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「中孝介声をきかせてコンサート2022 」ゲスト出演 感想文(2022.12.3)(加筆あり)

0 はじめに

 この記事は、2022年12月当初書いて、Twitterにて公開した記事です。わたしは音楽関係者でもなく絶対音感もない、ピアニスト・ござさんを単推ししている一般人です。音楽的知識もないので、方々に間違い等があるかと思われます。その際には優しくご教授いただけますと幸いです。

 なぜ今更2022年の記事をアップするのかというと、もともとこれはTwitterに連投し、その後Twitterのモーメントにまとめていたものでした。しかしながらTwitterの仕様が変わり、モーメントが見られなくなっていた記事の一つです。今後Twitterがどうなっていくかの予想が立てにくいため、noteに再掲するにあたり、Twitterの引用リンクは外し、スクショに変えましたことをご了解ください。

1 コンサート承前

 大手町三井ホール。
 もともとは行くつもりのなかったコンサート。実はその前、11月の「ねぴふぁび」を新型コロナウイルスに感染し、断念したばかりでした。
 もう年内に生ござさんにはお会い出来ないのね…と落胆しながら12月1日のござさんのキャスを聴いているうち、そのキャスにあふれ出る才能があまりにすさまじく、
「やっぱりござさんすごいコンサート行かなきゃ…」
と思い立ち、急遽行くことに決めたコンサートでした。仙台から東京まで、行って帰るまでほぼ半日の強行軍。
 それもこれも、大手町という地の利があったから。中さんに感謝です。

このキャス中にチケット取りました。凄すぎて…

 さて。大手町三井ホール。
地の利に優れただけでなく、都会の中のオアシスのようなこのホール。

三井ホールより見える夕さり。


デジタルサイネージに、ござさんが♡


 9月の「日本遺産物語コンサート」と同じ、波音の客入れSE。ステージには下手にピアノ、上手にチェロとギター。ギリギリにとったわたしの座席は、ピアノの対面側で果たしてござさんが見えるかドキドキ…
 7分ほど時間押して開始。

2 中孝介さんのコンサートの雰囲気

 中孝介さん、16曲(多分)の楽曲を、歌ったり三線を弾いたり…それにはMCにあったように、コロナ禍で思うように活動できなかったことが関係していたのかも。これまでの忸怩たる思いがあって、やっと叶った有観客コンサートなのだと思います。伴奏者のPf.黒木千波留さん、G.伊藤ハルトシさんも息ぴったりでした!

 中さんのソロコンサートは初めてでしたが、彼の持つ絶対音感を感じるところがあり、終始聞き惚れました。Pf.黒木さんはもともと好きなピアニストさん。伊藤さん、中さんとの調和のとれた演奏の、彼らしいオールラウンダーぶりたるや!伊藤さんのギターとチェロの八面六臂の活躍も素晴らしかったです。

3 ござさんの登場

 さてござさんは6曲目に中さんに紹介されて登場。「日本遺産物語コンサート」に着ていたお似合いの青いスーツに、グリーンのストライプのシャツ。ウェーブが大きくかかっているみたいな髪型で、すてきでした。劇団員みたいな深々としたお辞儀を四方にして、それでああござさんだ…とほっこり。
 「あ、あ、あー」の発声はなかったものの、中さんに紹介され挨拶されるときに、座位の高さに合わせたマイクに、立ちながら顔の位置を合わせるので、自然お辞儀したまま話すような格好に。
「どうぞお座りください」と促され、やっとピアノのマイクがござさんのトーク用だと判明しました。

 まず中さんとのトーク(!)、これも珍しいパターンかも。
 トーク中、ぎゅっと握った両手を膝の上に置き「うんうん」という仕草をしていたのですが、途中急に立ち上がって椅子の高さを直していました☺️
「なんもなかったです(言い方w)」というのもほほえましい。…そうよね、椅子の高さ重要です。続いて、中さんがピアノを習っていて、友達が遊びにきてもずっとピアノを弾いているピアノ少年だった話。
 「ござさんは?」とふられ「僕はですねえ…ピアノも弾いてましたしサッカーしたり、あとポケモンが流行っていたのでポケモンやったり(中略)わりと元気な子どもでしたね!」
 えええ?!ござさん元気な子どもだったの?という軽い衝撃がw きっと、ござさんのピアノを、中さんが「超絶」と誉めていたので照れたんでしょうね…多分。
 中さんのピアノ少年ぶりを聞いたござさん、「(中さんとござさんの)運命が逆だった世界線もあり得るわけですね」と仰っていたけど、中さんからは「いやいや」と。ござさんのピアノへの信頼感が感じられるトークでした。

4 「answer」

 まず「answer」。美しいイントロから、中さんと顔をみあわせて歌へ。伊藤さんのチェロも入った構成、素晴らしかった…
 チェロはベース音を弦でレガートに。
 だから、ピアノはCDよりも引き算されていたと思う。それでいながら、中さんの歌とござさんのピアノのアウフヘーベンが感じられました。わたしから鍵盤は見えないけれど、左の掌が何度もひるがえり、流れるように弾いているその仕草の途中、ハッとする高音の煌めきがありました。ござさん、うなずきながら弾いてた…。間奏のfffもキラキラをまとって美しい…
 ラスサビの「手すりを越えて君を抱きしめた」のとこの和音…和音全然わからないけど、手すりをこえて抱きしめた感(どんなw)あったなあ…
 何ていうか、歌詞世界を「音で」表現しきっているのね。だから、いわゆる「伴奏」というよりピアノ音で「answer」を歌っているのだと思えるのです。

5 「寒月」

 サンサーンスの白鳥に、歌詞をつけた「寒月」。
 リリックビデオでかてぃんさんが演奏していらしてとても美麗ですね。ござアレンジ、多分イントロはかてぃん版よりやや長く、世界観を充分に会場に響かせました。またチェロも入っているので高音部で聴かせるアルペジオが、とても繊細。
 「answer」での歌とピアノのアウフヘーベン、というのとは違い「寒月」はそっと歌に寄り添うようなピアノ。リリカルで素晴らしかったです。愛する人がいてもたった1人…という歌詞。そしてやってくるfffの、練度の高い間奏!このときござさんの後ろからメツブシのミントグリーンの明かりが差し、それはそれは神々しく…!

