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第一回ひとり株主総会へようこそ!

クレイジービジネスリアリティーショー「ひとり株主総会へようこそ!」
来たる7/27(木)、神保町にあるコワーキングスペースエディトリ―にて開催されました。

想像以上の客入れで、ちょっと受付等ご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。
(イベント詳細⇒http://ptix.co/2uJ6hnx)

とはいえ。

「誰が何を見たいのか」
「誰も何も得をしない誰得イベントになるのでは」
「ほぼ出落ちなのでは」
「着地点が見えない」

等々、作っている最中には混乱が続いておりました。

財務諸表は、ちょっと特殊なものだけど珍しいものじゃありません。
それを公開するだけ。
大手企業でもなければ注目のイケイケベンチャーでさえない。
ひたすら、地味でこまい、無名の会社。
それが、ここまでキャッチーになってしまうとは、不思議なものです。

そもそも株主総会というのは、嘘くさいんです。
仕組み自体が、茶番。
それが基本スタイルなので、聞けば聞くほど「えーそれやる意味ある?」という事が連発しています。
それを実際にやってしまうと、もうコント。
じゃあ、もう脚本は最初からあるんだから、やりましょうか

そう、ここです。
やる。実行する。挙句に、金取って見せる。

そうするために、才能あるコピーライターでスライド制作はプロ中のプロ、「これは才能の無駄遣い」と途中何度もつぶやいていた株式会社Rockakuの森田社長を「だって面白いって言ってたじゃないですかー」と強引にアサインして、ええと、結局全部作ってもらいました。

ご本人は作っているうちにすごいものを作り出してしまったという事に気づいて「今年はこれで300万くらいは稼げると思う」とつぶやいておりましたが、これがどうして300万円の売上になるのか、私にはわかりません。

さて、実際内容のほうは、「そもそも株主総会とはなんぞや」というところから解説が始まります。
これは大きい会社でも小さい会社でも同じです。
同じですが、大企業の株主総会のリアリティーのなさ。100億円とかの話をされてもね、わかるけど、ピンとこない。
そこを、売上1000万円というちびっこ企業の内訳を見ていくことで、ぞっとするリアリティーを感じる事になるのです。

そうやって、開幕したひとり株主総会は、まずそもそも私が何を売っているのかというところから話していきます。
「袋をあけられなかった商品がどうなるのか、私にはわかっている!いいから開けろ!」と詰め寄って、商品そのものを見ながら説明をしていきます。
話していくと、徐々に見えてくる……客層の…ダークサイド。
「つまり……闇が深い」
「深い」
「闇が」
「闇が深い」
何回かこのフレーズが出てきましたが、これはもうほんとに通し稽古では出てきませんでした。本番に現れたヒットです。

この闇の深さ。

これが私がこのビジネスをはじめてずっと向き合い、戦い、時に溺れそうになり、共存の道を探しては裏切られる事を繰り返してきた、最大の存在です。
この闇があるからこそ、お金が動いていくのだけれど、闇があるからこそ問題が起きている。

その闇の深さについて、一瞬でもどこか多くの人と共有できた瞬間があった気がします。

「パワーストーンにも流派がある」
というところで客席がちょっとウケてたのが個人的には面白かった。
スピリチュアル系、手帳マニア系、文具マニア系、タスク管理&スケジュール管理マニア系と、それぞれの闇が深い。
その闇を綱渡りしているのが、私のビジネスの一面でもあります。

それは、誰にも相談できないし、共有する事もできない。
したところで個人として話すと全員がポジショントークを取ってしまう。
それが、こういう見世物的なイベントで提示されると、そういう事をしないで受け止めてもらえる。

単純に、私にとって救われたのは、そのことでした。
この3年間向かい合っていた人々の闇の深さを、知ってもらえた。
これだけです。

そして売上の内訳、これからの展開について話していって、じゃあお金の額を見てみましょうという事で、税務署に提出する正確な書類をドーンと公開。

年収のえげつない少なさ。
中途半端にリアルな赤字の額。

そういうものを、貸借対照表の見方の説明をはさみながら、詳しく見ていく訳です!!!

