィッド・フォスター等が参加。

そして驚きはエアロスミスのヴォーカル・スティーヴン・タイラーの参加!!!
⑧「Monday Without You」でキャロルと見事(?)なデュエットを披露してます。全くタイプの違う両者ですが、スティーヴンがいい味だしてますよ。曲もかっこいいですね。

本作はそもそも1曲目(①「Love Makes The World」)から最新のリズム・ボックスを用いた曲なんですが、すっかりキャロルの世界観が広がってます。

古いファンには涙もののセルフカバー、⑥「Oh No Not My Baby」。60年代にマキシン・ブラウンに書いた曲で、マンフレッド・マンもカバーしてました。キャロルのピアノ、チャールズのベースのみのシンプルな演奏。

日本盤のみのボーラストラック⑬「Birthday Song」。なぜこんな名曲がボーナストラックなのか??誕生日を祝った素朴な曲ですが、心が素直になりますよ。

個人的には本作はキャロル・キングの最高傑作と思ってます。収録曲すべてに深い味わいがあります。「つづれおり」から30年後。多分彼女自身が80年代、90年代いろいろあったと思いますが、そういったことを乗り越えた本作には優しさに満ち溢れてます。
現時点では本作が彼女のオリジナルアルバムとしては最新作。あれからもう20年以上の歳月が経っているんですね。また彼女には全曲が新曲のオリジナルアルバムを発表してもらいたいものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?