 ここで突然に芝居好きな本性をあらわしますけど、照明さんありがとう!という気持ちでいっぱいでした。「ござアタリ」をあんなにドラマティックな明かりに作ってくださって…!最高でした!
 「星あかりの森で」のサビのところも…ここでこの人を照らそう、この人の音を聴かせようという照明さんの意図、めちゃくちゃ伝わりましたよ!!!ござさんかっこよく照らしてもらって、その灯りの下で最高のパフォーマンスでした!かっこよかったあ…😭

6 「島唄」

 そして来ました!「島唄」!
 中さんのコンサートなら、きっと来ると思っていた「島唄」…これを聴くためにここに来たと言ってもいいい曲。
 わたしは、この超絶感動アレンジと神演奏は、音源化必至の名曲だと思っています。鐘とショパンシンドロームと肩を並べる曲解釈の深み。芸術に欠かせない、社会性・現在性。と同時に、何かを決して声高に叫ぶのでないところに、彼の優しさとクレバーさを感じるんですよね。
 前回の「日本遺産物語コンサート」と違うのは、中さんもイントロに三線で参加したところ。三線がメインのメロディーを奏で、ござさんはそれを保定するベース音を鳴らします。とても印象的なイントロ。中さんも、この曲に相当な思い入れがあるのがすごくよくわかります。この直前にあんな(ツイキャスで説明済み)軽やかな話をしていたとは思えない荘重なイン…
 途中から、三線は鳴りをひそめ、Pf.だけになると、メロディは中音域でシンプルに。ただ左手のベース音の重みが徐々に増してくるよう(イメージ)。そしてfff。9/12 の、ゆうかげのnote「日本遺産物語コンサート〜奄美/沖縄の風を、歌と演奏でお届けします〜の個人的感想文」にも書いたけど、多分リハの音量越えてるよなと思うほど。
 ただし小さい小屋でスピーカーだけじゃなくピアノ本体からの音圧も感じられたから葛飾より心地いい大音量。
 「ささやかな幸せはうたかたの波の花」のあたりで高音部での不協和音部分があって、ひた寄せてくる不穏な空気感でざわざわして、鳥肌が止まらない箇所もありました。

荒々しいほどのfffと跳躍を聴きながら、作詞作曲の宮沢和史さんが「ウージの森」について、ガマで自決した2人のことだからそこだけペンタトニックを使っていないと書いていたのを思い出した。ござさんは、歌詞のある曲を演奏するときは必ず歌詞の世界観を演奏に投影する。この荒ぶりは沖縄戦のことだと思うと納得がいく。そんな「島唄」だった。
 むろんこの2022年が、沖縄返還50年であることをござさんが知らないわけがない。分かった上で、MCで解説を披露したりすることなく、「演奏で」魅せるスタイルを貫いている。

ゆうかげ「日本遺産物語コンサート〜奄美/沖縄の風を、歌と演奏でお届けします〜」の個人的感想文(2022.9.11)より


 「海よ宇宙よ神よいのちよ」のところ、9月と同じくモード和音でfffでメロディをなぞるのですが、それがまるで何かを訴える言葉のよう。それまでのござさんのピアノの超絶技巧を見てきた身には、日本語をまんまなぞる和音(なんて言っていいかわからないけど)に、むしろ凄まじさを感じさせました。聴きごたえありすぎて、過呼吸になるかと思った…!その後転調、トレモロ、神々しいアルペジオ…とメモにある…凄すぎた…
 サビは、テンポをぐっと落として収束するんだけど、本当にすごい曲解釈の末の超絶アレンジ、神演奏でした。「島唄」原曲かなり聴いてきて好きなのだけれど、実は商業ベース上の制約も感じないわけじゃない。
 そういう意味で、本当に作詞家が伝えたかったところを、ござさんのピアノは表現しきっているのかもしれないという気がしてしまう。

 ござさんの演奏はこの3曲。最後にメンバー紹介で改めて登場しただけなんだけれど、ござさんの演奏は確実に聴き手の心を掴んだんじゃないかな、と現場にいて思った。それくらい凄まじい集中力と熱量を感じる演奏だったから…

 「EnVision」のライナーノーツでの『和音』によって伝わるものは」の問いのことを、わたしは繰り返し描いているけれど、「どんなときも。」での問いは、彼の音楽人生における問いでもある気がして、わたしは時々思い起こしてみることがある。

ござさんの深い思索に触れる言葉だと思っていつもここに帰着する。「和音によって伝わること」…作曲者が伝えたいことと同時に、表現者である自分の伝えたいことも表現できるピアニストだと思っている。

 島唄のすごい和音にも、彼のその問いに対する「答え」がある気がする… そんな年末のひとときでした。

 もしよろしければ、こちらのキャスも。東京からとんぼ返りし、まさかの当日に仙台からお送りしたwキャスです。
 合言葉は、われらが推しの誕生日です♡

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