まあ、私にはこれを公開するメリットはひとつもありませんが、ぶっちゃけデメリットもあんまりありません。
どうでもいい事です。
なので公開しました。

ちょっとwebにあげちゃうとよろしくない(簡単にコピーできちゃうからどういう悪用をされるかわからないし責任も持てない)ので、webでの公開はしませんけど、見てもらう分にはどうということはありません。

1000万円の売上がある企業のヒリつくリアルな赤字の額。

私にはどうでもいい事なんですけど、これを見る事と、これを公開したという事が、どうやら多くの人にいろんな角度で刺さっていったみたいです。

「自分の会社が立派なものなんだと理解した」という人
「会社を作ってみたくなった」という人
「こんなに面白い財務セミナーは初めてです!」という人
「自分の稼ぎの額に近くて共感した」という人

ひとつの見世物を見て、多くの場合は同じような感想を持ちますし、同じような感動を得ます。その同じであることが楽しかったり一体感だったりするのです。でも、今回はちょっと違っていました。
見る人によって、刺さる部分が違う。
これこそが問題提起という機能なのかもしれません。

ラストシーンは、まさに茶番。

株主総会にラストシーンも何もないんですけど、気づいたら、そうなのです、あれだけ人がいたように思ったけれどほんとうは、ひとり。

あの、寂しさ。
孤独さ。

すべては茶番なんだけど、それをやらないといけない、不格好なマリオネット。

あの不条理こそが、ひとり株主総会の醍醐味です。

なんていうか、予定調和は壊していきたい。
それも予定調和に従って。

それができたのが「ひとり株主総会へようこそ!」だったのではないかと思います。

何のメリットもない。誰も得をしない。着地点がない。
そういうところをぐるぐる回ったりしましたが、それでもキャッチーで面白いものになったのは、やはり演出家の手腕は大きすぎるほど大きかった。

作っていくうちに、急にラストシーンが見えて、私は単純にその通りに(株主総会という茶番の脚本通りに)動くだけでよかった。
特にセリフも決まってないから覚えなくてもいいし、定型文は受付嬢やマイクやってた時の感じで読むだけで十分だったのでちょっと練習した程度。

なにも作ることはありませんでした。
そのままのプレーン原料100%無添加。

最後に、議事録に実印を押します。(通常はこれをぺライチで作れば株主総会が開かれたとみなされる書類です)

スーツが完全にコスプレ

うれしそう

財務諸表は、すべての法人に存在する、いわば副産物です。作ろうと思わなくても作られるもの、というか作っておかないといけないもの。
それを素材にここまでいじり倒してライブというかコントというかにして、セミナー成分も混ぜたものになったのは、まずもって「株主総会」という使い古されて手垢のつきまくって醸成されたフォーマットがあってこそだと思う。
すでに株主総会そのものが、おかしい!
という感覚を、表現して分かち合えたのではないかという事が、とても面白かった。
私は別に演劇的なものをやるつもりはなかったんですけど、確かに小劇場型株主総会だったなあと思う。

実際にやってみて、おもったんですけど、他の会社もこれやってくれたら私も見にいくなあって事です。作ってる最中は「誰得なの、なにがみたいの、みんなおかしいんじゃないの」なんて言ってたっていうのに。

いつもはこうやってnoteとかTwitterとかFacebookとかで脳内をテキスト化しているんだけど、実際に場を設けてライブをやるのもすごく簡単だったし得るものは大きかった。

え、これが簡単なの?
と思う人も多いかと思いますが、フォーマットがあって、ほぼしゃべることは決まっているだけで、それを形にする技術があるなら、なにもひねることはないと思います。
ゼロからなにかを創作するのとは違う。
ただそれぞれが、それぞれの技能やコンテンツを持ち寄れるかという事だけで、私は単純に主演といいながら素材提供のみに近い状態でした。

で、実際に一回でもやっちゃうと、実績になります。
実績は買ってでも作るのだ。

ちなみにかかった経費ですけど、人件費を抜くと、会場費や備品などをあわせると6万円くらい。
やろうと思えばやれる額だと思います。
今回、ご来場者数は何とまさかの50名ほど。スタッフ、演者、あわせると60人近くが入っていました。会場費自体は入場料でペイできたので、やろうと思えばだれでもやれると思います。
集客が最大の問題だけど「5人くらいしかこないんじゃないか」とか言ってた。いや私はそんなことないって思ってましたが。


さて、このクレイジービジネスショー。
ちょっと面白かったので、またやっていこうと思います。

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つよく生きていきたい。