本屋が潰れるのは結局本屋のせいだ

本屋が町からなくなることに対する危惧については常に叫ばれているのだが、大手書店系列の仕事をしてわかったのは残念だけど本屋が潰れるのは本屋に60%責任があるのは避けられないという事だった。

Amazonのせいでもある、それは大きな事実だ。
でも30%くらいだ。

Amazon以上に実店舗の本屋の怠慢と老舗企業にありがちな個々人の能力があっても組織がそれを許さない体質、そして作家や出版社(取引先)の足元を見る卸価格の設定、売れなきゃ返せばいいという委託の安易なシステムに寄りかかってほかの道を探そうとしない甘さ。

そういうのが、本当は一番の問題なのだと、メールのやり取りの大激怒でよくわかった。

老舗本屋は、老害の巣窟だ。

おっさん社員が牛耳った縦割りシングルタスクスタイル。
あちこちにお伺いと根回しが肝要の、狭い範囲での権力にこだわるおっさんたちに最適化された仕組みだ。

あとニッポンの美しいお返事である「はっきり言わない」文体がすごい。
私は問い合わせたメールの返事がYESなのかNOなのか、はっきりわからず仕事が進められなかった。前向きなことはわかったが、実はそうやって3年ほどほったらかされている前科がある会社なので、信用するわけにはいかない。

その中でも改革をすすめている若い層がある事はわかる。
実際に、書籍じゃない売場が増えている。
それも単純に文房具などではなく、ちょっとギャラリー風味の強い雑貨販売を試みている。
だから、少しはそういう老舗企業の世の中とのずれが解消されているのでは?と期待していた。

が、それはなかった。

縦割り業務で、おそらく連携ができなくて担当者は孤立無援の可能性がある。
あれだけの業務を未経験の小人数がやるのは、どう考えても事故につながる。
実際に表に出てきた事故もあったし、そうじゃない事故もあったと思われる。メールのやり取りしか情報がない私たちでさえ、「これちょっとヤバいんじゃないの」「メールの時点であやふやすぎる」「作品をなくす可能性」と不安しかなかったので、結局一点ものの二度と作れない性質の商品や高額商品は入れない事にした。

かといって、高額じゃないものや在庫がある商品だって、なくされていいものではない。
それでごはん食べてるんだから!!!
謝って済む問題じゃない。彼らにはその切実さがわからないのだ。
作品に対する愛とか思い入れとかじゃなく、生活に直結してんだよこの野郎!!!である。それなのに心情面のみを謝られても、補償金出すという考えは全くない。

よくサラリーマンがフリーランスに気軽に打ち合わせを打診して、その交通費や時間拘束の費用を全く念頭に入れていない事をなじられるブログなんかをみるけれど、手作り作家に対するその本屋のスタイルはそれ以上にひどい。

「3日間在廊してほしい」⇒その人件費を出す気はないのに?兼業で働きながら作品を作っている人がほとんどなのに平日も在廊しろって?
「全部委託で売上の半分はマージンが基本」⇒材料費で赤字になる。売れば売るほど損をすることを作家に強いるのか
「ディスプレイをおねがいしたい」⇒お店までの交通費とディスプレイ費用は出さない気だよね?マージン取った上にタダ働きさせるってどういう面の皮の厚み?

書籍に対する仕入れの感性で、一点ものの手作り商品を集めようとしている時点で、挑戦した姿勢は認めるけど、ズサンにもほどがある。
っていうか、あれだけ人がいて、それを調べる事もしなかったのだろうか。

結局、潰れ行く本屋を立て直すために別の小売りスタイルを取り入れても、そこで本屋の悪しき習慣を取り込むんじゃあ、どっちも腐って死ぬにきまっている。

手作り作家も悪いのは、正直そういうところがわかってない人が多いってことだ。店に出してもらえるだけでありがたいって人が多い。(だから手作り作家のほとんどは、カモにされているし、そのことに気づいてもいない)

そこに店がつけ込んで、おんぶにだっこで、挙句に集客も作家に頼っている。
作家のほうがインスタもTwitterもフォロワー数が多くてコアな客を持ってて、動員数が大きいからだ。

そうやって作家に頼り切りなのに、店があるから「だしてやってる」上から目線。
上から目線だけならともかく、マージンを売上の半分も持っていくというヤクザまがいのスタイル。

かつては、その仕組みでも全員が食べていけた。
でも時代は変わってしまった。紙がいらなくなった。
技術の発達で、シングルタスクの縦割り業務ではなく、個人がマルチタスクになって一人で作品作りから広報、モデル、画像や動画を作るまでになった。
それができないといけないくらいの時代になってしまった。

しかし、老舗の老害は、それができない。
できないけど危機感は感じている。そこが厄介で、危機感があっても何か対策が取れないから、周囲に当たり散らしたり若い芽を摘むことに熱心になるくらいしかその危機感の回避方法がない。

結局、本屋が潰れるのは、本屋が持っている仕組みのせいなのだと思った。
残念だけど、取次を含めてそういう仕組みがもはや今の世の中にあっていない。
Amazonのせいかもしれない。そこは否定しないし、Amazonに頼るのは絶対にダメだ、あそこも鬼畜の国だとわかっているので、私はなるべくAmazonで買わないしAmazonに出店する事も厳しい(一度は出店した。売れたがここはダメだと思った)。
だが、本屋はAmazonのせいでつぶれるんじゃない。
本屋が潰れるのは、半分以上本屋のせいだ。

この続きをみるには

この続き:1,090文字

本屋が潰れるのは結局本屋のせいだ

yuukee

180円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

つよく生きていきたい。

74

yuukee

本を作って売るダンジョン

本を出版するというのこんなにも闇が深く罠の多いダンジョンを徘徊するようなことだったのか、という事を現在進行形でまとめていきましょう。
3つのマガジンに含まれています