PVに魂を売るな

ちょっと腹立たしい事を思い出したので、書く。

Facebookなどでたまに見かける良い記事のことだ。
内容はもっともで、文章もそつがなく、きれいで印象的な写真がリズミカルに挿入されている。

中身は、「食品添加物は思っているより危険で、それはシャンプーや歯磨き粉だってそうだ」とか「起業するには捨てなければいけないものがある」とか、とにかく立派でちょっとエッジの効いた、カジュアルでいて深い視線、みたいなやつだ。

ひとつひとつの記事は、間違ってない。
文章も読ませる。

ただ、彼の書いた文章をいくつか並べると、致命的な欠陥が浮かび上がる。

ヤツは、文章の内容なんかどうでもいいのだ。
不安を煽って、それらしい理性的な内容の長めの文章を書いて、薄っすいマヌケな結論に着地するだけのページを作っているのだとすぐにわかる。

つまり、PVに魂を売った人間の書いたものだ。

しかも相当技術がある。
見識のある人とされている感じの人がコロコロ引っかかって拡散している。
私も2回くらい引っかかって、いい事書いてるなって思った。

しかし、数回見ると、違和感に気付く人は気付く。

警告し、理性的な内容で長めの文章を書いているので、読んでいると「全くその通り」気分になる。
が、結論や解決策の提示は手垢のついたものや、オリジナリティの見当たらないもの、さらに間違った提言と感じるものまである。

ご立派な解説に対してあまりに稚拙な結論。

で、あーこの人は本気でなにかを伝えるとか考えるとかよりも、PVやシェア数が目的なのだなと思った。

もちろんそれは当たりで、彼はその数字を実績としてウェブメディアを作りますとかいう会社をやっている訳で。

PVに魂を売り払った男の書いた文章を、識者が「その通りだと思う」とかシェアしちゃってて、わたしは無言で激怒する。
各論は正しい、というか間違ってない(ここもまた絶妙にムカつくやり口だ)。でも彼のやってることは、不安や恐怖を煽って耳目を集めて換金するという、金のためなら世の中壊しても構わないというやり方そのものだ。
そして、「この社会はそろそろ変わらなくてはいけない」とか書いてる。

本当に社会を変えるなんて、考えてる?
僕にはこれだけの支持者がいる、と天狗になっているのだろう。自らは正義のジャーナリストのおつもりかもしれない。
その実態は、自分のお金のためなら人々の不安を煽って社会に悪い影響を撒き散らすのも当然と思ってるものすごいエゴイスト。

エゴイストは嫌いじゃないけど、さも「社会をよりよく変えたい」みたいな善意の情熱のふり(または本気でそう思ってる可能性もある)をしているのが、死ぬほどキライなの!
焼肉屋で黒焦げになるまでジュウジュウ焼いて、店員さんに網を変えてもらう刑に処したい。

社会を変えるとか、感動を与えるとか、感謝されたいとか、ふざけんなって思う。
そんな事で価値を水増しして、あわよくば儲けようなんて浅ましいです。

なにかをするとき、人はどこかのタイミングで魂を売り払う。魂のないものなんか売れねーよ。
でも、その魂をPVに売ってもいいの??
そこに売っちゃう??
見た目はたしかに儲かるかもしれないよ、目先の自尊心とかは満たされる……でも、長い目で見たとき、それは本当に良かったのか。

個別の事なので、わたしが判断することはできない。
ただ、わたしはPVに魂を売った人間の書いた文章は、やはりそれなりだと思った。
そして、あまりに腹立たしいと思った。

人を不安にさせて商売するのは、卑怯な手法だ。
そんなのが世の中にたっぷりある。
でもさ、わたしはやらないでもいいワケだし、それをやってるヤツを軽蔑するくらいの自由はある。

大体のPVに魂を売った人間の書いた文章は、とにかくつまらないので、ある程度読ませるだけの力はすごいとは思う。だからこそ余計、その力をもっと正しいものに使えばいいのにと思う。正しいものとはなにかでまたもめそうだけれど。

どれがその文章かは明記しないけどさ。

魂の売り場所を間違えるなという警告なんだなと思った。
魂なんか悪魔にだって売ってやると思っていても、悪魔どころかページビュー数に売っちまう人間がいるんだから。

魂は、しかるべきところに売るのだ。
命かけてやる仕事を手に入れるために売るのだ。
それがページビュー数を増やすこと…なんて、浅ましいところに使うなんて絶対に嫌だ!!

わたしの魂はページビュー数になんか売らん。

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