トラウマがあるからビジネスやってる

「売れない」事への恐怖心

わたしは生まれ育った家が商売をやっていて、絵に描いたように借金で家庭崩壊した体験がある。
それをすごい体験だとか、いい体験でしたねとか苦しい体験でしたねとか、なんかそういう話で終わらせる人が結構いるけれど、単純になんて言ったらいいかわかんないだけなんだろうなと思っている。

すごい悲惨な状態だったのかもしれないけど(幻聴聞いたり強迫神経症になったり、視野狭窄になったりした)、たぶんほかの人が「会社つらい」とか「友達いなくてつらい」とか言うのと同じだと思う。

誰もがその時の悩みで精一杯だし、その苦しさを比べることはできない。
ある程度の共感はできても、完全な理解は不可能だし。

で、そんなめんどくさいひどい事があって、当然ながら私には逃げようもできないトラウマがきっちりある。
「売れない」ビジネスのそばにいることが怖くて仕方ないんだ。
結果が出ない事がパニックになって自殺してしまいそうになるほどツラい。
「全然売れてるんじゃないのかなー」という状態でも、わたしはいつも焦っている。

このトラウマは、ある意味非常にいい効果をもたらしているらしく、わたしのビジネス自体は連戦連勝に近い。
ビジネスといっても、別にFXとか株とかじゃない、普通にものを作って販売しているだけ。古典的で普遍的で、非常に基礎的かつ簡素な仕組みの商売だ。
規模はかなり小さいけど、負け知らず。(いくつか小さな負けはあるけど、全体的には大勝ちしているので、よしとする)
状況的には別にそこまでひどい事はないのに、トラウマがあるとエブリタイム背水の陣。

たとえ売れたとしても、わたしのトラウマは「売れる」事には無反応で、「売れない」可能性が1ミクロンでも存在する限り発動するし、売れない可能性がなくなることなんてこの先ずっとありえない。

売上が立たないビジネスが怖い

そんなだから、わたしはとにかく売り上げが立たないビジネスが怖くて怖くて、パニックに陥りそうになるし、いつもパニックに陥りかけている。
ビジネスをする限り、このトラウマは動くし、かといって何もしないでいてもトラウマは消えないし、だったらトラウマを役立てて稼いでしまうほうがいいんじゃないかと思っている。
もうトラウマを消すのは諦めたわ。

夢や希望や挑戦するトキメキで膨らんでいる起業家志望学生君の話をちらっと見聞きすると、「あー、キミは起業もできるカッコいい学生になりたいんだね」と思う事がある。
起業するとかビジネスするとか言うその裏っ側には、気が狂いそうになる恐怖があるんだけど(少なくとも私には)。

夢だけで始めるのは、いいことだと思うけど、その夢をゴミ屑みたいに踏みつぶされてもあなた平気ですか。ビジネス始めたら、ぜったいそういう事がありますよ( ;∀;)
売れたらすごい嬉しいけど、売れるほうが少ないんです。
しかも売れてもすぐに「こんな少ししか売れないんじゃ困る」っていう状況になります。売れても嬉しくなくなるんです。怖いですよ、ビジネスするって。
売れても嬉しくなくなるっていうのが、一番怖いかもしれない。

不利益は悪なのだろうか?

しかしながら。
利益の出ない商売は破滅をもたらすと鳴り響くブザーを体内に埋め込んでいる私だけれど、金額的なものだけを追いかけるのは結果として失敗することをなぜか知っている。

いわゆる価値の創造とかって、金額じゃない。
結果としてお金が生み出されるけれど、それは副産物でしかない。

まあ、その副産物をイカに効率よく回収するかっていうのがビジネスの主眼なんだけど、副産物だからもっと重要なものをうまく生産する事に力を注ぐことが一番効率が良かったりする。

それは時に金額的には不利益になったりする、こともある。
いやそれでもならないようにトラウマ持ちのわたしはあの手この手で絶対その場の赤字は避け、利益がその場で回収できなくても中期的に回収できるように手を打ちまくる。
その分、手が込んだものができる。

一時的に利益の出ないものは、モノの完成度を高めるのかもしれない。

その代わり、トラウマが暴れるので、わたし自身はげっそりする。

失敗している余裕なんてないでしょう?

よく「小さく賭けてたくさんの負けを体験しよう」とか「失敗をたくさんして免疫をつけよう」みたいな提言をちらほら見かけるけれど、そんなのを見つけるたびにふざけるなって思う。

私たちには、もう失敗なんかしている余裕はないんだよ。
一回でも負けたら人生アウト、詰んじゃうんだよ。
全部勝たなきゃダメなんだよ。
なんでそんなことがわからないの。
なんでそんな適当なことを言って、他人に失敗を勧めるの。バカじゃないの。

一回でも失敗したら死ぬ。
そういう覚悟がないまま、なんとなく夢と希望と借金でビジネスをスタートさせるのは愚の骨頂。夢と希望と借金でのスタートほど一回でも失敗したらゲームオーバー。当事者は語る。

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つよく生きていきたい。