求ム、美術館ナンパできるツワモノ

主にTwitterのほうで話題です。
美術館で知識を披露して、不思議系の女の子をひっかけよう!という主張のあれです。

「ちょいワルジジ」になるには美術館へ行き、牛肉の部位知れ
https://www.news-postseven.com/archives/20170610_561363.html

同じ論調(?)のもので以前「死ぬ前に20代を抱いてから死にたい」という特集号の下世話系週刊誌がありまして、職場でわたしの机の上にそれがおいてありまして(広告ページか、連載記事の何かに仕事に関連する何かがあってスキャンなどで保存する事務作業)、通りかかる女性社員がみんな中身を読んでいきました。

「バーで一人で飲んでる女は疲れているので優しく?飲みたいから飲んでるんじゃんちょっと頭大丈夫?」
「トレンカ履いている子は奥手?足を見せないのが奥手だというならそりゃあ誤認もいいところです、脚の太さと男遊びは関係ない」

書かれている内容を読み上げては大うけしていくので、男性陣は遠巻きにそれを見ていた。

大笑いしているのは女性だけ。

ところで、私は美術展に一人で行ってはあれこれ観て、感想をnoteに書き散らしているので、ここでいうナンパ対象になりそうな行動をよくしている。
スケジュールも結構自由が利くので、平日に出かける事も多い。
そして絶対に一人で行く。

もし私がそういうちょいわるジジに出会ったら、どうなるだろうか?

これはですね、残酷なことを申し上げるようですが、まず出会う事はありません。
たとえ話しかけられても、おそらく話しかけられていることに気づかないと思います。
独り言の多い人だなあ、痴呆がはいっているのかな、統合失調症か自閉症タイプかな、もうちょっと違うタイプの精神疾患かなあ」で終了です。
精神疾患を疑うのは、精神科ソーシャルワーカーの専門的な勉強をしていた事があるので、独語(ドイツ語じゃなくて、ひとりごとのこと)があるとおおまかな傾向をつかもうと観察する程度の事はします。

そもそも、館内で話しかけられる事を想定していないのです。
「お荷物落とされましたよ」みたいなことはあるかもしれないけど、まさかとなりに立っている人から突然解説を聞くことなんて予想だにしません。
そういうイベントに参加中ならともかく。

それに、常設展ではなく特別展の場合は、ほとんどの場合音声ガイドを借りてしまいますからね。ヘッドフォンを突き抜けて解説できるほどの、そして音声ガイドより魅力的な解説をしてくれるのは、相当な腕利きの仕事です。日本を代表する立場の人であるに違いない。

1500円って値段感からみても常設展ではなく特別展を想定しているであろうと思いますが、特別展は基本的に一回しか見ないとなると必死で見ます。すごく気に入ったらおかわり来観はあるけど、とにかく食い入るように、浴びるように見るのです。
そんな状況で、ナンパなんて気づきません。

まあ、なんていうか、ファッション的なちょっとお茶でもみたいな感覚でよく知らない作品を冷やかしにっていう状況ならナンパも気づくかもしれませんけど、こっちは本気なんですよ!1500円~1800円も払って、さらに500円とか600円とかで音声ガイド借りて、本気で見にいっているんです。
そりゃあライブとか観劇より安いかもしれませんけど、でも捨てていいお金じゃないんです。

そもそもですね、美術館デートとか憧れですけど、憧れであってもやっぱり見にいく時は一人です。
誰かと見にいくという体験をしに行くんじゃないんです。
ただ見る、それはたった一人の行動です。
隣に一緒にいるあなたとの時間を楽しみに行く場所じゃないんです。
私と作品と、それだけなんです。
だからデートにはならない。一緒に行って中では別行動、というのが最低条件でしょう。つまりその中ではデートではない。

だけど、そうやって女を知識でナンパする妄想って、すごくいい気分なんだと思います。おそらく、女の私が考えるよりも、男性にとっては何倍も何倍もいい気分なんだと思います。
しかも、そういう美術館にくる女なんて、チョロそうじゃないですか。
ひとりでくるなんて、寂しがり屋で口下手で、優しそうで頭がよくて、処女だと思っちゃってもしょうがないですよね!

万が一、万万が一、そういう感じで女をちょろまかせたとして、で、どうするの?結婚でもするの?(真顔)
一回やって満足とか、そういうことじゃあないでしょ?
美術館にくるような純粋な女に対して?
そういう女がそんな事許してくれると思う?
最低限、結婚でしょ??遺産分配でしょ??
そういう先の事、ちゃんと考えてる?

ま、考えてもいないし、実際に美術館ナンパなんかできっこないので、ここに提示されている存在はツチノコみたいなものだと思いますが、「金は残さない」事を標榜しているくせに1500円でリーズナブルに女をひっかけようなんて言ってることとやってることが乖離しすぎています。
個人的に詰めたいのはそこ。

でもね、実際のところ、ちょいわるジジにはぜひとも頑張っていただきたい。

私もいつか美術展でさりげなく隣に立ったイケメンで性格良しのどこか枯れた感じで色気もあってそれでいて健康的な石油王のおじさんに素敵な解説をされて「もっとお話を」なんて日が来ることを心から願っています。
上野なら老舗の甘味処とか、六本木ならこじゃれたカフェとかで、今見た作品の事を語り合いたいじゃないですか。石油王なら上野の老舗とか知ってるはずです。

そんな日が来ることを、心から願っています。
お声をかけて頂けるように、なるべく身ぎれいにして美術館に向かいたいと思います。

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つよく生きていきたい。