手作り作家の行く末

「500円の手作り雑貨から始めて2万円のワンピースが売れるようになる」と、手作り作家になるために的な本の帯に書いてあった。

・・・。

なんだろうか。手作り作家たちが目標とするゴールって、なんなんだろう、っていつも考えている。

職人になりたいのか?
あるいは、アーティスト?

作家という言葉は、実にいいネーミングだった。おかんアートと呼ばれていたものが、「手作り雑貨作家」という言葉によって、職業のように見えるようになった!
手作り雑貨作家という存在の発明、あるいは発見。
凄いと思う。

手作り人口が突然増えた、という事ではない。
ずっと昔から一定数、特に女性は何かを作り続けている。もう生態のひとつだと思う。

しかし、それをネット上で売買できるインフラを作ったという事が、すべてのはじまりだと思う。

素人でも玄人はだしの技術を持っている人はたくさんいた。今までにも。

それをうまく市場化した存在(minne、creemaとか、ちょっと違うけどメルカリとか。BASEやStores.jpなんかもある)が、胴元商売をはじめたあたりから様子が変わってきた。
今までネットショップ黎明期に楽天ができて、一般のお店を相手に胴元商売をし始めた。

胴元商売の胴元とは賭博の親。また、ばくちの場所を貸して、寺銭をとる者・胴親とも言われる。つまり、商売などをするための手数料を利益とする商売の事だ。

楽天は、楽天にお店をだすためにお金が必要だ。出店料=ショバ代とかみかじめ料みたいなものだ。あるいは出店は無料でも、売上金額に手数料が発生するとか、広告を入れないと絶対に売れなくて、広告費用で儲けたりしている。

普通のお店(BtoC)は楽天が牛耳っている、という事で、今まで市場化していなかった手作り商品を売買する市場を整備して「賭博場=アプリ」を整備した会社が続出して、突然手作り雑貨作家が作り出された。ここはCtoCという新しい分野になっている。
そして、作家の作品が売り買いされれば、アプリの会社は儲かるというしくみだ。
(noteだって、手数料1割持っていくので、毎月200万円売り上げているという人からは20万円のアガリが来るわけ)

ビジネス市場に打って出るとき、まず考えなくてはいけないのは、自分は誰のカモなのかという事だ。誰を客にするか、ではなく、自分は誰の客なのかを見極めなくてはいけないのだ。
ビジネスというのは、自分だけが儲かる仕組みはあまりない。(ただしネット上ではダウンロードされたらその分まるごと自分のものになるというケースがあるが、今回はそれじゃないものを考えている)
材料を購入すると、その会社の売上が上がる。配送をすると、運送会社にお金が行く。なにかが売れると、その材料なり、なにかを購入する事で、お金が動く。つまり、誰かが儲かる。
自分がビジネスをする時、いったいそれで誰が儲かるのか?という視点がすごく大切になる。

手作り作家は、材料屋さんとアプリ会社あたりを儲からせている。
特に、全然売れていない赤字作家は、材料屋さんとアプリ会社にとってこんないいお客はいない。つまりカモだ。

ここで重要なのは、カモにならないように気を付けるという事じゃない。むしろ、自分がどこのいいカモになったら社会全体にプラスになるかを考える、という事がすごい大事。
もちろん自分がちゃんと儲からないといけない。しかし、自分が儲かることが、たとえば暴力団にお金が流れて悪い事に使われるような結果になるとかはなるべく避けたい訳です。自分がオーダーすることで、誰かが過労死するとか、環境汚染が一層進むみたいな事は、なるべく避けたい。
そういう視点を持ってないと、大きなビジネスはできない(ごり押しでいく人もいるけど)。

自分がどこかのよいカモになることを選ぶんです。

しかし、特に副業でちょっとお金が欲しいとかだと、自分がお金を払う事がどういう結果につながっていくかを全く考えていないケースがすごく多い。

まあ、それもいいんですけどね。一見無駄に見える事を後先考えずに集中して没頭した結果何かができるというのはよくあります。
でも、その先になにがあるのか。

手作り雑貨作家たちは、何を目指しているのだろうか。
単に毎月いくらかの収入と、いくらかのファンを獲得して満足するのだろうか。
80%くらいはそうだろうなあ。そのうち40%は赤字。20%はトントンかちょっと黒字、でも楽しい事をやってつながりができて幸せです、みたいな精神的利益で満足している可能性。残りは黒字だけど、半分くらいは別に有名になりたいとかじゃないとか言っていそう。あ、数字は適当です。個人の見解です。
本当に起業する人は、手作り作家から始める人は少ないと思う。
(中には手作り作家の皮をかぶって有名になるためのプロモーションをするという練りに練った作戦ででてくる人もいると思う)

たとえ2万円の作品が売れるようになったとして。

それで、手作り作家たちはどこを目指すのだろう。
セミナー教師、主婦向けプチ起業コンサルタントへの転向も見られるけど、彼らも「セミナー講師になろう」というセミナーの生徒さんたちだからねえ。
結局カモになっている。

カモになっている人たちは、総じてお金に苦労しています。というか、お金に苦労しているからカモになってでもお金が欲しいってなっている、そしてそういう人を対象に詐欺師はカモを集めるのです。
本当の詐欺師はお金持ちを狙うより、貧乏人を狙います。
結局、副業したいと言いはじめて、どこかの詐欺師のカモになって終りってひとばっかりなんだよ。

多くの手作り作家たちにも、そのカモとしての一生が用意されているでしょう。

だとしても、彼らは何を目指して、どこにいくのだろうか。

わたしは、最初から副業だなんて小さな話で始めてはいない。まあ最低でも1000万円くらいの年商は必要だと思っていたけど、実際にやったら1000万円じゃ足りなくて、やっぱり億目指さないとやっていけないなってわかったので、方向を大幅に上に修正して億レベルの商売をしなきゃなーって思っています。
それは、わかる人にはわかるけど、1億円なんて中小企業もいいところです。10億円くらい必要かなあって思う。
どうやればいいかわからないけど、まあ目指すはそのくらいです。わたしが作りたい商売を作るには、そのくらい動かさないといけないなってわかってきました。繰り返すけれど、ビビるような数字じゃないですよ。小さいものです。

でも、手作り作家たちはどこにいくのだろう。
新しく発明された職業に、どんな行く末があるのだろう。

わたしが考えるのは、作家をマネジメントする会社が出ていくるだろうなという事。作品の権利とかを守るという名目で、タレント事務所みたいな感じかなあって。

という事は、結局作家は、その才能を商品として、ずっと誰かの商品として存在するという事になるのだろう。

それがいい悪いではないのだけど、どっちかというと企業としてものを動かす視点で見てしまうと、なんだか手作り作家たちが取引されているかのようで、ちょっと変な気持ちになる。
プロ野球選手とか、モデルやタレントだと思えばいい、小説家や漫画家、イラストレーターと同じと考えればいい、という視点もある。
でも、作品をマネタイズするとなると、どうなんだろうね。1点ものをどれだけ高く売るか、あるいはどれだけたくさん売るか。コピーして販売するか。いろいろ考えちゃう。

とにかく、今は過渡期だけれど、手作り作家たちの行く先は非常に気になります。

低価格帯から脱出して「手作りは高くていいもの」という価値観に変えたいという人たちもいるけれど、高いものが売れるようになったらゴールなのかというと、ちょっと違うんじゃないかと思っている。
何より、そこには詐欺師がゴロゴロいるし、うっかり自分もその詐欺の片棒、ライトなねずみ講の一翼になっている事もあるわけで。

その先になにがあるのか。
これは大きなテーマだと思う。

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