お金に甘えないでいられるか

友人が、助成金申請をやめたと長々Facebookに書いていた。
いろいろ葛藤があるんだろうなーというか、そりゃお金周りに葛藤がない場合ってホントに少ないので、当然なことですが。
ここでお金をもらってしまうと、自分のやろうとしていることに甘えが出て長い目で見たらだめになる気がしたというのが申請をやめた理由としてあげられていた。悪い判断じゃないと思う。詳しくは知らないけれど。
でも、自分で決めて、しかも実際にもらえるかわからない事でさえ、なんか目先のお金が無くなるような喪失感があったりする。拾った財布を届けただけなのに、すごく損したような気がするとかと同じなのかな。(そして損をしたと思う事にまたショックを受ける、という非生産的な行動に陥る)

お金って不思議なもので、お金があるからうまくいく事もあるし、お金があるせいで失敗することもある。

でも、それはお金のせいじゃなくて、使う人の技術の問題というか。

お金の使い方を、私たちは学んでこなかった。
親や友達の使い方を見たりしても、けっこうひどいやり方をしていて、それをおかしいと思いながらも「そういうものか」と思ってしまう。

お金がない時に心がすさむという事は、比較的簡単に経験できるので、対策を考える事ってある程度できるようになる。場数を踏むから。

しかし、お金があるという事には、簡単に場数を踏ませてもらえない。
生まれつき湯水のようにお金がある環境ならいいけれど、意図的に多額のお金を動かすという事って、特に子供や若者には許されない事が多い。だから、簡単に経験を積むことができない。

いい大人が大金を手にすると急に子供じみた行動になってしまう事がある。
けっこう幻滅するモノです。

お金があると、なんでもかんでも許されたような気になる。
自分が偉くなったような気がするし、実際ものすっごく丁寧に扱ってもらえて勘違いするな、なんて無理な話。
働きに行かなくてもいいとなると、毎日遅くまで寝ていられて、その上好きな服や靴を好きなだけ買える。ものすごく幸せだ。
生きる事を許されたような気がする。

だけど。

私たちは最初から生きる事を許されているんだよね。
それぞれ複雑な障害を抱えているけれど、お金や条件に縛られる前に、私たちは生きる事を許されているから生まれてきている。
そこから、どうやって社会に関わっていくのかは、人それぞれだけれど。

そこにお金という強力なツールが絡むと、突然自分の今まで培ってきた生きる力や才能を使わなくなってしまう。という事がよくある。

なんでだろうか。どうして私たちは簡単にお金に才能を骨抜きにされてしまうんだろう。いい歳をした大人が、幼児みたいに駄々をこねたりするのは、なぜだろうか。

金は金、自分は自分。金をたくさん持っているから偉い、持っていないからダメという基準で自分を見てはいけない、本当は。
特に自分で商売をやっているなら、金の判断基準は自分と切り離さないといけない。そして、今の状況とも切り離して考えないといけない。
いまお金がないから何もできない、なんていう事では、商売は成り立たない。お金があろうがなかろうが、いい商売を作り出すのが目的だ。お金があるからいいとか悪いとかで考えていたら、そもそも商売なんかできません。
そもそもお金がない中からお金を生み出すのが商売ですからね。

実際に商売においては、お金は副産物でしかなくて、メインのなにかが動くから副産物ができるというだけなんだけど。

お金に甘えてはビジネスはできないと思う。
お金が足りない事にも、お金が多くあることにも甘えずに、冷徹に商売を続けていくためには、とにかくお金に振り回されるという感覚をなるべく早くやっつけなくちゃいけない。
でも、それは無理な話なのだ。お金に振り回される世界で私たちは生きているのだから。
だから、そこから外れるために商売をしている、ぐらいの勢いでもある。

お金を使わないコミュニティーに憧れる人が結構いるけれど、わたしはちょっと違う。お金で悲惨な目を見たけど、むしろだからこそ正常化させたいという気持ちもすごくある。
逆にお金をものすごく稼ぐことに取り憑かれている人もいるけれど、わたしはそれともまたちょっとニュアンスが違う。
なので、これといったロールモデルがいないんだけど、やっぱりルパン三世が一番それに近いかなあ。

それはアートであり、物語だ。そして小説であり、もしかしたら誰かの救いや支えになるかもしれない。そして、わたしのことは名前も顔も知らない人たちが作ったものを心の支えにしていくのなら、わたしは全力で「人生に勝った」と思うのです。自分の人生が、自分以上のものになっていくのだから。

そういうことを追求していく時に、お金が追い風になったり、障害になったりする。変なものです。

いや、本当は、お金だけじゃなくて、ありとあらゆるものをすべて追い風にする覚悟で立ち向かう事が必要なのだろうか。

お金は欲しいです。欲しくてタオルをもぐもぐする。
だけど、自分を弱くするお金ならないほうが100倍いいのです。

お金に甘えないで、お金を大切にできるだろうか。
誰かを助けるために、それを使えるだろうか。何かを生かすために、それを使えるだろうか。

そして、お金を殺さず、お金に殺されずに、生き抜きたい。

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つよく生きていきたい。